生贄システム
銅像の設置が終わって夕食を食べる。
ミカンの手料理だ。
肉じゃがだったが、中々美味しかった。
ミカンは料理が手馴れているためか、ほっこりする味だ。
家庭の味ともいえる。
何故か毎回塩っ辛いのが謎だが。
ミカンは塩味が好きなのかもしれない。
で。
食後。
居間で子猫の肉球を触って遊んでいると・・・・ミカンに聞かれた。
「スバル、そういえば狩ったホワイトラビットは残っていますか?」
(あっ、そうだった。ずっとアイテムボックスにいれっぱなしだ。腐ってないといいが)
「あるよ」
「じゃあ。生贄に捧げましょうか」
「生贄?」
「はいそうです。黒薔薇に捧げるんです」
(黒薔薇って・・・あの花か・・・この宮殿にどかんと生えている神聖な花。俺の右腕に文様を刻んだ花だ)
俺は毎日寝る前に花を見に行って、花の状況を確認している。
花の状況=俺の聖女化の状況だからだ。
※正確には黒薔薇にさいている、一つの蕾の確認だが。
因みに、今のところ俺の蕾に変化はない。
(まぁ、召喚4日目だから当たりまえか)
で。
俺は他の事をも思い出す。
「そういえばミカン、、黒薔薇って地下の魔物を栄養源にしてるんだっけ?魔力をすって?」
確か前に、ミカンがそんなことをいっていたはずだ。
黒薔薇の間で話していた。
「はい。そうなんですよ。黒薔薇にはエネルギーが必要ですからね。たくさんの魔力は必須です」
「確かに謎のエネルギーで満ち溢れているな。周りにマナがあふれ出しているぐらいだし」
「では、今から黒薔薇の間に行きましょう。生贄の方法を、お姉ちゃんがレクチャーしますね」
「そっか。じゃあ、行くとするか」
俺は子猫から離れようとする。
だが、「ニャー」といって、子猫が俺の頭の上に上る。
食後でポカポカ暖かい。
ゆたんぽだ。
「ニャーニャーニャ」 (あたしも行くにゃー。水浴びニャー)
「そうか、じゃあ一緒に行くか」
こうして俺達は黒薔薇の間へ移動した。
黒薔薇の間。
黒薔薇の周りではマナが浮かんでいる。
花の下はちょっとした池になっており、凄く綺麗な水だ。
確か・・・・地下水だったはず。
その綺麗な水を、子猫達がペロペロと舌を出して飲んでいる。
憩いの間になっているのだ。
俺の頭に乗っていた子猫もピョコンと降りて、他の子猫同様、水を飲みにいった。
で。
俺はミカンについていくと、彼女は黒薔薇の前にある台座の前で止まる。
「いいですか、スバル。花の前にある台座に生贄を捧げるんです」
ミカンは黒薔薇の前にある大きさな台を指差す。
「そうすれば、黒薔薇から恩恵を得られるはずです」
「恩恵?」
「はい。得られるものは捧げ物によって違いますのでなんともいえませんが・・・
それに、黒薔薇に生贄を捧げられるのは聖女だけなんです」
「へぇー、そうなのか」
「はい。私たちが置いても何も起こりません。でも、聞くところによると、聖女は色々凄いものが貰えるらしいんですよ」
目を輝かせるミカン。
これから何がでてくるかを期待しているようだ。
ワクワク一杯といった感じ。
「それにですね、生贄を利用できるからこそ、聖女が重要視されていたりもするんです。
聖女しか出来ないことの一つですから」
「ほーう」
「だから聖女が暫くいなかったこの宮殿はボロボロなんです」
「なるほど~」
(この屋敷の現状を見れば納得できた。隣の宮殿との格差が凄かったので。その原因が聖女不在だったのだろう)
「でも、これからは私たちも復活です」
元気よくガッツポーズするミカン。
それから俺を見る。
「ではっ、スバル、お願いします」
「おう」
俺はアイテムボックスからホワイトラビットを取り出し、とりあえず台座の上に置いてみた。
すると・・・
ポワーンと台座が光だし。
【ホワイトラビットLV3を生贄に捧げますか?】
頭の中で声が聞こえた。
(おおぅ・・・あのうさぎLV3だったのか・・・鑑定してなかったから知らなかった)
(って、今はそんなことを思ってる場合じゃないな)
俺は答える。
(あぁ、頼む)
プワーン
ホワイトラビットが光だし、黒薔薇に吸収された。
【ホワイトラビットLV3を生贄に捧げました。10pt獲得しました】
【現在の所持ptは10ptです】
(うん?なんか獲得した・・・pt?)
