黒薔薇の宮殿の構造
黒薔薇の部屋。
黒薔薇が部屋の中央に鎮座している。
神秘的な雰囲気だ。
マナがいたるところに浮かんでいる。
「スバル、見てください。あの蕾、あれがスバルの花です」
「ほー、あれがー」
黒薔薇に一つの蕾が出来ている。
「あの蕾が咲き乱れる時、スバルは聖女となるのです」
「へー、そんな方法で分かるのか?」
「はい。私が毎日この花の手入れをしていますからね。きっと元気に育つはずです」
楽しげに話すミカン。
そして、黒薔薇の下の水をすくって何かを確認している。
「よし、水質OKー」
よかったらしい。
「ミカン、この花の下は水というか、小さな池になっているよな。というか、この屋敷の下ってどうなってるんだ?」
「なんですか急に?」
不思議顔のミカン。
「いや、屋敷の床の下ってそこが見えないだろ。どうなってるのかなって?」
この屋敷には穴がいっぱいだ。
で、穴の下は底が見えない。奈落の落とし穴だらけ。
「下は巨大な穴ですよ。私、一度落ちたことがあるんですけど、すっごく怖かったです。
何日も洞窟の中をさまよったんですから。魔物もみました」
その時の記憶を思い出したのか、ブルブルと震えるミカン。
自分の体を抱きしめている。
「おいおい、そんなところの上に屋敷があって大丈夫か?下から襲ってこないのか?」
「大丈夫ですよ。姫様の力で抑えられているんです。それに、魔物たちは黒薔薇の栄養源でもありますし」
「栄養源、どういうことだ?」
「下の魔物がエネルギーを作り出しているんです。魔物の魔力を黒薔薇が吸収しているんですよ。
まぁ、詳しいことは姫様しか知らないんですが」
(ほーう。黒薔薇の根が魔力を吸収しているのか・・・)
「後、この水もどこから来てるんだ?地下水か?」
「そうですねー。水は・・・地下水みたいなものだと思います。
昔、誰かが水源までもぐって調査しに行ったことがあったはずです。
とにかく問題ないですよ。この水は澄んでますから」
水をすくって飲むミカン。
美味しそうに微笑む。
「まぁ、色々な仕組みでなりたっているんだな」
「はい。今は蕾に十分な栄養を与えるのが大事です。では、寝室に戻りましょうか」
「だな」
「ふんふんふん~♪」を鼻歌を歌うミカンと共に、俺は寝室に戻った。
俺はベッドの上で考える。
それはベッドのことだ。
俺のベッド、ミカンのベッド、子猫たちのベッド。
それらを比べると、俺のベッドが一番しょぼい気がする。
まぁ、新参者だから仕方がないが・・・
あれだろうか。
この宮殿内のヒエラルキーは以下のような感じなのだろうか?
【黒薔薇の宮殿:ヒエラルキー】
【上】
黒薔薇姫
ミカン
子猫
俺 ←ここっぽい
【下】
(まぁ、よく分からないが)
というか他の人をまったくみないだが、どうなんだ?
メイドすらいないぞ。
俺はベッドで「ふんふんふん~♪」と鼻歌を歌ってゴロゴロしているミカンに聞く。
「ミカン、この宮殿に他の人はいないのか?」
「はははっ・・・・」
苦笑いのミカン。
(なんだか嫌な予感がする)
「どうした?」
「昔はたくさんいたんですが、今は私と姫様と、子猫達だけなんです」
「そうか、昔の人はどうしたんだ?」
「外出中です」
「で、いつ帰ってくるんだ?」
「はははっ・・・・・・・・・いつでしょう。きっとこの宮殿が復活すれば戻ってきますよ」
(まぁ、そういうことなのだろう)
人気がない宮殿からは、人が離れていったのかもしれない。
「そうだな。じゃあ、一緒に頑張るか」
「はい。スバルの頑張り次第では、どんどん入居者が押し寄せます」
笑顔一杯のミカン。
(いや、そんなに期待されても・・・)
―――暫くミカンと談笑してから、俺は布団を被って寝たのだった
短編の連載始めました。
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『妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか?【連載版】』
又、止まっていた連載も再開しました。(こちらも、暫く毎日投稿です)
『チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに』