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一四人目  作者: 天月黎祠
1/2

一回り

 こんな噂がある。「かごめかごめ」を一三人で行うと、いつの間にか一人増えて一四人になっているというものである。それが真実であるかどうか確かめたくて、私は一二人の知人を募って「それ」をすることを計画した。

 計画を立ててから一週間後の土曜日の夜に「それ」は行われた。皆「本当に一人増えるのかな」「何か、こう、とりつかれたりして」等と騒ぎ立て、ちょっとした恐怖を楽しむ気であった。そのうち一人が「おい。そろそろ始めないか」と言い、一人、輪の中に入る人を決める二人、三人一組の勝ち抜けのじゃんけんをした。結局、私が最後まで残った。知人達が輪を作り、その中に入る。「かごめかごめ」をするなど小学生以来である。おそらくそれは皆同じであろう。

「じゃあ、Aはちゃんと目を隠して」

「分かった」

「なあ、これって他に何か、こう、特別にすること無いの?」

「A、どうなんだ?」

「俺が知ってるのは一三人でするって事だけだよ。それ以外は特に聞いた事無いな…」

「何か、ちゃんと手順を踏まないといけないって事は?」

「それも」

「なんだよそれ」

「ねえ、どうする?このまま続ける?」

Eに明らかに不安の色が見える。皆も、私も多かれ少なかれ不安は抱いていた。暫く沈黙が続いたが、Dの「やろう」の一声が沈黙を破った。私は再びしゃがみこみ、顔を組んだ腕に埋めて目隠しをする。知人達も輪を作り直し、隣同士手を繋ぐ。「皆、いいか?」私がそう訊ねると「いいよ」「ああ」「OKだ」と口々に答えた。

「それじゃあ、始めてくれ」

「…いくぞ」

Dが調子をとる。皆、自然と繋ぐ手が強く握られる。

「…かーごめかーごめ…」

それが、始まりだった。


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