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私のダメダメ感 2


 「…ハルちゃん?」

ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ…ぺっ。

「オレはたぶん、すげぇ意地悪なんだよ。リツがオレのせいで困ったりするのを見るとちょっと嬉しいから」

 どういう事どういう事どういう…今の、泉田先生がマキちゃんをっていうのは、ハルちゃんが私に意地悪言ってるって事?

 ぐちゅぐちゅぐちゅ、ぺっ、と口をすすいでハルちゃんが喋る。

「昨日泉田先生に告ったばっかなのに、今日はオレとチュウしたし、それでどうしようどうしようって思ってる顔を見てるとすげぇ、もう胸がきゅううってなってくる。気持ち悪いなってさすがに自分でも思うけど」

「…」

「ごめん。でもどうしたってダメだよ泉田先生は。オレと同じなの」

 オレと同じ?



 ハルちゃんが歯ブラシを洗いながら言う。「幼馴染の牧先生の事が忘れられないって」

 幼馴染なの!?

 それも知らない。

 飲み過ぎてマキちゃんが泉田先生の服にゲロ吐いたくらいしかしらない。

 …あっ!!マキちゃんが泉田先生の事を何か言いかけてた…

 私がマキちゃんにハルちゃんの事が好きなのかって聞いて、違うっていうから、泉田先生の事が好きなのかって聞いたら、なんかちょっと間があってから確か、「まぁいいや」って言ったのだ。



 ハルちゃんが説明する。「泉田先生は牧先生が先に就職した塾に追っかけて来て、しかも追っかけだってわからないように、じいちゃんの知り合いに紹介状を書いてもらうっていう手まで回して偶然を装って就職したんだから」

「…マジで!!」

ケラケラとハルちゃんが笑ったので急激に怒りがこみ上げる。が、ハルちゃんは私の口に自分の人差し指をそっとあてて「声大きいって」と言った。

 パシッと私はその手を払う。

 声なんて関係ないよ。なんだソレなんだソレなんだソレ…

「でも本当だよ。牧先生はそういう事全部わかってて、偶然なんだって振りを一緒に続けてるって。だから何にも進展しないって泉田先生愚痴ってた」

「それマキちゃんからも聞いたの?」

「リツは全然知らないのかってオレが牧先生に聞いたら、リツが本気で泉田先生の事好きみたいだから言えないって言ってた。牧先生は泉田先生の事を別にそういう対象では見てないから、リツに話そうとしたけど絶対気にするだろうから言えないって。幼馴染って事は、牧先生が秘密にしておくようにって泉田先生に約束させてるんだって。話したら絶交するって言って。可愛いよね二人。子供みたいで」

「ひどい!マキちゃん一番仲良くしてくれてたくせに」

 そういうのは黙っておく方が酷い事だって、マキちゃんなら絶対思うはずなのに。しかも泉田先生を恋愛対象とは見ないなんて、何さまだマキちゃん!



「いや牧先生はリツの事がすごく好きで大事なんだよ。もっとリツが本気で頑張って泉田先生とうまくいったらいいのにって心から言ってたから」

「そんな事ない!ハルちゃんとの事面白がってけしかけてたじゃん」

「あれはリツがそうしたら泉田先生の方へはっきり行けるんじゃないかと思ったからだって」

 なんかみんなにバカにされて、みんなに騙されて、みんなにのけものにされてるような気しかしない。

 だからもう絶対に4人でドライブなんか行きたくない。



 いやだ~~~~~~っ!

 実際叫びたかったが我慢した。夜だし。隣にハルちゃん居るし、母さんもいるし、…あ…でもやっぱ叫びたいな。叫んだらちょっと心が落ち着きそうな気がするけど。動けなくなった私を見てハルちゃんが意地悪く微笑む。

「しかもオレらと同じぐらいの時だって。泉田先生たちも、はじめて会ったのは。二人はどこかの島にいたらしくて、むかし泉田先生は結構体弱くていじめられたりしてた時にいつも牧先生が助けてくれてたって。それで牧先生は島から引っ越して行っちゃうんだけど高校の時にまた二人は再会して、で、大学でまた離れちゃったけど、その後また仕事で一緒っていう…」

「…」

「泉田先生は高校の時に付き合ってたって思ってるみたいで、でも牧先生は付き合った事なんて1回もないって言ってるけど」

 やっぱりひどい。マキちゃん、ちゃんと話してくれたらいいじゃん!

 私が強く嫌だと思ってるのはたぶん、泉田先生がマキちゃんを好きって事よりも、私がマキちゃんから何も聞かされてなかった事だと思う。



 それでも食い下がって聞いてみる。「泉田先生、少し前に彼女いたの、私知ってるんだけど」

「あ~それは牧先生の気を引くためにやったらしいよ」

そんな事まで最近来たばっかりのハルちゃんから聞く事で、疎外感半端ない。「うそでしょ?」と言うのが精いっぱいだ。

 だって…なんかあり得ないそんなの…

 え?え?え?と思いながら泉田先生と並ぶ小さいマキちゃんを思い浮かべる。

 …あり得ないはずなのに似合ってるような気がする!



 飲み会の時も泉田先生はマキちゃんが酔い過ぎないかすごく気にしてたもんな…帰りも心配してたし。何であそこで気付かなかったんだろう。エリカ先生の事をやたら気にしてたのもマキちゃんの気を引くための振りか?

 可愛いな泉田先生。


「それを知っててドライブにマキちゃんも誘ったの?」ハルちゃんに聞く。「まずその事知ってて泉田先生に私を誘わせて、それでマキちゃんも誘ったの?」

「どうしたの?怒った?」

そういうハルちゃんが笑っていてものすごく嫌だ。怒るに決まってる!

「私にはその事ずっとだまったまま4人でドライブ行く気だったんでしょ?」

「まぁ牧先生はこの先も泉田先生と付き合う事はないってきっぱり言ってたから」

 だから何だっつの。泉田先生がマキちゃん好きな事には変わりないじゃん!

「泉田先生はオレと自分がかぶってるから、奥田よりオレの味方してくれるようになったんだよきっと」

 やっぱ怒らない。いや…怒ってもいる。でも怒るより哀しい気持ちがすごくするけど。

 …あ~でもやっぱ腹立つ…なんで私はあんなにハルちゃんに心が揺れたんだろう。夜に二人きりっていう状況でか?しかも泉田先生にふられてたから。

 あんなチュウされたらダメだった。バカだ私。もう帰ればいいのにこの人!



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