ブラザー&シスター制度
召喚2日目。
「おはようございます」
ミカンに挨拶される。
「お、おう。おはよう」
「今日も元気に頑張りましょうね」
「そうだな」
俺はミカン台所に行き、朝食を食べる。
朝食はパンだ。
歯が折れそうになるほど固いパンで、歯ごたえがある。
歯茎の筋肉を鍛えられそうで、健康にはいいのかもしれない。
「スバル、昨日言い忘れたんですけど、あなたは聖女ですが、同時に私の弟でもあります」
「はぁ?」
(ないいってるんだ、ミカンは?)
「今、はぁ?って顔しましたね」
「いや、してないよ」
(したけど)
「ふふっ、お姉ちゃんにはわかりますよ」
急にお姉さん風をふかしだしたミカン。
暖かい瞳を向けてくる。
「で、何でミカンが姉なんだよ?」
「それはですね、各宮殿には、ブラザー&シスター制度があるんです」
「?」
(なにそれ?)
「新しく入ってくる者は、皆誰かの弟、妹になるのです。
通常は宮殿の中の者を選べますが、現在この宮殿の中には資格者が私しかいませんので、スバルは私の弟です。
お姉ちゃんって呼んでも良いですよ」
「いや、呼ばないよ。どちらかというと、ミカンが妹だろ」
「違います。私はお姉ちゃんです。もう、スバルはやんちゃですね」
(なんだか楽しそうなミカンだ。弟がほしかったのかもしれない)
「で、その制度は何か意味があるのか?」
「姉と兄が妹と弟を指導するのです。そして早く宮殿生活になじめるようにするのです。
聖女の場合は、立派な聖女様に育てることですかね」
(俺が、この頼りなさそうなミカンに指導を受けるのか・・・・)
「ミカンは無理だろ」
「えー、なんでですか?私はいいお姉ちゃんになりますよ。スッ君」
(スッ君?・・・)
ひょえーーー。
ゾクリと寒気がした。
背筋が凍った。
「あの、一応聞くが、スッ君って誰?」
「スバルのあだ名です。かわいくていいです。スッ君」
ニコニコ顔のミカン。
「ミカン」
「何、スッ君」
「その名前で呼んだら、もう二度度料理は作らんぞ」
「・・・・・・えへへっ、ごめんなさい」
即座に謝るミカン。
「ならよろしい」
「じゃあ、これをあげますね」
ミカンは自分の手からブレスレットをはずし、俺の手首につける。
「これは何だ?」
「姉と弟の印です。これで私たちは、今から姉妹です」
「・・・・・」
俺は外そうとするが・・・・
(え、何これ、外れないだけど・・・・)
「無理ですよ。外すのは。神様がつくったものですから。困ったら事があったら、お姉ちゃんに何でも相談するんですよ」
ミカンは「ふんふんふん~♪」と歌いながら、どこかにさっていった。
俺はブレスレットをはずそうとするが・・・全く外れなかった。
(く、くそ・・・・俺はお姉ちゃん派より、かわいい妹派なのに・・・・)
―――俺は焦ったのだった。