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宮殿の姫 2回目

俺がチャーハンを披露した夕食後。


料理で満足したミカンと居間でくつろいでいると。


「スバル、姫様が呼んでいますよ」

「あのちっこい姫が?」


(そういえば、最近会ってなかったな)


屋敷の中では中々出会わないのだ。

この屋敷は無駄に広いから。


(学校一つ分ぐらいあるから…会わなくても当然か)


「はい。なんでも至急部屋に来て欲しいと。重大案件があるようです」


「重大ねー。しょうがない、じゃあいくか」

「はい。私もご一緒します」


俺とミカンは居間を出た。





姫様の部屋に着くと。


トントン


ミカンが扉をノックする。


「姫様、失礼します」

「ちゃっす」


「スバル、ちゃんと挨拶してください」


ミカンにわきばらを突かれる。


(いやー、今のミカンのマネをしてみたんだけど)


(それにあの姫様、威厳ないし)


(でも、しょうがないな……一応姫だし)


「分かったよ。失礼します」


俺とミカンが部屋の中に入る。




すると……

玉座にちっこい姫様がちょこんと座っている。

いつものごとく、小さいので足は地面についていない。

ブラブラしている。


「やっと来たか?待ちくたびれたぞ。すっごく待った」

「はい。姫様、スバルも一緒です」


「宜しい。では、お話しを少し。2人は王城のお茶会にいったはずだが、黒薔薇の威厳を見せてきたかな?」

「はい。スバルが頑張りました」


ミカンが答える。


(そうかなー、まぁ、そういうことにしよう)


(ミカンに任せよう)


「それはいい。挨拶代わりに、他の聖女に1発ぐらいパンチしてきたということだな?」

「はい、それはもうスバルが、威厳を見せてきました」


ミカンがドヤ顔で報告する。


(いや。ミカンさん、逆に俺が1殴られてきたんだけど……)


(これ、虚偽報告じゃないの?)


(でも、殴られることで懐の深さ、威厳を見せたともいえるか。うん、大丈夫だな)


(言葉の意味の広さよ)


「それはよかった。わたしも満足だ。それで、今回の要件が分かるかな?」

「いえ、私は特にこれといって思いつきません」


姫様がじーーっと俺を見る。


「俺もだ」


「そうかそうか………嘘付けっーー!!!」


姫様が俺に向かって、石?いや、飴を投げてきた。


ヒョイっとよける。


(でも飴…こんなもんがこの世界にあるのか?)


「って、なにするんだ?」


(そうだ、いきなり攻撃された)


「ふん、スバル、お主が嘘をついておるからだ。何か思い当たることがあるのではないか?大事なことが?とっても大切なことが?」


(思い当たること…姫様……あっ!?)


「その顔、やっときづいたか?」

「はい」


(多分、猫缶だ。そういえば昨日渡してなかった。お茶会のことで忘れていた)


「アレですね。夜の」

「そうだ、わたしとの、すっごいひみつだ」


「ふふふっ」と怪しく笑う姫様。

横のミカンが不思議がる。


「スバル、なんですか?その秘密というのは?」

「いや、あれは」


「ミカン、スバルは夜、わたしを楽しませてくれているのだ」

「まぁ、そうともいえるな」


(姫様は、猫缶がお気に入りのようだから)


「ス、スバル、しんじてたのに……」


(えっ、なにが?)


横のミカンがどん引き&ちょっと涙目になってる。


(なんで?)


「ど、どうしたミカン?」

「姫様がちっちゃくてかわいいからって、そんなことを……」


「えっ、ちょ、ち、違うぞ、ミカン、お前、へんなこと想像してるだろ?」


(絶対そうだろ。なんかヤバそうなこと想像しているだろ)


「お姉ちゃん、犯罪は許しませんよ」

「ほんと違うって、姫様もお願いします。ミカンが誤解してます」


「ふん、言えるわけなかろう。あんなこと…」


ポっと赤く顔を染める姫様。


(はぁ?)


「な、なにいってるんですか。姫様?」

「わたしはアレで、何度甘美なる絶頂に導かれたことか…」


「す、すばるっ……」


ミカンの目がうるむ。

完全にやばい人を見る目で俺を見ている。


「いや、違う、ミカン。それに姫様、あれはただの…」

「スバル、言うてはならんっ!」


「はいっ?」

「あれは秘密だと…約束したはずだ…スバルからな」


「いや、そうだけど…」


(よくよく考えれば、別にそんな秘密にすることでもないような)


「スバル、お姉ちゃん悲しいです」

「ほんと違うぞ、ミカン、なぁ、本当だから」


なだめるために、ミカンをナデナデしょうとすると。


「触らないで下さい、ど変態っ!」


(くっ……)


(ど、ド変態?…お、俺が?)


