お土産の正体
週1更新予定
黒薔薇の宮殿に帰宅。
玄関に入ると……動く影。
(!?)
「ニャー ニャー ニャー」 (おかえりにゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (スバル~~~~)
「ニャー ニャー ニャー」 (会いたかったにゃーー)
子猫達が突撃してきた。
体に飛びつかれて、ひっつく。
(うぉ、すごい吸着力)
(森のひっつき虫みたいになってる)
「そうか、ただいま」
「ニャー ニャー ニャー」 (王城はどうだったにゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あたしもお城に入りたかったニャー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
「まぁ、ボチボチだよ。お城はお城だった」
「ニャー ニャー ニャー」 (今度は私もいくにゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あたしにゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
(どうなんだろう?子猫達は王城に入れるのだろうか?)
「こらこら、皆、スバルが困ってますよー。離れてください」
「ニャー ニャー ニャー」 (はーい)
「ニャー ニャー ニャー」 (ニャー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
ミカンが子猫達をさばいていく。
(さすがミカンだ。皆のお姉さん)
で。
全ての子猫を俺から引き離すと。
「スバル、では、王城でもらったお土産を皆で味わいましょうか」
「そういえば、何を貰ったんだ?」
(王城では教えてくれなかったからな)
「ふふふっ」
「なんだよ、その怪しい笑い?」
「じゃーん。これですよー」
ミカンは小さな袋を掲げる。
(んん?なんだそれ?)
「お茶っぱです」
「お茶っぱって、飲む奴か?」
「はい。各宮殿の葉を混ぜ合わせて作られた、お茶っぱです。とても美味しいって評判なんです。貴重ですし」
「ほーう」
(確かに、7つの宮殿の葉のを掛け合わせたものだから、貴重なのかもしれない)
(というか、俺がお茶会で飲んだ奴か)
「じゃあ、皆で飲みましょうか」
「いいのか?そんな大事なものを飲んで」
「大丈夫ですよ。貴重といっても、取れない訳ではありませんし、飲むのが慣習です。7つの宮殿の葉は、飲んだ者の運気を上げるともいわれていますしね」
(げんかつぎか)
「なら、お願いするよ」
「私がちゃちゃっといれてきます」
「宜しく頼む」
「ニャー ニャー ニャー」 (私のぶんもあるにゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あたしの分もニャー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
子猫達が騒ぎ出した。
「大丈夫です。ちゃんと皆の分がありますからね」
こうして、俺達はお茶を飲むことになった。
居間に移動して。
「はい、どうぞ。七つのお茶です」
みかんが机の上にお茶を置く。
「ありがと」
「ニャー ニャー ニャー」 (楽しみにゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あたしもニャー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
皆でお茶を飲む。
だが……
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちゃー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっついニャー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
子猫達は飲むのが難しそうだ。
猫舌だからな。
熱いのは苦手なんだろう。
「皆は冷めてからですね」
「ニャー ニャー ニャー」 (そうにゃーー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あつあつニャー)
「ニャー ニャー ニャー」 (あっちもニャー)
「じゃあ、俺はいただくか」
お茶を飲む。
(うん。やっぱりまろやかな味だ。お茶というより、紅茶に似ている味だ)
「どうですか、スバル?」
「美味しいよ。甘いし」
「そうなんですか。私も呑んでみますね」
ミカンもお茶を飲む。
「確かに、美味しいですね。心が落ち着きます」
「そうだな~まったりする」
ほっと一息つく、俺とミカンであった。
まったりタイム。
子猫達はお茶を飲み、多くの子はどこかに遊びにいった。
残っている子猫は寝ている。
そんな中、ミカンが俺に聞く。
「スバル、そういえば、なんだったんですか?」
「何が?」
「ほら、王城のお茶会で、音が聞こえました」
(音……青薔薇の聖女、麗華に殴られたことか…)
「なんでもないよ」
「ダメですよ。お姉ちゃんに教えてください。スバルのことは知っておきたいんです。気になって、夜も眠れません」
「そうか……なら教えるけど、青薔薇の聖女に魔法でなぐられたんだ」
「えっ?なんでそんなことになったんですか?」
(なんでって……)
「俺が青薔薇の胸の刻印をみたんだ?」
「むねの?」
「あぁ、服を捲って見せてくれた」
「す、スバル……!服を無理やり捲らせて、女性の胸を見たんですか?」
引き気味で俺を見るミカン。
(あれ…かんちがいしてないか)
「いや、違うぞ、ミカン、相手が自分でみせてきたんだぞっ。断じて俺からじゃ」
「じゃあ、なんで殴られたんですか?」
(いや、それは…)
「俺が誘導してみせたとか…いってたかな…」
「スバル、最低ですっ!そこまでして見たいんですか?」
ミカンがガッカリした顔をする。
「ち、違う、違うって。結果的にそうなっただけで、俺にはその気はひとつも……」
「ふんっ」
プイっと横を向くミカン。
呆れた顔をする。
(ふぅー、理由はなんであれ、ここは謝っておくか)
「ミカン、悪かったよ。もうしないよ。偶々でも。だから機嫌直して欲しいな」
ポンポンとミカンの頭を撫でる。
「そうですねー。なら、今日の夕食はスバルが作ってください」
「まぁ、いいけど」
「勿論、1週間に1回のルール以外ですよ」
「分かったよ。そうする」
「私はチャーハンが好きです」
「なら、ミカンが好きなチャーハン作るよ」
「なら、許します。それにスバルが変なことしないって信じてますよ。私は」
ニコッとするミカン。
(あれ?なら、チャーハンはなしでも……)
(んん?これはもしや、無理やり難癖つけられて、実はミカンが料理が食べたかっただけかも……)
ミカンはとても楽しそうにしているし。
「ミカン、今のは謀ったな?」
「な、な、なんのことですか?スバル、私、知りませんよっ」
動揺するミカン。
オロオロしはじめた。
(やっぱりか)
「スバル、約束したんですから。ご飯はお願いしますよ」
「分かってる。約束は守る」
「よかったです。ふぅー、私、頑張ったかいがありました」
(頑張った?)
ニコニコ顔のミカンだった。
週1更新予定です。
◆誤字脱字修正
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