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 「告ったってなんだ?」当然父さんのチェックが入る。「告ったっていうのは告白したってことなんだろう?リツは男に告白したのか?なんだそれ!女って言うのはな、男に好きだって言わせなきゃいけないんだぞ」

 母さんが応える。「だからハルちゃんが言ってくれてるじゃん」

 じゃあ母さんは実のところ、私とハルちゃんが付き合ったらいいと思ってるのか?そう思ったら同じ事をハルちゃんが聞いた。

「ありがとうございます。なんかオレ全然信用はされてないままみたいな感じですけど、お母さんは僕との事を認めてはくれてるって事ですよね」

そこでハハハとミノリ君が笑ったので全員に睨まれた。

「いや、だって本当に兄ちゃん信用されてねぇから面白くって」



「私っていうか」と母さんが言う。「リツがハルちゃんを受け入れてきてるから」

 ねぇ?という感じで私を見るが私は返事が出来ない。

 なぜなら確かに受け入れてきてると自分でも思っているからだ。

「だから中村さんの事も聞いたわけだもんねぇ?」母さんが私に言う。「そりゃあ気になるよね~~」

だからいくら言ってきても返事が出来ないんだって。

 気になってるから。

「そうなの?リツ」ハルちゃんが嬉しそうに聞く。

返事が出来ない私を父さんがじっと見る。

「お前は見た目で男を判断してるのか?」

 んん…どうなんだろう。絶対そうじゃないと言いきれない。

 ハルちゃんの見た目じゃなかったら、私はハルちゃんのどこに引かれてチュウまでされちゃったんだろう。

 それはまず、むかしの思い出を共有してる所だとは思うけど。すごく好きだって、ずっと好きだったって言ってくれたから?最初はそれが全く信じられなかったのに、この短い間にもう信じてきてるわけか私。

 どうなんだ、どうなんだ私…




 長い一日だった。

最終的にその後父さんがハルちゃんとミノリ君に、「お父さんと呼ぶのを止めなさい。君たちのお父さんじゃないんだから。まだリツが君と付き合うと言ったわけじゃないんだろう」と言い出し、むかしのように『おじさん』と呼ぶように強要し始め、それでも『君たちのお父さん』と自分で言った後に、ハルちゃんとミノリ君のお母さんと離婚したお父さんの事を思い出して、まずい事を言ったと思ったのか、バツの悪い顔をして何も話さなくなり、ハルちゃんとミノリ君はそれぞれバイクと車で帰って行った。




 そして二人が帰った後、私に何も言って来ない父さんと母さんだ。二人で示し合わせたように何も言わず、母さんだけがチラチラと私を見る。

 そして母さんが父さんに言う。「私たちの若い頃とは違うんだって。女の子は特にいろんな人と付き合った方がいいの!そしてダメだったらすぐ別れて次の人に行ったらいいんだから。リツはいつまでも引きずってるけど、あんな元カレ別れて良かったんだって思わなきゃいけないのに。私だってもっといろんな人と付き合ったら良かった」

 え~~~。

 父さんも、え~~~~、という顔をしたがそれきり何も言わなかった。



 ベッドに入って当然今日一日の事を振りかえるが、本当にお腹いっぱいの一日だ。

 結局私はどうするんだ?

 このままハルちゃんに誘われるままどんどん…そう思いながらハルちゃんとのチュウ以上の事を妄想しかけて自分で引く。

 うわ~…

 どうするんだろう。

 月曜のドライブもどうするんだろう。



 どうするんだろうどうするんだろうと思いながら寝たので、どうしようもない夢を見てしまった。

 むかしの夢だ。本当にうちの隣にハルちゃんがいた頃の夢。

 私とハルちゃんは昨日の夜のように花壇の端に腰かけてアイスを食べていた。

 でも夢の中は夜じゃない。白っぽい明るさのある空の下に私たちはいた。

「りっちゃん、チュウしよう」と小さいハルちゃんがアイスを食べながら言う。

「チュウ?チュウって子供はそんな事しないよ」と私は応える。

「でも牧先生と泉田先生はしてたよ」と小さいハルちゃん。

ヤダな、と口には出さず夢の中の心で思う私。

「泉田先生は牧先生を好きなんだってさ」とハルちゃんが言う。

 知ってるよそんなこと、とまた口には出さず思う。

「おっぱいも触ってたし」とハルちゃん。

 おっぱいまで!子供のハルちゃんの前で?

 私の手には持っていた棒付きのチョコアイスが溶けて垂れて来て、それが着ているワンピースにもついてしまう。

「あ~あ」とハルちゃんが言う。「早く食べないから。ワンピース脱いじゃいなよ」

え?

「ほら」と言った瞬間ハルちゃんは今の大人のハルちゃんに変わっていた。「ばんざいして」

 大人のハルちゃんが私のワンピースを脱がそうとする。私も今の大人の私にいつの間にか変わっていた。

「ダメダメダメ!」

そう口では拒否しながらも、ダメだ!あっ…ハルちゃんに脱がされる!



 巻くしあげられたワンピースが頭を通過するところで目が覚めた。

 いかがわしい夢だ。チュウもしなかったのに随分性的な要素を含んだ夢だった。

 …ダメって言ってた割には抵抗してなかったな私…いや、ぶっちゃけ脱がされてもいいと思ってたような気がする…

 いや、「気がする」とか、自分を今ごまかしたが、確かに脱がされてもいいと思ったのだ。こういう事しちゃうんだな、と確かにあの時脱がされながら思っていた。

 現実の私が受け入れきれずにいるハルちゃんを、夢の中の私は受け入れていた。


 夢だから。と思う。現実じゃないんだから。現実の私がハルちゃんに今ワンピースを脱がされようとしたら、きっともっと抵抗するし、ちゃんと逃げ出せる。

 あれは夢だったから。

 でもそれは心の中の私がハルちゃんとそうなってもいいと思っているって事だ。

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