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第四話

 翌日の昼、マリーナさんと一緒にラーメン屋ナギサに向かった。

 着いてすぐに、あの指輪を付け、厨房の端っこに邪魔にならないように座る。

 メランダさんの話によると、これは電気を厨房にある専用の機械に貯めておくこともできるらしい。

 魔力というのは、血液のように体中を駆け巡っていて、そのスピードが速ければ速いほど、電気に変わるのが早く、その分多くの電気を作ることができ、貯めておけるという話だった。

 俺の生きていた世界では、そういう技術がまだなかったから、少し驚いた。

 とりあえず俺の魔力どうかはわからない、けど、さっきからその機械がすごい音を立ててるんです。


「あんた、すごいね」


 と、ラーメンの湯切りをしながらメランダさんが言った。


「メランダさん、この音大丈夫なんですか?」


「大丈夫だよ、あんた魔力の巡回が速いから、もうあの機械も満タンになっちゃったのさ、ありがとな、帰っていいぞ」


「いや、マリーナさんと帰ろうと思ってるんで、邪魔じゃなければここにいてもいいてすか?」


「手伝おうとはしないんだな、ハハハ、いいよ、そこに居な」


 すいません、接客業は苦手で。


「あの、マリーナさん大丈夫ですか?」


 というのも、店はあまり広くないので、接客はマリーナさん一人でやっているのだが、さっきから水をこぼしたり、器を割ってしまったりと、失敗ばかりしていた。


「ちょっとおかしいね、今まで全部完璧にこなしてたんだけど、あんたを意識してるんじゃないの」


「じゃあ俺帰ったほうがいいですかね?」


「いや、いいよ、あんたにはこれからも来てもらうんだから、マリーナにも慣れてもらわないと」


「そうですか」


 マリーナさんのあたふたした姿はとてもかわいらしかった。

 助けてあげたくなるような、ってマリーナさんがあんなに困ってるのになんで俺はのんきに座って。

 

「パリンッ!」


 マリーナさんがまた。

 よし!行くぞ俺!


「メランダさん、ちょっと行ってきます」


 あれ、俺今少しだけかっこいいかも。


「マリーナさん、大丈夫?」


 と言い、お客様にも頭を下げる。

 でも、やっぱり人に見られるのは苦手だ。

 ブサイクだなぁと思われてるんだろうか。

 そんなふうに俺が考えていても、マリーナさんは顔をパァと明るくさせ、キラキラした目で、俺を見ていた。


「イオリさん、ありがとうございます」


 俺は今まで、蔑まれて生きてきた。

 俺を見る目は死んでいた。

 でもマリーナさんは違くて、こんな俺のことを好きと言ってくれて、マリーナさんの目はすごく明るかったんだ。

 生きる希望のような存在、できることならずっと一緒にいたい。

 だから、


「マリーナさん、俺たち付き合いませんか?」



ここまで読んでいただきありがとうございます。

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