休日2
お風呂から出で脱衣所。
バシャバシャ
子猫達は体をふって水気を飛ばす。
凄い勢いで水滴が飛ぶ。
そして、自動販売機程ある巨大扇風機の前で涼んでいる。
※生贄ptで購入したもので、10ptだった
風を受け、ブワーっと毛並みを揺らしながらまったりする子猫達。
俺はタオルで体を拭きながら、その様子を見た。
で。
髪を乾かすために子猫立ちの中に。
巨大扇風機の前に座る。
「ああああーーーーーーーー」
「ニャーニャーニャー」(ニャーニャーニャー)
扇風機の前で声を出す。
すると声が風音で変わってちょっと面白い。
子猫達と一緒にそんな遊びをした。
完全に体が乾くと、俺は子猫達と居間に戻る。
ちょっと遅い昼食時間だ。
居間の机の上には、ミカンが買ってきたであろう、パンとジャム、それに牛乳が用意されている。
パンは食パンのようなもので、10cm四方の薄いものだ。
ジャムは、イチゴ、チョコ、ブドウ、パイナップルが用意されている。
俺はパンにイチゴジャムを塗りながら食べる。
(うん。上手いな。この世界のパンも)
(ちょっと硬いけど、味は良い)
「ニャーニャーニャー」(歯ごたえがあるパンにゃー)
「ニャーニャーニャー」(ジャムと合うにゃー)
子猫達も器用にパンにジャムを塗って食べている。
肉球の手でスプーンを握っているのだ。
因みに子猫達は、チョコジャムが好きなようだ。
して。
発見。
(おっと)
「猫ひげに、ジャムついてるぞっ」
俺は子猫についたジャムをフキンでふきとる。
「ニャーニャーニャー」(ありがとニャー)
「いいよ。猫ひげ、気をつけてなっ」
「ニャーニャーニャー」(ついついつくにゃー)
「まぁ、大変だろうな。ひげが長いと」
「ニャーニャーニャー」(にゃー)
モグモグと食パンを食べ、牛乳を飲む。
(牛乳もまろやかだな…おっと、まただ)
(猫達の口元が白く汚れている)
(牛乳の跡だ)
「牛乳、白ヒゲ、気をつけてなっ」
「ニャーニャーニャー」(ついついちゃうにゃー)
「それじゃー、仕方ないか」
俺は子猫達とパンを食べ、昼食を終えた。
食後。
子猫達は庭に遊びにいったので、俺も一緒について行きつつ、魔法の練習だ。
土魔法で的を作り、遠くから炎魔法 (ビー球ファイヤー)をあてる。
俺のスペックは以下。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
【名前】南雲スバル
【種族】人間 【年齢】17 【性別】男
【ジョブ】聖女
【レベル】1
【HP】400/400
【MP】60000/60000
【筋力】300
【魔力】110000
【丈夫さ】100
【魔法】
炎魔法LV55 土魔法LV21 回復魔法LV101
【固有魔法】
魔力自動回復LV101 異種間会話LV10 獣神使いLV1 付与魔法LV70
【スキル】
料理LV80 錬金術LV10 鑑定LV10 アイテムボックスLV3 ダンジョン召喚LV30 浄化LV101
【ギフト】
ステータス限界突破 スキル限界突破 魔法限界突破 固有魔法限界突破
可能性の身体 無限の進化
異世界会話 異世界文字 ネット通販
【称号】
異世界から召喚された者 黒薔薇の聖女 動物に愛されし者 神に愛されし者
【加護】
獣神の加護 創造神の加護 召喚神の加護 冒険の加護 ダンジョンの加護
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
見て分かる通り、魔法に偏っている。
MPや魔法、スキルのレベルの高さに比べ、あまりHPや丈夫さは高くない。
魔術師タイプだ。
レベル1のステータスが平均50なので、通常よりは高いかもしれないが、やや心もたない。
(実際、お茶会で麗花に叩かれた時、HP半減したし)
だから…
俺はとにかくHPや丈夫さをあげなきゃな。
それか、遠距離から戦えるようになるのが必須だ。
なんせ、魔物と近くで戦えばちょっと危ない、紙体質だから。
(でもまぁ…)
回復魔法LV101
魔力自動回復LV101
があるので。
魔物と戦う時は、常に回復魔法をかけまくる。
オートリジェネ (常時回復)状態でいけば…なんとかなるかもしれないが…
よきせぬハプニングで、強力な一撃を食らうかもしれないからな。
(油断は禁物だ)
なるべく相手に近づかず、遠距離攻撃に特化しないといけないな。
(でもしかし、ここで一つ疑問がある)
(俺は結構魔物を狩ってるはずだけど…まだレベル1…)
(うーん。もう少しであがるのかな?)
