プロローグ
とある島。
大規模な火山活動により海の真ん中に現れたその島は、数世紀を経た今もなお領地を拡大せんと噴煙を上げている。
形成された大地に潮風に舞った種子が根を張りやがて大きな森林になり、生物が住み着き、気付けば島独自の生態系を成していた。
学者はその島を「神の実験室」と名付けた。
調査隊を派遣し、島を調べあげ、幾つもの新発見をした。
だが、そんな島に興味を持つのは学者だけではない。
一部の資産家がこの島を金のなる島になると踏んだのだ。
新種の生態系や豊富な自然は、博物館や観光、各種レジャーに使える。島全体を大きなレジャーランドとして活用するというプロジェクトだ。この提案に乗る者が集まり、開発計画は進んで行った。
しかし、その開発を島が拒んだ。
幾度となる地震により建設途中の建物が崩壊を繰り返し、驚異的な繁殖力を持つ植物が伐採された領地を取り戻す。やがて潤沢だったはずの資産も無くなり、多くの投資家が離れて行った。
そしていつしか開発は中断。島には人間が残した傷痕の廃墟群だけが取り残された。
だが、諦めが悪いのも人間だ。
次はその脅威の自然を利用しようと考えたのだ。
木々が茂るジャングル、岩肌を覗かせる海岸、生命を遮断する火山、隆起した山脈、そして、廃墟群。そのすべてを使い、過激なレースをしてはどうかと。
そしてそれは当たった。
今までにない超過激なレースは多くの資産家を虜にし、世界中の誰もがオリンピックよりも待ち望む世界イベントになった。
そして、今年もレースが開催される。
ルールは一切なし。勝ちたければ殺してでも順位を上げろ、生きたければ相手を殺してでも生き残れ。
世界一過酷な無法レース「モーターストーム」の始まりだ。




