黄薔薇の宮殿
一部登場人物の名前を変更しました。
◆変更前
【名前】結城京司
【種族】人間 【年齢】17 【性別】男
【ジョブ】聖女
◆変更後
【名前】御神京司
【種族】人間 【年齢】17 【性別】男
【ジョブ】聖女
夕方部屋に戻ってきて気づいた。
寝室のベッドに小さな板が置いてあった。
緑薔薇の宮殿に選ばれた聖女、メガネ美少年、御神が持ってきた奴だ。
「あっ、回覧板まわしてなかった」
俺が慌てて隣の黄薔薇宮殿に持っていこうと思ったが・・・
ミカンの言葉を思い出した。
『ダメです。そっちは黄薔薇の宮殿です。他の宮殿に勝手には入ってはいけません。わ、私が怒られちゃいますー』
こんなことを言っていたはず。
ミカンに一応聞いたほうが良いな。
宮殿の中を探すと・・・ミカンを発見。
「ミカン、回覧板回しに黄薔薇宮殿にいくんだけど、俺一人でいっても大丈夫か?
前に他の宮殿に入るとまずいっていっていただろ?」
「大丈夫ですよ。でも、一応私もついていきましょうかね。挨拶もありますから」
「そうか。じゃあいくか」
「はい」
俺とミカンは隣の建物に。
さすが大きな宮殿だけあり門番がいる。
ミカンがチャイムを押そうとするが・・・・強面の門番ににらまれてビクッとする。
で、俺を見て帰ろうとする。
「おい、ミカン。逃げるな」
「えへへへ・・・ですね。ついうっかりしてました」
ミカンがチャイムを押そうとするが・・・ピクリととまる。
(何故か緊張しているようだ。しょうがない)
俺がミカンの手の上から押した。
ピンポーン
「きゃっ!逃げろー」
ミカンが全力で逃げ出す。
「な、なにやってるんだよ。ピンポンダッシュすなー!」
ミカンを捕まえる。
手をバタバタバしている。
「離してくださいー。離してくださいー。私は帰って寝るんです」
「何しにきたんだ?落ち着け」
俺がミカンの頭を撫でると。
「・・・・・そ、そうですね」
落ち着くミカン。
そんな俺たちを門番が見ている。
怪しい者だと思われているのかもしれない。
(実際めちゃくちゃ怪しいが)
門番が寄ってくる。
「なんの御用でしょうか?」
「俺たち黒薔薇の者です。回覧板を渡しに来ました」
「そうですか。お待ちを」
なにやら建物内に入っていく門番。
顔は怖いが、意外と礼儀正しかった。
ビックリだ。
で、出てくる女の人。
(あっ、前に王城で見た胸が大きいお姉さんだ)
「あら、どうしたの?聖女君でしょ」
お姉さんが俺に聞く。
容姿がかわっても一発で分かったようだ。
お姉さんは俺のことをよく見ていたのかもしれない。
(ちょっと嬉しい)
(いや、喜びをかみしめてる場合じゃない)
(返事をしないとな)
「はい。聖女の回覧板を持ってきました」
「ふーん。で、なんで隠れてるの?」
「?」
お姉さんは俺の後ろを見ていた。
俺は自分の腰に手がかかっているのを感じた。
そう、俺の後ろにミカンが隠れているのだ。
「おい、ミカン、何してるんだ?」
「えっ、何もしてませんよ」
きょどるミカン。
「いや、俺の後ろに隠れてるだろ」
「えへへへ・・・ばれちゃいましたか。お恥ずかしいです」
ひょこっと俺の横にくるミカン。
胸の大きなお姉さんはミカンをみる。
「ミカン、あんた、ちゃんとやってる?」
「はい。乱華さん。この通りしっかりしてますよ」
腕まくりしてアピールするミカン。
(な、なんだか微妙な空気だ・・・)
「ミカン、知り合いなのか?」
「はい、私の先輩なんです」
「ってことは、悪魔族ってこと」
「そうですよ。乱華さんも悪魔族ですよ」
(へぇー、そうなのか。全然違うな。ミカンはちっこいけど、乱華さんは色々大きい)
(おっと、そうだ。これ渡さないと)
「回覧板です」
「あら、ありがとうね」
乱華さんは回覧板を受け取る。
「スバル、じゃあ、帰りましょうか」
ミカンは速攻でここを後にしたいようだ。
俺の手を引く。かなり強く。グイグイと。
「まって、ミカン、お茶でも飲んでいかない?」
「え・・・・・」
乱華さんの誘いに固まるミカン。
彼女は俺を見る。
「あなたもどう?聖女のスバル君」
「はい。そうですね・・・」
俺が受けようとすると。
ミカンが涙目で必死に首を振っている。
すんごい目で俺を見てくる。
(ミカン、そんなに嫌か・・・)
「やめときます。ミカンもやることがありますから」
「そう。残念ね。またいらしてね。お隣さんだから」
「はい」
俺とミカンは帰ったのだった。
帰り道。
ミカンはどんより落ち込んでいた。
「ミカン、何であんなに脅えてるんだ?苦手なのか?」
「違います・・・乱華さんは危険なんですよ」
「そうなのか、優しそうだったよ」 (胸も大きいし)
「見た目だけです。大変なんですから」
(ミカンの方がこっちの世界は詳しいからな。色々あるのかもしれない)
「まぁ、元気出せミカン。今日は俺が料理を作ってやるから」
「いいんですか?一週間に一回でなくて?」
ニコッとするミカン。
「まぁ、いいだろう。例外だ」
「やったー。早く家に帰りましょう。とっても楽しみです」
ニコニコ顔のミカンであった。
「ふんふんふん~♪」と口笛を吹くのであった。