(………)
(不思議だ。でもまぁー、そのうちあがるだろう)
(じゃあ、やるか)
俺は土魔法でつくった的から10m程はなれる。
※距離については、土魔法で10m毎に目印をつけている。
※この世界の距離単位もメートル法であったためだ
※土魔法で、自分用のメジャーを作り、アイテムボックスにしまっている
そして的に向けて右手を向け…
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
小さな炎の塊が飛んでいき…
ボシュ
的が壊れた。
(よし、10mは上手くいくな)
(この距離はいつもの狩りの距離もあるから、当たり前っていちゃー、当たり前だけど)
(じゃあ、次は距離を伸ばそう)
俺はさらに的から離れる。
で。
次は的から20m程離れた場所。
(よし、やるか)
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
再び小さな炎の塊が飛んでいき…
ボシュ
的が壊れた。
(上手くいった。次は…さらに10m伸ばすか)
俺は的から30m離れた地点に移動。
(うん。ちょっと遠いな。これは難しいかもしれない)
(的は横20cm程。縦1m程の土の塊なのだ)
(動かないとはいえ、実際の魔物よりも小さい)
(でも、やるか)
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
小さな炎の塊が飛んでいき…
ボシュ
的から外れた。
(くっ、外れたか。この距離、30mは、今の俺にはちょっと難しいかもしれないな)
(ならっ、少し練習してみるか)
(精度をあげよう)
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
俺はそれから30mの距離で、的にあてる練習をした。
すると…
(5回中2回あたる)
(つまり、40%の命中率か)
(そこそこだな。俺の魔力はほぼ無尽蔵なので、回数で補えば必中だが…)
(命中率をあげていくことも大事だろう)
俺はそう思いつつ。
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
「ビー球ファイヤー」
ボワッ
練習を繰り返した。
夕方になる頃には、命中率は上がっていた。
(5回中3回あたる)
(つまり、60%の命中率か)
(そこそこ上がったな)
俺は満足していると。
「皆ー、ご飯ですよー」
ミカンの声が居間の方から聞こえたので、俺は戻ることにした。
(今日の練習はここまで)
俺は居間に戻った。
◆
夕食後。
居間。
ミカンとソフェでくつろいでいると。
「スバル、庭でいっぱい炎を飛ばしてましたね」
「あぁ、炎魔法の練習をしていたんだ」
「そうですか。上手くいったんですか?」
「そこそこだな」
(うん。成果は出たのでいいだろう)
「ですか。休日なので、ゆっくり休んでいればよかったのに」
「少し体を動かしたくてな」
「……」
じーっと俺を無言でみてくるミカン。
(あれ?どうしたんだ?)
「何だ?ミカン」
ミカンは周りを見て、そっと俺の耳元に顔をよせる。
そして、子猫達に聞こえない小声で聞いてくる。
「スバル。あの件、どうなりました?」
「あの件?」
「そうです。あれですよっ。昼頼んだ奴ですよっ」
「あー、銅像の?」
「はい」
「そういえば、まだやってないな」
「えっ?」
ミカンがじーっと俺を見てくる。
無言のプレッシャーをかけてくる。
「な、なんだ?ミカン。そんなに早くやった方がよかったのか?」
「大丈夫ですよ。でも、ちょっと早目がいいです」
といいつつ。
口を尖らせ、ミカンはちょっと拗ねるような顔をする。
「そ、そうか…じゃあ、今夜中にやっておくよ」
(多分、10分程で終わるしな)
「そうですか…ありがとうございます。えへへっ、なんだか、催促したみたいで悪いですね」
「いや。別にいいよ。すぐ済むから」
(うん。大変なことじゃないからな)
「良かったです。これで私も大丈夫です」
ニコニコするミカン。
銅像のことは、かなり気にしていたのかもしれない。
「ミカン、任せてくれ」
「はい。スバル。お姉ちゃんは嬉しいですよ」
俺の肩をトントンと叩くミカン。
「お、おう…」
予想以上にミカンが嬉しがっている。
(これは早めに直しておいた方がいいな)
(忘れると、なんだかよくないことになりそうだ)
◇
その後。
俺は居間を出て、銅像の間に向かう必要があるのだが…
(慎重にだ)
食後のこの時間は、子猫達と遊ぶことが多い。
だが今回は、子猫達をつれていくことはできない。
そうすれば、皆の銅像を直すことになりかねないので。
俺が居間を出ようとすると。
「ニャーニャーニャー」(スバル、どこいくにゃ?)
