ミカンのお願い2
到着したのはボロ屋敷にある空き部屋。
そこそこ広い部屋で、他の部屋同様ボロボロだが、床に穴は空いていない。
その点はちょっと驚いたと同時にほっとした。
(というか、この部屋だけ床が石っぽいな。汚れすぎていてよく分からないけど)
俺は試しに床を踏んでみる。
ガンガン ガンガン
硬い音がする。
(うん、かなり丈夫そうだ。しっかりとした感触がある)
(これなら大丈夫だろう。銅像を置いても床が抜ける心配はない)
強度の確認を終えたので。
「よーし、まずは掃除からだな。ミカン、先に部屋の綺麗にしよう。この汚い部屋のまま銅像はおけないだろ」
「そうですね。私、箒とちりとりもってきます」
ミカンが掃除道具を取りに行こうとするが・・・俺は止める。
「まて、ミカン」
「どうしたんですか?」
不思議顔のミカン。
「ちょっと試したいことがあるんだ」
「はい?」
こてっと首をかしげるミカン。
俺の意図が分からないのだろう。
「まぁ、見ていてくれ。それと皆、一旦部屋からでてほしい。子猫達もだ」
「わかりました。皆~、こっちですよ」
「ニャーニャーニャー」 (楽しみニャー)
「ニャーニャーニャー」 (お掃除ニャー)
ミカンと子猫達が部屋から出たのを確認してから・・・心に念じる。
(ステータスオープンッ!)
【名前】南雲スバル
【種族】人間 【年齢】17 【性別】男
【ジョブ】聖女
【レベル】1
【HP】390/400
【MP】60000/60000
【筋力】300
【魔力】110000
【丈夫さ】100
【魔法】
炎魔法LV55 土魔法LV20 回復魔法LV101
【固有魔法】
魔力自動回復LV101 異種間会話LV10 獣神使いLV1 付与魔法70
【スキル】
料理LV80 錬金術LV10 鑑定LV10 アイテムボックスLV3 ダンジョン召喚LV30 浄化LV101
【ギフト】
ステータス限界突破 スキル限界突破 魔法限界突破 固有魔法限界突破
可能性の身体 無限の進化
異世界会話 異世界文字 ネット通販
【称号】
異世界から召喚された者 黒薔薇の聖女 動物に愛されし者 神に愛されし者
【加護】
獣神の加護 創造神の加護 召喚神の加護 冒険の加護 ダンジョンの加護
(うん、毎回思うが恐ろしいチートステータスだな)
(で、えっと・・・・・)
俺は目的のものを探していると、他の事に気づく。
(あっ、HPがちょっと減ってる)
【HP】390/400となっている。
10減っているのだ。
多分、石像をアイテムボックスに入れたりしていたからかもしれない。
体力が減ったのだろう。
敵からダメージを受けなくても減るのはゲームじゃないリアリティだ。
(って、違う違う。俺が探しているのは・・・・あったあった)
(これだ、『浄化LV101』)
LV上限100を超えているスキル。
これを使ってみようと思うのだ。
浄化スキルなら、部屋を綺麗にするのも簡単だと思ったから。
(じゃあっと。やってみますか)
俺は心で念じる。
魔法を使用するときは、心で念じてイメージするのが大事っぽいのだ。
(部屋よ、綺麗にな~れ、ピカピカに。ピカピカに~)
俺はよくあるお掃除CMをイメージする。
フライパンの汚れた後と、洗浄後を絵を写したものだ。
(あれぐらい、綺麗になーれ)
すると・・・・
ピピピピピッ ピカーン
部屋の中が光・・・・
目の前に現れたのは、光り輝く部屋だった。
綺麗過ぎてピカピカ光っていた。
先程までくろづんでいた床は、なんと大理石だったのだ。
床が鏡の様に光り輝いている。
まったく別の部屋が現れた。
「ス、スバル・・・・しゅごい・・・なんですかこれ?」
横でミカンが口をあけたまま放心。
完全にかたまっている。
顎がはずれそうになり、ほほがピクピク痙攣している。
それぐらい驚いているのだ。
「ニャーニャーニャー」 (にゃ、にゃ・・・・)
子猫達も放心だ。
固まっている。石化したみたいだ。
だが俺は思う。
(しまった・・・・やりすぎだかも。まだ力を隠しておこうかと思ったんだが・・・遅いか)
「スバル、どういうことですか?いったい何したんですか?」
「ニャーニャーニャー」 (なんにゃ?ピカピカにゃ?)
皆俺を見ている。
スバルなんか、俺の服を掴んでユサユサゆすってくる。
勢いあまって抱きついてくる。
子猫達も「ニャニャー」 (なんにゃー?)っと興奮しながら俺の足に肉球パンチしてくれる。
たくさんの猫パンチだ。
(しょうがない・・・説明するか)
「ちょっと浄化スキルを使ってみたんだ」
「ええーー!スバル、浄化スキルがあるんですか?ビックリです。土魔法もありましたよね」
「あぁ。まぁな。大したこといよ」
「いや、すごいですよ。魔法にスキル。それにかなりレベル高いんじゃないですか。
ネズミの巣のみたいだった部屋が、今だと新築、それ以上、教会の聖室のようになっていますよー。ピカピカですっ!」
興奮するミカン。
俺に抱きついたまま話す。
ユサユサ俺の服を揺らす。
「ニャーニャーニャ」 (達人にゃー、ツルツルニャー)
子猫達は勢いあまって、ピカピカの床の上をツルーっと滑っていく。
スケートを開始した。
それぐらいピカピカなのだ。
「偶々だよ。汚れがひどかったからそう見えるだけ。元が良いんだよ、これ、大理石だろ?」
「そうですね~確かに・・・大理石です」
俺から離れてペタペタと床を触るミカン。
ツルツルの床を確認している。
「よし、じゃあ銅像を置いていくけど、どこに置けば良いんだ?」
このままスキルについて聞かれるのはさけたかったので、俺は次の行動に移る。
ミカンはスクっと起き上がって。
「そうですねー」
キョロキョロと回りを見回してから、腰のアイテムボックスから紙とペンを取り出す。
サクサクと何かを書いていく。
で。
数分後。
「スバル、こんな感じでお願いします」
ミカンが手書きの絵を見せる。
そこには像の並べ方の図案が書かれていた。
「よし、任せろ」
俺はミカンの図案通り、銅像を並べていった。
新連載開始しました。
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『妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか? 【連載版:全国ご当地グルメ編 】』
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現在連載している、妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか?【ヒグマ格闘編(石狩鍋) 】のIFバージョンになります。3章から大きく展開が異なります。
ヒグマ編では、途中からクマとのバトルになりますが、
こちらでは・・・
全国を転々としながらも、現地で恋をして、
観光地を巡り、美味しいご当地ご飯を食べる話です。
宜しければごらん下さい。