お茶会の後
お茶会の間をでると・・
俺の頭の上から猫、黄薔薇聖女のミクが降りて駆け出していく。
その先には見覚えの有る胸の大きなお姉さん。
黄薔薇宮殿の乱華さんだ。
乱華さんはうちのミカンと話していたが、ミカンはちょっと調子が悪そうだ。
で。
ミカンは扉が開いたのをみると、俺の方にかけよってきた。
ミクとすれ違うようにしてダッシュしてくる。
乱華さんから逃げるようにダッシュしてきて・・・
バサッ
俺に抱きついてくる。
「スッ、スバル~会いたかったです。心細かったです~、本当にっ!」
涙目なミカン。
本当に会いたかったようだ。
必死感が有る。
「本当に!」ってとこが、かなり強かった。
というか、乱華さんから離れたかったのかも。
「そ、そうか。そんなに会いたかったか?」
俺が戸惑っていると。
「はい。お城の中にいると全然落ち着かないんです。オンボロ宮殿になれているからかもしれません」
「まぁ、そうだな。よしよし」
俺はミカンの頭を撫でる。
「う~ん。なんだかスバルの匂いを嗅いでいると落ち着いてきました」
俺の腕の中で気持ちよさそうな顔をするミカン。
(それは俺がオンボロって意味だろうか・・・)
暫く頭を撫でていると、ミカンはヒョコッと頭を上げる。
「そうでしたスバル。どうでしたか?中で大きな音が聞こえましたが・・・・実はちょっと心配しました」
「あぁ、とくになんともなかったよ」
(麗花に魔法を使われたが、既に全快済みだ。HPもMAXに)
「そうですか。よかったです」
ニコニコするミカン。
「で、ミカンは乱華さんと話していたのか?」
「はい。その・・・途中で会いましたので」
きまづそうな顔をするミカン。
乱華さんのことが苦手なのかもしれない。
前も戸惑っていたし。
「そうかそうか」
「はい。途中で会いましたので」
(いや、二度も言わなくても、苦手ってことは伝わってくるよ)
「それじゃ、行くか」
「はい、スバル、帰りましょう。ここはなんだかソワソワします。落ち着きません。危険です。それにお土産は私が先に貰っておきましたよっ」
腰のアイテムボックスをパンっと叩くミカン。
嬉しそうだ。
「何をもらったんだ?」
「ふふふっ、帰ってからのお楽しみで~す♪」
「そうか、じゃあ帰るか」
「ですね~」
「ふんふんふん~ん♪」と鼻歌を歌うミカン。
城を出れるのが嬉しいのだろう。
俺達が城を出ようとすると・・・
メガネが寄ってきた。
「スバル、その子に僕を紹介してないか」
ミカンを見るメガネ。
(そういえば・・・・御神は前に宮殿に来たとき、ミカンに会いたがっていたっけ)
(じゃあ、ちょうどいいから紹介するか)
「ミカン。メガネだ。緑薔薇宮殿の聖女だ」
「いや、違う、メガネじゃない、御神だ」
御神が訂正する。
「因みに御神はロリコンだ。ミカン、注意した方が良い」
「ち、ちがーうっ!」
抗議する御神だが・・・
「え、ええ・・・・そ、そうですか・・・・」
ミカンは俺の後ろに隠れて引き気味。
俺の腰にしがみつく。
(あれ、本当に御神がロリコンだと思って引いたのかもしれない)
「おい、スバル、君のせいで何か勘違いされただろっ」
「そうか?」
「ほら・・・・」
御神がミカンを視線を向ける。
その先では、ミカンがドン引きしている。
(うーん。確かにミカンは恥ずかしがっているようだ)
(でもそれは、ミカンが人見知りするタイプだからじゃないか)
(まぁ、とにかくミカンと御神は合わないのは結論が出たと)
ということで。
「御神、じゃあな」
「え?何故?まだ話も何も・・・」
戸惑うメガネ。
だが俺は、御神の肩を叩く。
「悪いな。ミカンは恥ずかしがりやさんなんだ。他の者と話すのが苦手だからさ」
(多分、そうだと思う)
コクリ、コクリと俺の後ろで頷くミカン。
頭の揺れが伝わってくる。
ミカンの頭が俺の背中に当たるのだ。
頭に角があるためか、ちょっと背中をグリグリされてくすぐったい。
「そ、そうか。それならしょうがない。また今度ゆっくり話すよ」
メガネは諦めて部屋を出て行った。
俺はミカンを見る。
御神がさったからか、若干元気が戻っている。
「じゃあ、ミカン、一緒に帰るか」
「そうですね。今日はいっぱい人に会って疲れました」
「家のフロに入れば良いよ」
「ですね。大きなお風呂は気持ちが良いです。心と体が休まります」
「そういえばミカン。子猫達も一緒に入ってるのか?」
「はい。私がお風呂に入れています。いつもは黒薔薇の水で癒してるんですけど、時々お風呂に入るようにしています」
(そうか・・・やっぱり)
(前にフロに入った時に、猫毛が浮かんでいたからな)
しかしあのフロは、毎日生贄ptを使用してお湯を変えているから、問題はないか。
※因みに2pt消費している。
それに子猫達も、黒薔薇の水でかなり清潔だし。
こうして。
ほっと安心した顔のミカンと、俺は王城を出たのだった。
現在、更新が停止している作品 (2週間以上)ですが、連載を再開する場合は、活動報告で連絡したいと思います。