(ち、気づかれた)
「ちょっと、夜風にあたりにね」
「ニャーニャーニャー」(あたしもいくにゃ)
(くっ、ダメだ。一人で出なければ)
「いや、ちょっと遠くまで行こうと思うから…一人でいくよ」
「ニャーニャーニャー」(そうにゃー。それならあたしもいくにゃ)
(ぬぬっ、子猫めー。好奇心おうせいだなっ)
「でも、あれかな…魔法の練習もするから、近くにいると危ないよ」
「ニャーニャーニャー」(そうにゃ。じゃあ、あたしはやめとくにゃ)
(ふぅーよかった。諦めてくれた)
「分かった。それじゃあ」
「ニャーニャーニャー」(ばいにゃー)
俺は居間を出た。
そして銅像の間に来た。
ミカンの銅像の前にくる。
(えっと、修正案は…)
(これだな)
俺はミカンから貰った紙 (銅像の修正案)を見ながら、頭にイメージをつくる。
そして…
銅像に両腕で触れて。
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
ミカンの銅像を修正した。
(でも、ちょっと違うな…)
(もうちょっと頑張るか)
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
そして10分後。
修正終了~。
(うん、これでいいだろう)
(紙のイメージ通りに仕上がった)
(修正点は1-3段階に分かれていたが、結局全部直した)
(でも、ちょっと微調整しておくかな)
(全部修正すると、歪みの様なものがある。調整が必須だ)
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
俺は銅像を細かく修正。
(うんうん。よし、OKー)
(これでミカンも満足するだろう)
達成感を抱き、部屋を出ようとすると…
入口の隅から、こっちを覗いている影に気づく。
暗闇に輝く瞳。
猫耳としっぽが出てる。
(!?)
(だ、誰だっ?)
「ニャーニャーニャー」(みたにゃー)
(うおっ!子猫がいる)
(俺が居間から出る時、引き止めた子だ)
(まさか、見られたのか?)
(つけられたのか…)
「どうした?何を見たんだ?」
「ニャーニャーニャー」(銅像直してたにゃ。何だか怪しいと思ってたにゃー)
(くっ、見られたか…)
(ていうか、やはり居間での挙動でばれていたのか…)
「そうか…」
チョコチョコチョコ~
俺の脇を走り抜けて、ミカン像の前に行く子猫。
銅像を見て目を輝かせている。
「ニャーニャーニャー」(銅像綺麗にゃー)
「だろうな」
「ニャーニャーニャー」(銅像綺麗にゃー)
「そうか」
「ニャーニャーニャー」(銅像綺麗にゃー)
「うん」
「ニャーニャーニャー」(銅像綺麗にゃー)
「知ってる」
何かを期待する目で俺を見る子猫。
猫目が輝いている。
猫耳もヒクヒクしてる。
(これは…はぁー…しょうがないな)
「分かった。直してやる。でも、秘密だぞ」
「ニャーニャーニャー」(あたしもいいにゃー?)
「ああ」
「ニャーニャーニャー」(それにゃら、あたしの銅像はー、しゅるって感じにゃ)
「やってみよう」
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
俺は子猫像を修正した。
しゅるって感じに。
「こんな感じか?」
「ニャーニャーニャー」(もうちょっと、しっとりした感じにゃ)
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
「こうか?」
「ニャーニャーニャー」(あと少し、まろやかににゃ)
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
ズーーーーーン
ボコボコボコボコ
何度か修正すると。
「ニャーニャーニャー」(で、出来たにゃー)
飛び上がって喜ぶ子猫。
しっぽが大車輪になっている。
(ふぅー。完成だな)
(またしても達成感を感じる)
「ニャーニャーニャー」(スバル、ありがとにゃー)
チョコチョコ~ ピョン
俺の胸に飛び込んでくる子猫。
(おっと)
俺はすかさずキャッチする。
「喜ぶのも良いが、皆には秘密になっ」
「ニャーニャーニャー」 (分かってるにゃー)
俺はしっぽをふって喜ぶ子猫を抱き、頭を撫でた。
そして一緒に銅像の間を後にした。
その後、
銅像の部屋から戻ってきた俺と子猫は、居間でまったりしてから寝た。
久しぶりの休日を終えたのだった。
穏やかな一日だった。