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ビーフシチュー

 宮殿に帰ってから料理タイム。

 家にあった材料で作ろうと思ったが、せっかくだからスキルをつかった。

 そう、「ネット通販だ」


 出てきたのはよくあるネット通販のサイト。

 通貨はこの世界のものでも大丈夫そうだった。

 試しにこのボロ屋敷、黒薔薇宮殿に落ちていたお金をいれると・・・


 チャリン


【10000ptチャージしました】


(お、おう。なんかすっごいポイントだ。さっき拾ったのは高価な通貨だったのかも・・・)


 因みにネットページを見る限り、pt=円の単位だ。

 つまり、10000pt=1万円分の買い物が出来る。


 で、俺が注文したのはビーフシチューの材料だった。

 カートにいれて注文を確定させると。


 ボシュ


 食材がいきなり目の前に出てきた。


(すごい宅配システムだ。魔法的な何かだろうか)



 ということで。


 俺は料理を開始した。

 ささっとつくって完成。

 そして皆にごちそうする。


「どうだ、上手いか?ビーフシチューだ?」


「す、すっごく美味しいです。こんなオンボロ宮殿でも、生きてて良かったです」


(ミカンもオンボロだと思っていたのか・・・・)


 美味しいのか、涙を流すミカン。

 その顔を見ていると嬉しい。

 俺の料理で喜ばしたのだから。


「ニャーニャーニャー」 (コクがあるにゃー)

「ニャーニャーニャー」 (こっちもコクがあるにゃー)

「ニャーニャーニャー」 (とろけるにゃー)


 どうやら大好評のようだ。



 俺も食べる。

 ぺロリ


 ガチャン 

 スプーンを落とす。


「な、なんだこれ・・・・異常に・・・美味い」


 俺の料理スキルLB80のせいだろうが、大変な美味しさだ。

 化け物だ。


 口の中で肉も野菜も瞬時に解けた。

 ビーフシチューのコクが喉を刺激する。

 おもわず食べた後も涎が出るぐらいだ。

 

 食べた後も、数秒唾液が出続ける。


 パクッ パクッ パクッ


 瞬く間に食べてしまった。



「「「「ごちそうさまでした!!!」」」」



 皆完食だ。

 満足して顔がテカテカしている。 

 子猫たちの毛並みもよく、しっぽが大車輪状態。大フィーバー。


「スバルの料理は最高ですね。癖になっちゃいます。お姉ちゃん、家事が上手な弟がもてて嬉しいです」

「だな。自分で自分の料理が恐ろしい」


 これはやみつきになる。

 とんでもない誘惑がある。

 まさに魔法だ。


「ニャーニャーニャー」 (明日も食べるニャー)

「ニャーニャーニャー」 (毎日食べるニャー)

「ニャーニャーニャー」 (毎食食べるニャー)


 子猫たちも調子に乗ってきた。

 だが、その気持ちは分からないでもない。


 だがしかし・・・


「これは、やっぱりセーブした方が良いスキルだな。俺の料理は一週間に一回にする。これを必ず守ろうと思う」


 こんな美味いものを毎日食べていると、他には何もしなくなる。

 ダメ人間製造機になるのは確実だ。

 一種の中毒を引き起こすレベルだろう。


「す、スバル・・・・私、毎日食べたいですぅ」


 涙目なミカン。

 ついでに涎もちょこっとでているので、少し汚い。


「ニャーニャーニャー」 (ニャー)

「ニャーニャーニャー」 (ニャー)

「ニャーニャーニャー」 (ニャー)


 同じように涙目を浮かべる子猫たち。

 子猫たちはプニプニ肉球で俺の頬をなで、懐柔しようとしてくる。

 肉球マッサージをしてきながら、「ニャー」とかわいらしい鳴き声をあげる。

 

 心にジワジワ来る。

 揺れるこころ。


(分かる・・・分かるぞ)


(皆、毎日俺の料理が食べたいのだろう)


 それぐらい今回のビーフシチューはレベルが高かったのだ。

 毎日食べられればどんなに幸せか。

 俺は思わず皆に共感して心が揺れそうになるが・・・・

 

 再度決意する。


「一週間ルールは絶対だっ!」


 じゃないと、ほんと料理以外何もしなくなりそうだから。

 だめ人間になってはいけない。

 ただでさえヤバそうなオンボロ宮殿なのだから。


「スバル・・・お姉ちゃん悲しいです」


「ニャーニャーニャー」 (ニャーもニャー)

「ニャーニャーニャー」 (あっちもニャー)

「ニャーニャーニャー」 (あたしもニャー)


 皆悲しそうな顔をする。


 だが俺はまけない。


「一週間ルールは絶対だっ!」


 鉄の意志で、再び宣言したのだった。




 

 少し離れた場所。


 スバル達の姿をこっそり影から眺めている、猫パジャマの女の子がいた。

 黒薔薇姫だ。 

 彼女が宮殿内をお散歩していると・・・良い匂いにつられて居間にやってきた。

 その時、居間では絶賛スバル達がビーフシチューを食べていた。


 黒薔薇姫はスバル達の食事シーンを見てつばを飲み込んだ。

 美味しそうな匂い、美味しそうに食べる姿。

 舌が唸った。

 お腹がへった。

 食欲がそそられた。


 黒薔薇姫は口に指を入れて、猫耳を揺らす。


「いいにゃ~~~~」


 思わず声が出る。


 だがしかし。

 姫の威厳のためか、彼女は中に入れなかったのだ。

 新参者の聖女の料理を皆の前で食べるわけにはいかなかった。

 まして、「美味しい」などとはいえない。


 これでも黒薔薇姫は神なのだ。

 神が臣下に何かをされて、簡単に喜ぶわけにはいかなかった。

 神の威厳の問題だ。


 黒薔薇姫は指を咥えながら、空腹に震えたのだった。


新連載始めました。 (こちらは数話で完結予定です)

宜しければどうぞ。

『3日後、婚約破棄されます。』

※ページ下部にリンクがございます。

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【2/5】続きのエッセイです↓
現代は恋人がいない人が多いですが…恋人はいた方がいい

 

【2/2】エッセイ短編です↓
恋人がいない人は、これをちょっと見て欲しい

 

【1/6】短編が好評?だったので、連載開始です↓
【連載版】生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした

 

新連載です~ (数話で完結予定です)↓
3日後、婚約破棄されます。

 

同時連載中です↓(タイトルあれですが、実は少年漫画っぽい話です)
妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか?【ヒグマ格闘編(石狩鍋) 】

 

とまっていましたが、連載再開です~↓
チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに
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