緑薔薇の美少年
ホクホク顔で狩りから帰還。
黒薔薇宮殿を歩いていると・・・・
「ふんふんふん~♪」っと、御馴染みの鼻歌が聞こえてくる。
この声は・・・・
「ちょりっす、スバル。どうでした?」
上機嫌なミカンが現れた。
何かいいことでもあったんだろう。
「大量だぞ」
俺はアイテムボックスからラビットを取り出して、さくっとみせる。
「す、すごい・・・スバル、子猫に助けてもらったんですか?」
ミカンは俺の頭の上の子猫を見る。
ネコは「ニャー」っといって、ミカンの腕の中に。
ミカンは「よしよし」と猫の頭を撫でる。
「あぁ、まぁな、そんなとこかな・・・・」
「そうですね。そうでないとLV1には難しいはずです。実はお姉ちゃん、少し心配していたんです」
うんうんと頷くミカン。
「でも、よくやりましたね。こっちにきてください」
(なんだ?と思いつつ近づく)
「よしよし、よくやりましたねー。お姉ちゃん、嬉しいです」
俺の頭を撫でるミカン。
「・・・・・・」
俺はビックリして固まる。
ぞくっと背筋が凍る。
「な、なにすんじゃー!」
「えへへへ、よくやりましたね。では、ご飯にしましょう。今日はお姉ちゃんが頑張ってみました」
そうして夕食になった。
料理は肉じゃが。
子猫に聞いたが、ミカンの得意料理らしい。
中々美味しく、俺はペロリと平らげた。
◇
で、夕食をたべてゆっくりしていると。
ドンドン
扉を叩く音が聞こえる。
ボロ屋敷だから音が響く。
そして。
「おい、誰かいないのか?」
声が聞こえる。
ちょうどミカンがいなかったので、俺が宮殿の入り口に行く。
「誰だ?」
俺が扉を開けると・・・・目の前には美少年がいた。
そう、一緒に召喚されてきた奴だ。
確か、緑薔薇の宮殿に選ばれたていた。
選んだ人は色気の有るお姉さんだった。
というかこいつ、よくみるとインテリっぽい顔をしているな。
メガネもかけているし。
相手は俺を見て・・・イケメンスマイルを浮かべる。
「君、黒薔薇宮殿がどこにあるか知らないか?この辺りにあるはずなんだけど・・・」
「え、いや、ここだけど」
認めたくはないがな。
「このボロ屋かい?正気か?」
「あぁ。俺も最初は驚いた」
メガネ美少年は少々驚いてから・・・・
「それでは、聖女を出してもらえるかな?」
ということは、つまり俺に用か。
「聖女に何か用か?」
「聖女用の回覧板を渡しにきたんだ」
(ほーう、そんなものがあるのか)
「よかったな。俺が聖女だ」
俺は堂々と宣言するが。
「嘘をつくな。聖女はこう・・・もっと太くて、顔がパンパンだ」
つまり、デブ&ブス聖女を出せということか・・・
「それは元俺だ。今はこうなった、聖女化の効果らしい」
「・・・・・嘘をつくな、早く本物を出してくれ」
「いいや、本当だって」
俺が熱く言い放つと。
美少年は俺をじーっと見てから。
「本当か?別人だろ・・・まぁいい、ちょっとまつんだ。嘘をついても直ぐに分かるからな」
美少年は俺を見る。
凝視される。
(何?視姦?一目ぼれ?)
【注意!注意!鑑定を使用されています。防御しました】
頭の中で声が聞こえた。
「なんだ?お前、鑑定がきかない・・・・まさか本物か?」
美少年が驚いている。
(鑑定云々は知らないが・・・・メガネは俺のステータスを見ようとしたらしい)
(で、何かの力が働いて自動的に鑑定をブロックした)
「本物だ」
俺が再度いうと。
「それなら、ジョブより上は開示してくれ。ステータスは秘匿事項だが、それなら問題ないだろ。確認したい」
(へぇー、そんなことできるのかー)
俺はとりあえず頭の中で念じる。
(ジョブより上を開放)
すると・・・
【鑑定に対して、ジョブより上を開示しました】
「よし、確認できた。どうやら本物のようだな」
メガネ美少年は頷く。
「だからいったろ」
(というか、俺も美少年を確認した方が良いか)
鑑定を使用する。
頭の中で念じるのだ、【鑑定】!
【名前】御神京司
【種族】人間 【年齢】17 【性別】男
【ジョブ】聖女
(おっ、いくつかの項目が見れた。名前は御神というらしい)
「そっちも確認できたか?」
「できた」
「ということで、これだ。回覧板。中身を見たらサインして次の聖女、黄薔薇に渡してくれ。
確か・・・猫だったと思うが」
俺は回覧板を受け取る。
美少年はひょいひょいっと俺の後ろを視線でさぐっている。
ボロ屋の奥を見ようとしているのだ。
「なんだ?どうした?」
「その・・・・あれだ。あの女の子はいないのか?王城で君を指名した子は」
「あぁ、ミカンか、家のどこかにいるんじゃないか?」
「そうか・・・・」
残念そうな顔をするメガネこと、御神。
「なんだ、お前ロリコンなのか?」
「ち、ちがうわー!そういう意味じゃない。まぁいい、僕はこうみえて忙しいからね。確かに回覧板を渡したぞ」
「おう。色気の有るお姉さんによろしくな」
御神はさっていった。
俺は回覧板を持ち、家の中に戻った。
居間で回覧板を見る。
(えっと、なになに・・・・)
『回覧板にて情報を伝達します。4/10に聖女様のお茶会を、王城にて開催します』
(4/10って、一週間後か・・・・近いのやら遠いのやら)
すると、ミカンが部屋に入ってくる。
「ちょりっす、さっき誰か来たんですか?」
「あぁ、緑薔薇の勇者が来た」
「そうですか。それで、スバルは何を読んでるんですか?」
「回覧板だよ」
「そういえば・・・聞いたことがありますね。聖女様しか内容が見えない回覧板」
「へぇー、そうなのか。この文字が見えないのか?」
俺が回覧板をミカンの前に持っていくが。
「見えないですよ。多分、ジョブ=聖女専用の文字が使用されていると推測します」
(そんなことができるのかー。魔法は便利だな)
「で、何が書いてあるんですか?」
ちょこんと俺の横に座るミカン。
「一週間後に聖女のお茶会だって」
「そうですか・・・ならっ、着るものを用意しないといけませんね」
「この服?学生服だとまずいのか?」
「んんー、どうでしょう。経験がないのでわかりません。何かスバルにあうもの、お姉ちゃんが用意しておきますね」
「そ、そうか。頼む」
「さてと、じゃあ、お花を見に行きますか」
ミカンが立ち上がる。
「お花って、黒薔薇のことか?昨日も見ただろ」
「毎日見る方がいいんですよー」
目をランランを輝かせるミカン。
「ミカン、花が好きなのか?」
「はい。綺麗ですし。それに何より、聖女化の進行具合を確認できるんです」
「ほう、どうやって?」
「お花を見れば分かります。ほら、いきますよ。スバル、ぼさっとしないでください」
「お、おう。押すなよ」
俺はミカンにつれられて、花の部屋に移動した。
短編の連載始めました。
宜しければ、ページ下部のリンクよりどうぞ。(暫く毎日投稿です)
『妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか?【連載版】』
又、止まっていた連載も再開しました。(こちらも、暫く毎日投稿です)
『チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに』