狩り
次の日。
朝食を食べた後。
宮殿の入り口。
「じゃあ、ミカン、狩りにいってくる」
「はい。スバル。いってらっしゃい」
「ニャーニャーニャー」(あたしもいくにゃー)
子猫が俺の頭の上に乗る。
因みに名前はアコだ。
狩りに行く時は、いつも一緒に行っている。
狩りのパートナーだ。
「おう、アコ、じゃあ、いくか」
「ニャーニャーニャー」(にゃー。今日もいっぱい狩るにゃー)
俺は黒薔薇の宮殿を後にした。
暫く移動して…森についた。
魔物がすむ森。
黒薔薇の宮殿から南の方。
人気がなくなって行く方向に進むとある森だ。
「ニャーニャーニャー」(来たニャー。森の空気は新鮮ニャー)
「だな。澄んでる。じゃあ、ホワイトラビットを狩るか。アコ、どっちにいるか分かるか?」
「ニャーニャーニャー」(んにゃー。あっちの方にゃ)
「よし、行くか」
俺は頭の上で、アコの指差す方に移動すると…
(いたいた、ホワイトラビットだ)
俺の方には気づいていないようで、草を食べている。
俺は右手をラビットに向け。
「ビー球ファイヤー」
ボワッ シュン
小さな炎の球があたり、ラビットが一瞬で燃えた。
(よし、仕留めた)
「ニャーニャーニャー」 (一撃ニャ)
だが念のためだ。
俺はここで鑑定を使う。
======================
【種族】ホワイトラビット
【界】魔物
【レベル】4
【状態】死亡
======================
(よし、死んでるな)
生死判定には鑑定が持ってこいだ。
本当は、HPとかステータスが見えればいいんだけど…そこまでは表示されない。
一応【鑑定LV10】なのだが、レベルが足りないのかもしれない。
今後のレベルアップに期待だ。
俺は黒焦げになったラビットに近づき、アイテムボックスに仕舞う。
(これでよし)
(黒こげなので毛皮や肉は売れないが、黒薔薇の生贄にする分には問題ない)
「アコ、次も頼むなっ」
「ニャーニャーニャー」(スバル、いつも一撃。凄いニャー)
「慣れてきたからな」
「ニャーニャーニャー」(じゃあ、この調子で次いくにゃー)
俺は森を駆け回り、ホワイトラビットを狩っていった。
数時間後。
「よし、7匹狩れたな。上出来だ」
「ニャーニャーニャー」(今日はさくさく進むにゃー)
「あぁ、順調だ」
「ニャーニャーニャー」(この調子なら、違う魔物も狩ってみるにゃ?」
「うーん。確かにラビットばっか狩ってるからな」
「ニャーニャーニャー」(にゃら、こっちにゃー。危なくなったらいうにゃー)
「おう」
俺はアコの指示に従い、これまでは行ったことがない方向に進んでいく。
少し森の奥に入るのだ。
暫くすると。
目の前にはあれだ…ゴブリンがいた。
身長が2mぐらいあるので、どちらかというと豚の魔物、オークっぽいが。
手にハンマーみたいなのを持っている。
「ニャーニャーニャー」(ゴブリンにゃ)
(やっぱしか)
「あいつは強いのか?」
「ニャーニャーニャー」(そこそこにゃ。でも、遠くから狙えば大丈夫にゃ)
(そうだな)
(だが、毛皮のラビットより、皮膚は硬そうだな)
(一撃で決めれるといいが…)
俺は右手を向けて。
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
ゴブリンが燃えた。
だが…
「GUUUUUUッ!」
チラッ
燃えながらこっちを見るゴブリン。
(や、やばっ、あいつ、生きてるぞっ)
(めちゃこっち睨んでる)
「ニャーニャーニャー」(スバル、もう一発にゃ」
「お、おう。ビー球ファイヤー」
ボワッ
ゴブリンが倒れた。
(ふぅー。倒れた)
(ちょっと焦った)
(でも油断は禁物。俺の防御力は余り高くないから、奇襲でも食らったら大変だ)
(いざっ、鑑定)
俺は鑑定が使用できる距離 (5m以内)に近づき使用する。
======================
【種族】ゴブリン
【界】魔物
【レベル】5
【状態】死亡
======================
(よし、死んでる。倒せたようだ)
「ニャーニャーニャー」(スバルの実力なら問題ないにゃ」
「ちょっと焦ったけどな」
俺は黒焦げになったゴブリンをアイテムボックスにいれる。
で。
落ちていたハンマーを拾う。
倒したゴブリンが持っていたものだ。
じっくりとハンマーを見る。
「うん。荒いけど、そこそこ良く出来てるハンマーだ」
「ニャーニャーニャー」(時々ゴブリンは持ってるニャ)
「そうか。ゴブリンが作ってるのか?」
「ニャーニャーニャー」(多分そうにゃ。手先が器用なゴブリンもいるはずにゃ)
「なるほど、ゴブリンも個体差があるのか…とりあえずこのハンマーは持って帰るか」
「ニャーニャーニャー」(そこそこの値段で売れるはずにゃ)
俺はハンマーをアイテムボックスに仕舞った。
(これでよし)
「ニャーニャーニャー」(ゴブリンは群れるタイプにゃ。多分、もっと近くにいっぱいいるにゃ)
「じゃあ、狩っていくか」
「ニャーニャーニャー」(そうにゃ)
俺はそれから、ゴブリンを狩っていった。
皮膚が硬いのか、ビー球ファイヤー1発では倒せないので連続して2発お見舞いした。
すると遠距離からでも倒せる。
そして昼。
森の中でご飯だ。
ミカンが作ったおにぎりを子猫のアキと一緒に食べる。
今日はサケおにぎりのようだ。
ムシャムシャムシャ
(ミカンのおにぎりはあいかわらず塩っからいが、美味いな)
「ニャーニャーニャー」(塩味にゃー)
アコも同じ気持ちのようだ。
小さな手でおにぎりを持って、ムシャムシャ食べている。
中々器用だ。
暫く一緒におにぎりを食べていると…
「ニャーニャーニャー」(スバルにゃー。今日はいつもより魔物が多いニャ)
「やっぱりそうか。ちょっと森がざわついてるみたいだな」
「ニャーニャーニャー」(森の奥で何かあったかもしれないにゃ)
「そうなのか?」
「ニャーニャーニャー」(そうにゃ。魔物は森の奥から、今いる森の入口まで来るにゃ。だから大抵原因は森の奥ニャ」
「奥か…強力な魔物でもいそうだな」
(大抵ゲームでは、森の奥には強力な魔物がいた気がする)
「ニャーニャーニャー」(いても奥にゃ。ここまでは来ることはないから心配ないにゃ)
「そうだといいな…でも、魔物が森の奥にいる理由は何かあるのか?人との争いを避けてるとか?」
「ニャーニャーニャー」(色々理由はあるけど、森の入り口は魔物が食べるエサが少ないから、メリットがないにゃ)
「魔物のエサか…もしかして、人もか?」
「ニャーニャーニャー」(人は滅多に奥に入らないから違うニャ。森の奥の方がマナがこいので、食べ物の栄養も高いにゃ)
(ほーう。マナか。黒薔薇の周りに浮いてる奴だな)
「ってかアコ、結構森に詳しいんだな」
「ニャーニャーニャー」(奥に入って狩りをしたことがあるニャ)
「そうか…アコはやっぱり強いみたいだな?」
「ニャーニャーニャー」(そこそこにゃ)
(まぁ、子猫だけど、これまで魔物にビビッてた事はないからな)
それから昼食を食べ終え。
「じゃあ、アコ、行くか」
「ニャーニャーニャー」 (いっぱい狩るにゃー)
俺は狩りを再開した。
夕方。
今日の成果は…
ホワイトラビット 11匹。
ゴブリン 8匹。
中々の結果だ。
「アコ、良い結果だ。暗くなってきたし、帰るか」
「ニャーニャーニャー」(ニャ、大漁にゃー)
俺は嬉しそうなアキと一緒に宮殿に帰った。
◆
宮殿に戻り、黒薔薇の間へ向かう。
今日の獲物を生贄に捧げるのだ。
黒薔薇の間に入ると…
「ニャーニャーニャー」(水浴びニャー)
アコが頭の上からおり、水場に一直線。
水場の中でパシャパシャと毛づくろいを始めた。
体を清めている。
俺は黒薔薇の前の台座に行き、獲物を台にのせる。
すると…
プワーン
ホワイトラビットが光だし、黒薔薇に吸収された。
【ホワイトラビットLV4を生贄に捧げました。12pt獲得しました】
【現在の所持ptは892ptです】
(お風呂を追加してptを消費したが、だいぶ集ってきたな)
それから、俺は今日狩ってきた獲物は全て生贄に捧げた。
最終的に。
【現在の所持ptは1024ptです】
(よし、再び4桁になった。今日の獲得ptは130程かな)
【現在のptで獲得可能なリストを表示します】
==【アイテム】==============
1pt=石:ただの石
5pt=地下水:黒薔薇宮の地下水
10pt=生命の葉:回復薬として利用できる
50pt=生命の大葉:回復薬として利用できる
100pt=黒薔薇の石:武器の製造に利用できる
・・・・
・・・・
・・・・
=========================
と表示される。
【施設】タブをクリックすると。
==【施設】==============
1000pt=風呂:お風呂を追加できる
1000pt=花壇:花壇を追加できる
1000pt=寝室:寝室を追加できる
======================
(うん。出た)
お風呂は前に追加したけど、花壇と寝室がある。
というか…
(風呂がまだあるってことは、もう一つ風呂を追加できるってことかな)
(でも、宮殿に2つの風呂はいらないか)
(男湯、女湯にしてもいいが…現状使用時間で割り切っているからいいだろう)
となると…
俺は【風呂】項目の、【拡張機能】をクリックすると。
==【風呂】==============
100pt=山の絵
100pt=ジャグジー機能
300pt=サウナ
500pt=露天風呂
500pt=岩盤欲
500pt=マッサージ室
1000pt=温水プール
======================
(なんか増えとる…)
(サウナ…露天風呂…マッサージ室)
(どれも憧れる…)
(ていうか、温水プールはもはや風呂じゃない気がするが…)
でもあれだな。
ここは皆と相談して決めた方が良いだろうな。
何を追加するか、ミカンや子猫達の希望も聞いてみよう。
(ということで、今回はpt消費無しで)
俺は生贄を終え、居間に戻った。
もうすぐ夕食だ。
毎週月曜、23時更新です。




