サウナ
黒薔薇の宮殿に到着。
いつも通り獲物を生贄に捧げ、お風呂に入る。
一日の疲れを落とすのだ。
それから。
居間に向かってミカンが作ってくれる夕食を食べる。
夕食後の団欒時間。
ソファに座りながらミカンと。
「そういえば、今日はメガネと一緒に狩りをしたよ」
「メガネ…あの怪しい人…ロリ…緑薔薇の聖女ですか」
ミカンはメガネ=ロリ認識のようだ。
ちょっと引いてる。
「そうそう。風魔法を使ってた」
「ですね…緑薔薇は風魔法が得意ですから。うんうん」
「それと聞いたんだけど、うちは黒魔術で、ミカンが得意なんだって?」
「えへへへっ、聞いちゃいましたか」
ミカンは恥ずかしそうに笑う。
「あぁ、聞いたけど、ミカンが使ってるところ見たことないから」
「黒魔術はマイナーですから…」
「そうなのか?」
「はい。物騒な魔法が多いので、あまりポピュラーじゃないんです」
(なんとなく分かる)
(名前からしてヤバそうだ)
「ということはミカン、俺も黒魔術を使えるのか?黒薔薇の聖女だし」
「そうですねー。多分、使えるようになるはずですよ。今のまま成長していけば」
「ほう。それは中々いいかも」
「黒魔術のスキルがついたら、私が使い方を教えてあげますね」
「頼むな、ミカン」
「はい。それでスバル、話は変わって施設拡充の件なのですが」
(そういえば、そんな話しがあったな)
「子猫達は、サウナがいいそうです」
「お、おう…」
(そうか…サウナか。俺もいいと思うけど、しぶいチョイスだな)
「いいんじゃないか、それでミカンもいいのか?」
「はい。私もサウナに入って汗を流しますっ!」
熱を込めるミカン。
(なんか知らないけど、気合が入ってるミカン…)
「分かった。じゃあサウナで決まりだな。今夜追加しておくよ」
「サウナですね~~。うんうん、なんだか楽しみですね」
「そうだな。スッキリできるかもしれない」
その後。
暫く居間でまったりしてから、俺はミカンと黒薔薇の間に向かった。
サウナを追加すると知っているからか、子猫達もついてきた。
一大集団だ。
「ニャーニャーニャー」 (サウナタイムにゃー)
「ニャーニャーニャー」 (また増えるにゃー)
「ニャーニャーニャー」 (あたし一番に入るにゃー)
皆ソワソワしている。
そして。
ゾロゾロと子猫達を引き連れて、黒薔薇の間へ到着。
俺が台座に向かい、施設拡充を始める。
【現在の所持ptは1312ptです】
【現在のptで獲得可能なリストを表示します】
==【アイテム】==============
1pt=石:ただの石
5pt=地下水:黒薔薇宮の地下水
10pt=生命の葉:回復薬として利用できる
50pt=生命の大葉:回復薬として利用できる
100pt=黒薔薇の石:武器の製造に利用できる
・・・・
・・・・
・・・・
=========================
と、お馴染みの表示をされる。
==【施設】==============
1000pt=風呂:お風呂を追加できる
1000pt=花壇:花壇を追加できる
1000pt=寝室:寝室を追加できる
======================
俺は【風呂】項目の、【拡張機能】をクリックすると。
==【風呂】==============
100pt=山の絵
100pt=ジャグジー機能
300pt=サウナ
500pt=露天風呂
500pt=岩盤欲
500pt=マッサージ室
1000pt=温水プール
======================
(では、サウナを追加するかな)
ポチっとボタンを押すと
【300ptを使用して、サウナを獲得しました】
【サウナを宮殿内に設置します。現在は標準タイプです。追加ptで拡張が可能です】
==【風呂】==============
100pt=山の絵
100pt=天窓
300pt=部屋追加
………
………
======================
(ほう。また拡張機能か)
(獲得するごとにどんどんついてくるようだな)
隣のミカンもウィンドウを真剣にみている。
なので聞いてみることにした。
「ミカン、とりあえず、今は標準でいいかな?」
「ですね。もの足りなかったら、後で追加しましょう」
「だな。じゃー、サウナに入りに行くか」
「はい。スバル。入ちゃいましょう」
俺はスバルや子猫達と一緒にサウナに向かった。
追加した時に、どこに追加されたか場所が表示されるのだが…その場所はお風呂の中。
つまり、脱衣所に繋がっていた。
脱衣所に到着。
するとサウナの入り口を発見。
ちゃんと追加されていた。
サウナを見て「うんうん」と頷いていると…
「ニャーニャーニャー」 (あたしが一番にゃー)
「ニャーニャーニャー」 (わたしにゃー)
服を着ていない子猫達は一目散にサウナに特攻。
すぐさま全員サウナに入った。
(いかん。俺も遅れてはいけないな)
(一番汗は、俺のものだっ)
俺も遅れまいと急いで服を脱ぐ。
ミカンも隣で服を脱ぐ。
「って、おい、ミカン、お前何してるんだ?」
「えー、一緒に入るんですよ。サウナですよ」
「そ、そうか」
(まぁ、サウナなら問題ないか)
(でも、一緒に服を脱ぐのは何か違う気がする)
(しかし、急がなければっ!)
「だな。俺は先にはいってるな」
「はい」
俺は急いで服を脱いで、腰にタオルを巻きつける。
そしてサウナ室に急行。
すると子猫達がサウナを満喫中。
「ニャーニャーニャー」(まったりにゃー)
「ニャーニャーニャー」(あついにゃー)
「ニャーニャーニャー」(ぐだぐだにゃー)
皆のびていた。
(てか、猫がサウナに入って大丈夫なのか?)
(よく分からないが…)
(まぁ、いいか)
俺は子猫達といっしょに汗を流す。
(いや、汗を流しているのは俺だけか)
(猫は基本汗をかかないからな)
(呼吸で体温を調整しているわけだから)
ガチャ
「スバル、サウナですねー」
ミカンも入ってきた。
タオルを体に巻いている。
ちょこんと俺の横に座る。
「ミカンは熱いの大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。人と変わりません」
「そうか」
「………」
「………」
俺はじーっとして汗を流した。
横でみかんも汗を流している。
だが。
「ニャーニャーニャー」(ぜーぜーぜー)
「ニャーニャーニャー」(ぜーぜーぜー)
「ニャーニャーニャー」(ぜーぜーぜー)
子猫達の呼吸が荒くなった。
なんだかやばそうだ。
皆伸びてる。
猫耳もしっぽもふにゃふにゃだ。
「お、おい、大丈夫か?なんか、ふにゃふにゃだけど?」
「ニャーニャーニャー」(ぜーぜーぜー)
「ニャーニャーニャー」(ぜーぜーぜー)
「ニャーニャーニャー」(ぜーぜーぜー)
(まずい、子猫達は返事も出来ないほど弱ってる)
(こうなれば、外に出そう)
「ミカン、子猫達を外に」
「はいっ」
俺はミカンと一緒に子猫達を外に出そうとすると…
「あっつー!」
「あちゃっ!」
子猫達が凄い高温になっている。
めっちゃ熱い。
沸騰したお湯みたいだ。
「ミカン、こ、これは…まずいんじゃないか…」
「ま、まずいですね…子猫達が沸いています」
「だよな、湯気でてるし」
「スバル、お風呂場で冷やしましょう」
「でも、熱いな。持ち運べない」
「ですね…」
俺は脱衣所を見る。
(あ、アレだっ!)
俺はタオルをとってサウナに戻ってくる。
「ミカン、タオルで子猫達をくるんで、お風呂場に運ぼう」
「分かりましたっ」
俺とミカンはすぐに子猫達を浴室に移動させた。
熱いので、タオルでくるんで移動させたのだ。
子猫達を浴槽の床に並べる。
グターっとしている。
「ミカン、水をかけつづけてくれ。俺は回復魔法をかけ続ける」
「はっ、はい」
桶に水を入れて、バシャバシャ水をかけるミカン。
じゅわーと子猫から湯気が出る。
俺は子猫達にふれて、回復魔法をかけつづける。
(熱いけど、我慢だ)
(子猫達を救わなければ)
子猫達を癒し続けた。
すると数分後…
「ニャーニャーニャー」(危なかったにゃー)
「ニャーニャーニャー」(うとうとしてたにゃー)
「ニャーニャーニャー」(白い光がみえたにゃー)
子猫達は復活。
皆、しゃきっとしだした。
「よかった」
「ふぅー、本当です」
俺とミカンはほっとする。
手を取って喜びあう。
(でも、もう少しで大変なことになっていたな)
(子猫達にとって、サウナは危険だ)
子猫達が元気になって安心するが、今後は注意しないと。
俺は子猫達を見る。
「子猫達はサウナ禁止だな」
「ですね。危ないです」
「ニャーニャーニャー」 (さすがにもう入らないにゃー)
「ニャーニャーニャー」 (あたしもにゃー)
「ニャーニャーニャー」 (別の世界の扉を開けた気がするにゃー)
なんだか危ない子も混ざっているが…
こうしてサウナは、子猫達禁止になった。
俺は貼り紙を張ったのだった。
~~~~~~~~~
サウナが追加された夜。
黒薔薇姫はこっそり浴室に向かっていた。
深夜の誰もいない時間にこっそりお風呂に入っている黒薔薇姫だが。
サウナにも興味があったのだ。
(よし。入ろうか)
(サウナというものに)
脱衣所で服を脱ぎ、体にタオルをまきつける。
そして。
ガチャ
サウナ室に入る黒薔薇姫。
じーっと、段差に座る。
(暑い…暑い…)
(でも…それがいい…)
(じんわりとして、すっきりする)
サウナに入り、汗を流す黒薔薇姫。
だがそこで思う。
(この後は、冷たい湯に入りたいな)
(水風呂に)
(今度、スバルにいうてみるかな)
黒薔薇姫は思うのであった。