俺は疑問を思いつつも、頭の中での声は進んでいく。
【現在のptで獲得可能なリストを表示します】
==【アイテム】==============
1pt=石:ただの石
5pt=地下水:黒薔薇宮の地下水
10pt=生命の葉:回復薬として利用できる
=========================
(おっ、なんか出た)
目の前にウィンドウのような物が出る。
「あっ、出ましたね。スバル」
横にミカンが寄ってくる。
ミカンは俺の前の前にあるウィンドウを見ている。
「あれ?ミカンも見えるのか?」
「はい。同じ黒薔薇の文様を得ていれば見えるはずですよ。そう聞いています」
(そうなのか)
「で、今のリストで使えるものはあるか?」
「そうですね~。生命の葉は外で高く売れますよ。1枚10万G程で売れるはずです」
「そうか。それはいいな」
ミカンにある時確認したが、どうやらこちらのも物価はおおまか日本と同じようだ。
つまり、1円=1G。10万G=10万円。
「でもですね~、他の獲物も生贄に捧げてptに変換した方が良いです。もっといいものがあるかもしれませんから」
「そうだな。どうやら、自分の持っているpt分しかリストが表示されないようだし」
俺は残りのホワイトラビットを全て生贄に捧げ、ptに変換することにした。
アイテムボックスに入れておいても仕方ないからだ。
それに、ホワイトラビットならいつでも狩れるから。
プワーン
【ホワイトラビットLV3を生贄に捧げました。10pt獲得しました】
プワーン
【ホワイトラビットLV3を生贄に捧げました。10pt獲得しました】
プワーン
【ホワイトラビットLV3を生贄に捧げました。10pt獲得しました】
どんどんpt変換を繰り返していく。
そして最終的に。
【現在の所持ptは100ptです】
(よし、桁が一つ増えた)
「たくさんptです~~ptルンルンです~」
ミカン横で嬉しそうに微笑む。
嬉しいのか、俺に頬をすりよせてくる。
【現在のptで獲得可能なリストを表示します】
==【アイテム】==============
1pt=石:ただの石
5pt=地下水:黒薔薇宮の地下水
10pt=生命の葉:回復薬として利用できる
50pt=生命の大葉:回復薬として利用できる
100pt=黒薔薇の石:武器の製造に利用できる
=========================
(ふむふむ。色々出てきたようだ)
「スバル、中々いいですよ。 生命の大葉は 生命の葉の上位互換です。
それに 黒薔薇の石は貴重ですよ。かなり高額で売れるはずです。200万Gは固いはずです」
「ほーう」
(中々だ。ptが高くなればなるほど高価なものが手に入るのか)
それに10ptの 生命の葉がこちらの世界で10万G。
100ptの 黒薔薇の石がこちらの世界で200万G。
つまり黒薔薇の石x1は、生命の葉x10個分ではなく、20個分の価値がある、
ptを貯めればためるほど、現金変換効率が高いものが手に入るのかもしれない。
「スバル、とりあえず今日は何か一つ練習で獲得すればどうですか。ホワイトラビットならまた狩れるでしょうから」
「そうだな・・・」
(じゃぁ、ここは・・・堅実に行くか)
ポチッ
俺は一つのアイテムを選んだ。
【10ptを使用して、生命の葉を獲得しました】
なるべく安く&価値があるものを選んだの。
ポワン
目の前に現れる白く輝く葉。
多分これが 生命の葉だろう。
(念のため、一応鑑定で確認してみるか)
メガネイケメンを見たときと同じように、心で念じる。
(鑑定っ!)
【生命の葉:回復薬として利用できる】
どうやら本物のようだ。
鑑定でも 生命の葉と出た。
俺はまじまじと生命の葉を眺める。
(それにしても、中々綺麗な葉だな)
「綺麗ですね。この葉っぱ」
ミカンも同じ意見のようだ。
「だな」
しかし、いつまで見ていてもアレなので。
俺はアイテムボックスに 生命の葉をしまった。
「スバル、どんどんptをためれば、アイテムだけじゃなく、この施設も拡張できるはずです」
「そうなのか?」
「はい、他の宮殿は薔薇の恩恵、生贄で宮殿を大きくしていってるんですから」
「そうか・・・アイテムだけでなく施設も」
このオンボロ屋敷も変わるのかもしれない。
「この調子で行けば、いずれは隣の宮殿の用に豪華になるはずです。スバル、一緒に頑張りましょうね」
ミカンが俺の手を取る。
「そうだな。生活環境の改善は必要だし」
俺はミカンの手を握り返した。
こうして、俺は初めての生贄を終えたのだった。
活動報告でも書きましたが、twitter始めました。
↓
赤ポスト~小説家になろう@boom_klj
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短編投稿しました。
「ざまぁ」が書きたくなり、さらりと書いてしまいました。
冒険者系の「ざまぁ」になります。
宜しければご覧下さい。
↓
『生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした』
※ページ下部にリンク有り。




