表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

第4話 野盗と村人と未来のシェルター(2)

一行は、村の中で一番大きな家である、村長(むらおさ)の屋敷で、宿泊することになった。

一部の村人の中には、最初は少々警戒するような者もいたが、西陣経康らの働きかけにより、敵ではない、ということがわかると、すっかり意気投合し、うち解けていった。

「あのー。我々は決して、怪しい者ではございませんので…。」

村には家々の他、田畑が広がり、いかにも古き良き日本の農村風景、といった感じの村だった。

「このあたりには、野盗なども出没するようですが…。

なんと!あなたがたは、その野盗を退散して、ここまで来られたと!?

いやはや、さようでございましたか。

どうりで、お強そうなお侍様と、お見受けいたしてはおりましたが…。」

村人たちとたわいのない会話をしているうちに、あっという間に、夕暮れ時となり、そして夜のとばりがおりた。

夜になるとこのあたりは真っ暗闇となる。

当然、街灯などあるわけがなく、明かりを照らすのは、月明かりと、星明かり。

それと、たいまつや、ろうそくの光だけだ。


北条早雲と、西陣経康、それとお供の者たちと、村長(むらおさ)と、その家族たちが集まり、夜食をいただく。

明かりは外のたいまつと、食事どころの広間の、ろうそくの明かりだけ。

これだけでは薄暗く、お互いの顔も見えにくい中での食事。

少々不気味な感じもする中、まずは村長(むらおさ)があいさつをする。

「このたびは、遠路はるばる、この村にお越しいただき、まことにありがたく存じます。

何もない村ですが、今夜は食事を用意しておりますので、お召し上がりください。」

すると、使用人と思われる者たちが、食事を持ってきた。

食事の献立は、大盛の米のご飯と、野菜の入った汁、それと、川でとれた魚を焼いたという、焼魚だ。

あとは、漬物というか、お新香というか、これもこの村でつくっているらしい。

山奥の村にしては、食材は豪華だなと思った。

あとは、水はいくらでも飲めるらしい。

「このあたりの水は、汲んでそのまま飲めるくらい、きれいな水ですからねえ。さあ、どうぞどうぞ。」

村長(むらおさ)は、この村の水はきれいな水だと、いかにも自慢げに言った。

それじゃ、もう腹も減ったし、いただくとするか…。

「それでは、いただきます。」

一同、食事の時は、黙々と、言葉を発することなく、いただいた。




「ごちそうさまー!」


お腹いっぱい食べた後は、眠くなってきた。

もちろん時計などないから、正確な時刻はわからないが、もう夜も遅くなってきたな…。


一同、就寝時間に入る。そして皆、眠りにつく。「おやすみなさーい。」


そして深夜。皆が眠りについた頃、あたりには、フクロウの鳴き声だけが聞こえる。


そして、空には明けの明星が輝き、日は昇り、翌朝を迎えた。


翌朝の朝食も、昨晩の夜食と、あまり変わらないような感じだったが、おいしくいただけた。

「して、これからどちらに参られるおつもりですかな?」

村長(むらおさ)が訪ねる。すると、早雲は、

「この先、関東に赴き、我らの国を築く。

狙いは、伊豆、そして、相模だ。」

関東に行くことが目的だと話す。さらに、自分たちの理想の国を築く目的の地として、伊豆、そして相模をあげた。


そして朝食を済ませると、早雲たちは、この村をあとにすることに。

もちろん、西陣経康も、同行することに。

「目指す先は関東、そして伊豆、相模に、拠点を築くということ。

たしか、ここから山を下れば、大きな町に着く。

大きな町か…。久しぶりだな…。

大きな町なら、いろんなものが売ってるだろうし、情報も聞き出せるかもしれないな。」


西陣は、内心、とりあえず早雲の一行についていけば、食いっぱぐれることはまずないと、思っていた。

そしていよいよ出立の時を迎えた。

「それでは我々はこれにて出立する。」

「ご武運をお祈り申し上げております。」

村長(むらおさ)や、その他の村人たちに見送られながら、早雲の一行は、村をあとにした。


それからしばらく進むと、西陣は、

「そうだ、万が一、道に迷ったりして、宿泊先のあてもなくなってしまって、途方にくれるようなことがあったら、これを使うといいよ。」

そう言って西陣が取り出したのは、仮設のシェルターというものだった。

「な…、なんだこれは?」

「これはシェルターと呼ばれる、臨時の時に使う、仮設の宿泊施設ですよ。

今回はたまたま村が見つかってよかったですが、またいつ同様のケースがあるとも限らない。

そういう時のために、このシェルターというものを、用意しておくといいですよ。

実際、僕らも、このシェルターをよく使うことがあるんですよ。」

「何…!?シェルターとな?

…そのような便利なものがあるというのか…。」

このシェルターを見て、早雲はすぐに勘づいた。

「そなたは、もしや、この時代の者ではなく、

この時代の、ずっと後の時代、つまり、未来の時代から、ここにやってきたのか…?」

そこまで勘づかれたら、仕方がない。

西陣は、早雲と、お供の侍たちに、今までの事のいきさつを、ありのままに話した。

皆最初は驚いたような表情だったが、その後すぐに、事のいきさつを理解してくれたようだった。

「なるほどな。にわかには信じられないような話だが…。」


ようやく全てを理解して、うち解けたといった感じだった。


そして、山を下り、ようやく次の目的地の、大きな町に、たどり着いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