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不安定 3

 また手を繋がれて歩くが繋いでる手に汗を感じる。今度は有無を言わさず繋がれた。連行されてるみたいな感じだ。

 ハルちゃんの手ではなく、私の手が汗ばんでいるのだ。ハルちゃんの手の中でやたらぎこちなくなる私の手。幼馴染の男の子に、振られて別れた彼氏と手を繋いで歩いているところを見たと言われて、少し変な劣等感を感じてしまう私だ。しかもその幼馴染と今手を繋いでいる。

 ハルちゃんも彼女と一緒だったのかな。

「もっとゆっくり歩こ?」ハルちゃんが言った。

 私はハルちゃんと、見た事のないハルちゃんの綺麗な彼女が仲良く歩いている姿を想像する。ハルちゃんと彼女も手を繋いでいるのだ。今私たちがそうしているように。

 その時私と私の元彼がそうしていたように。

 そう考えると今ハルちゃんと手を繋いでいる事が、やっぱりおかしなことだと思えて来る。

 それにしてもいつ、どこで見られたんだろう。私と私の元彼はどんな感じで手を繋いでいたんだろう。もう元彼は今の彼女の事を考えていたかもしれないのに。

 気になるけれどその話は掘り下げたくない。



「こうやってずっと繋いでたい」

優しい声で言われてドキン、とする。こんなセリフでも当たり前のように言えるんだな、とも思う。私も一応慣れてきた感じがするけど、手を繋いでいるとドキドキ感が増すんだな、と冷静に判断する。

 でもどんな顔をして言ってんだろうと思って、まじまじと顔を見てしまって失敗した。



 そのまま肩を掴まれ、今まで繋いでいた片手は離されて私は後頭部をがっしり押さえられ、チュウされた。

 チュっ、と1回ほんの軽く、そして肩を掴んでいた手を背中に回されぎゅうっと抱きしめられた。

 え!

 えぇ!!

「え!…ちょっと!!」

と声を出したら、後頭部を抑える手に力を入れられ、ムゴッと私のあごはハルちゃんの鎖骨で押さえられて喋れなくなった。

 

 今私チュウされた!ほんの一瞬だったけど確かに…

 チュウされたチュウされたチュウされたチュウされた…

「すごく嫌だった」とハルちゃんが言う。

 えぇ!?

 嫌って!勝手に急にチュウまでしといて嫌とか…

 何とかハルちゃんの体を自分から引き離そうとするが全くうまいかない。

「リツが他のヤツと手をつないでたのが」

 え…

「オレだけがずっと繋いどきたい」

でもその後ハルちゃんは言った。

「今の無しだから」

 え!無しって何!

「今何もしてないから。なんもしてないよ。なんにもしてない。今から体離すけど何にもなかったんだから普通にしてよ?いい?騒ぐのもだめ」

 何?どういう事?と考える間に、ポン、ポン、ポン、と背中を軽く叩かれゆっくりと体を離される。


 ほんとに何!どうとればいいんだろう今の。激昂しても許される立場にあるとは思うんだけど…わかんない。チュウしたくせに「今何もしてない」って言った。何か言ってやりたいけど何も言えない。


 そのままハルちゃんが先に歩き出す。今度はもう手もつないでこようとしない。私がまだ間が抜けた感じで立ち止まっていると振り返って、「ほら」と歩くのを促された。

 何だろう…どうとったらいいんだろう。私の頭の中はグルグルと空回りする。

 うちのすぐそばの、4メートルくらいの幅の川を流れる橋の所まで歩くとハルちゃんは立ち止まって言った。

「この橋のとこでさ、よく一緒に川の水眺めたよね」

今さっき、私確かにチュウされたよね?

「5分だけでいいからさ」とハルちゃんは言った。「一緒にここにいてくれる?」

「橋の上にって事?」

「うん。ここにただ一緒にいて欲しい」


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