「ち、違うって姫様、お願いしますって。ミカンが完全に誤解してます」

「そうかー。今は3日に1回だが、2日に1回にしてくれるなら、考えよう」


(くっ、ミカンといい、姫様といい。なんてしたたかなんだ……)


(だがしょうがない。ここまでくれば、条件を飲むしかないか)


「分かりました姫様。苦渋の決断ですが、そうしましょう」

「あい、分かった」


姫様は嬉しそうな顔をし、ミカンを見る。


「ミカン、誤解だ、スバルはとある物品を謙譲しているだけだ。へんなことはしておらん」


「そうなんですか」

「うん」


ミカンは落ち着いた顔をする。

ケロッと直る。

意外なほど直ぐ表情が戻る。


本当に以外ないほど……あっさりと。


(なんだか怪しいな……ほんと、怪しい……)


(…………)


(でも、まぁーよかった)


(これで誤解はとけた)


姫様がちっこい右手を俺に向ける。


「スバル、昨日分を今すぐ渡すのだ。おなかが減った。早く食べたい。昨日からアレのために断食しておるのだ。右手に頼む。ほれっ」


(姫様、そこまで食べたいのか……)


(だが、これでミカンの疑いも完全にはれるだろう)


俺は猫缶をアイテムボックスからとりだして、姫様の右手に乗せる。


「はい、どうぞ」


「これだ、これだ、すっごくおいしそうだ。この缶を見るだけで、口の中がごっくんする」


姫様は猫缶にはまったようだ。


「よし、さがってよい。わたしは今から大事なようがある。とっても大切な用事が」


(お食事タイムだな)


「はい。ではっスバル。帰りましょうか」

「だな」


俺達は部屋を出た。







で、廊下。

ミカンが俺をじーーと見る。


(なんで?)


「なんだよミカン?」

「スバル、私、ショックです」


(えっ?まだあるの?)


(疑惑は晴れたと思ったけど)


「スバル、何のことだ?」

「姫様だけずるいです。猫缶ずるいです。スバル、私のこと嫌いなのですか?」


「いや、そんなことないよ…」


(本当に)


「なら、私にもくださいっ」


「え、猫缶を?」

「はい、勿論姫様に内緒にします。2人の秘密です」


「そ、そうだな…」


(まぁいいか。安いし)


「いいだろう」

「えっ、いいのですか?」


意外な顔をするミカン。

俺がくれるとは思ってなかったのかもしれない。


(あれ…ここは断るところだったのか…)


(しかしあげるといってしまった)


(遅いか……)


「あぁ。でもこれは猫用だから、ミカンは悪魔族だろ、体に悪いかもしれない」


「大丈夫です。一回食べてみます。それに胃は丈夫なんです。この屋敷は色々苦しかったので、いろんなもの食べてきました。でも、お腹を壊したことはありませんっ!バッチリです」


(お、おう…なんか力説された。悲しい事実だ)


「そうか……ほらっ、あげるよ、猫缶」


俺はミカンに猫缶を渡す。


「あ、ありがとうございます」


ミカンは大事そうに受け取る。

で、しげしげと猫缶を見つめる。


「スバル、これ、どうやってあけるんですか?」

「上にとっきがついてるだろ。そのリンクに指を通して、上にひっぱる感じだ」


「そうですかー。えいっ。あっ、あきました」

「よかった。気をつけろよ。ふたは鋭いから、指をきるぞ」


「注意しますね。では、いただきま~す」


指ですくって食べるミカン。


「うーーーん。なんだか不思議な味ですね。食べたことがない味です」


「で、どうだ?」

「美味しいです。お腹も痛くありません」


「よかった」


(ふん、体に悪くなくて何よりだ)


「じゃあスバル。私にも毎回お願いしますね」

「毎回?」


(えっ?)


「そうです。姫様にもあげてるですよね」

「まぁー3日に1回。今は2日に1回か」


「じゃあ、同じだけお願いします」

「いや、それは…」


(めんどくさいし)


「なんでですか?姫様に出来て、なんで私にできないんですか?おかしいです」

「いや、そうだけど……」


「よかった。ありがとうございます。さすがスバルです」


(んん?了承したことになってる)


(まぁ、いいか。ミカンには世話になってるしな)


(お互い様だ)


「分かった」


俺の表情を察したのか、ミカンは。


「大丈夫ですよ、スバル。皆には秘密にします。2人だけの秘密です」

「そうだな。子猫達に知られると、ほしがるだろうからな」


(ますます大変になるな)


「よかったです。スッ君はやっぱり良い子ですね」


(スッ君?)


「じゃあ、今日はもう寝ましょうか」

「だな」


(うん)


「そうだスバル?猫缶を渡すのはどこにしましょうか?皆に見られない場所が良いですね」


(それなら~)


「銅像の部屋でいいんじゃないか?あそこは夜、だれもこないだろう」

「そうですね。じゃあ、2日に1回、夜の23時に銅像の部屋でお願いします」


「おう」


こうして、俺とみかんの密会?場所が決まったのだった。




同時に俺は思った。


(気のせいか……)


(なんだか色々はめられている気がする………)


毎週、月曜:23時に更新予定です。


==============

エッセイ投稿しました。

「恋人がいない人は、これをちょっと見て欲しい」

※下部にリンク有


現代に、恋人がいない人が多い理由は、これなんじゃないかと思って書いています。


宜しければ、どうぞっ

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【2/5】続きのエッセイです↓
現代は恋人がいない人が多いですが…恋人はいた方がいい

 

【2/2】エッセイ短編です↓
恋人がいない人は、これをちょっと見て欲しい

 

【1/6】短編が好評?だったので、連載開始です↓
【連載版】生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした

 

新連載です~ (数話で完結予定です)↓
3日後、婚約破棄されます。

 

同時連載中です↓(タイトルあれですが、実は少年漫画っぽい話です)
妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか?【ヒグマ格闘編(石狩鍋) 】

 

とまっていましたが、連載再開です~↓
チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに
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