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未読少女  作者: 青戸透
3/3

3

大変お待たせしました。

休日というのはどうしてこんなにも早く終わってしまうのだろう。

週が開けた月曜日の登校中、僕はそんなことを考えていた。

思い返せば、先週の金曜日には不登校になろうか、なんて考えていたのに学校に来る僕はいわゆるMなんだろうか。

自分の気質を疑っていると、校門前で後ろから「おはよー佐倉くん!」と声をかけられた。

僕に声をかける人なんて川上くらいしかいないのですぐにわかった。

「おはよう、朝から元気だな、委員長は。」と返すと「週開けだから元気だよ、副委員長くん。」と大変不本意な呼ばれ方とともに返ってきた。

「普通に名前で呼んでくれよ、委員長なんて役職名で呼ばれたいの川上だけだからな?」と文句を言うと川上は「えー、かっこいいと思うんだけどなー」と口を尖らせていた。

「私の下につくんだから、私の感性くらいわからないとだめだよ?」と川上が言ってきた。

偉そうに。

そんなやり取りをしながら上履きに履き替えて、各々の教室に向かった。

別れ際に「今日は昼休みに図書室に来るの忘れないでよー」と川上が言ってきたので適当に返事をしておいた。




朝から体力を使ったからだろうか。

午前中の授業は全く身に入らなかった。

昼休みになると同時に僕は昼ご飯を持って図書室へと向かった。

図書室に着くともう既に鍵は開いていて、指定席には川上が座っていた。

川上は僕の顔を見るなり「今日はちゃんと来たんだね。」とにやにやしながら言ってきた。

僕は、「知っていればちゃんと来るさ。」と返し、指定席に座りご飯を食べることにした。

相変わらず図書室には誰もいない。

ここは日当たりがいいし、窓を開ければ風通しもいい。

しんと静まり返っている図書室は居心地が良かった。

図書委員になって案外良かったかもしれないな、なんて思ってると、川上が普通に「図書委員になってよかったよねー」と言ってきた。

自分の思っている事を当てられるとは思ってなかったので僕は盛大にむせてしまった。

そんな僕を見て川上は「あれー?佐倉くん、もしかして今そう思ってたー?」とにやにやしながら聞いてきたので、お茶を飲んでから「たまたま、むせただけだよ。そんなこと思ってない。」と否定した。

落ち着いてから、図書室はいい場所だけど人と関わるのはやっぱりな…と気持ちを整理すると今度は、

「む、今邪魔だって思わなかった?」と川上がむくれながら言ってきた。

あまりにも予想外だったので、もう一度盛大にむせる僕。

「ち、違うよ、たまたま、たまたまむせただけ…」と慌てて弁明した。

川上はまたもにやにやしながら「まあ、いっか」とそれ以上何も言わなかった。

川上は妙に勘が鋭いようで、僕の天敵になると気づいたのはこの時だった。

残りの昼休み、僕は何もせず(というか体力を使い果たして何も出来ず)川上に昼休みの仕事終了、と言われるまで指定席に座って天日干しされていた。

教室に戻る時、川上が「放課後も忘れちゃだめだよ?」と言ってきた。

僕は適当に頷いておいた。

川上がいなくなった後、大きくうなだれた。

放課後も天日干しが決定したのだった。

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