ぐだぐだ感 3
「マキちゃん、私ラーメン食べて帰りたい」
私はやはりマキちゃんを誘ってしまう。2次会には行きたくないし、このまま帰るのもなんとなく物足りないし、やっぱりマキちゃんに話したい。マキちゃんがどの程度面白がるか計りながら小出しでいろいろ話してみよう。
「ふん?」マキちゃんが言ってくれた。「やっぱ2次会行かないの?今度は頑張ってイズミィのそばに行ってみなよ」
「無理だよ」
「もっとガンガン行きゃあいいじゃん。いつまでたっても何も進展しないって、そんなんじゃ」
私もそう思うけど…
「イズミィなんか、ちょっとおっぱい触らせたらすぐ寄ってくるかもよ?」
それはないと思うけど…そこまで泉田先生がおっぱいに弱いとしたら、私の貧乳じゃ到底無理だ。逆に舌打ちされそうな気がする。
でも、そこまでおっぱいに弱い泉田先生も可愛いなぁ。他の人がそんな風だったら気持ち悪いけど、泉田先生だとそれが可愛く思えてしまう。
「いい、もう。とりあえず今夜はマキちゃんとラーメン食べたい。明日からまた頑張ってみるよ。…どうかわかんないけど。このままうだうだ2次会行っても、私離れた所からただ陰気な感じで見るしかできないよ」
ハルちゃんのカーディガンどうやって返そうかな。今持って行ったらきっとまた一緒に帰ろうって言われる。しかも今度は女先生たちの前で。せっかく盛り上がっている女先生たちの前でそんな事、恐ろしくてできない。
明日は塾が休みだけど、どうせ毎日のように会うんだし、今日は預かったままこっそり帰ろう。
会もお開きになって後日返すことに決めたハルちゃんのカーディガンを手に持ったまま店を出る。
外に出ると、長袖のワンピースと薄手の自分のカーディガンだけでは肌寒い。バッグに持って来ていたショールを肩からかけたけれど、それでも少し肩をすぼめてしまう。
「それ、着ちゃえば?」マキちゃんが私の手に持ったハルちゃんのカーディガンを指して言った。
「ダメだよ借りたものだし」
「いいじゃん、リッチィのために貸してくれたんだから。知らない人のじゃないんだし寒かったら着ちゃえばいいんだよ」
ホラ、とマキちゃんにさらに促されて上から羽織ってしまう。泉田先生に見てもらおうと思って、帰る時の肌寒さまで考えずにこんな格好で来たのが間違いだったと思いながら。
ごめんハルちゃん。さっきはちょっと嫌がったくせにカーディガン借りてしまうよ。
羽織ってみてやっぱり大きいなと思う。7部丈が8.5部丈くらいになっている。
マキちゃんが笑いながら言ってくれた。「結構そのワンピと合ってるよ。もうもらっちゃいなよ」
私たちは店を出ようとする直前に泉田先生に「もう帰るんか?」呼び止められた。まぁ呼び止められたのは私じゃないんだけど。
「おい牧、大丈夫か?」泉田先生は心配そうな顔でマキちゃんを見降ろしながら言った。「滅茶苦茶呑んどったろう?」
「全然大丈夫~」マキちゃんはあっさりと答える。
「そんならえぇけど…りっちゃん、わりぃんじゃけんど、ちゃんと見てやってな」
「はい!」
勇んで返事をして見せたが心はもちろん穏やかじゃない。なぜマキちゃんだけを心配する。そしてなぜ私の服の事には何も言わない。許せんな、泉田先生。許せん…
「りっちゃん、今日は一緒に呑めんかったけぇど、あのな、奥田が言っとったんじゃけぇど今度一緒に呑みに行こうや」
ぱぁぁぁっと自分の顔が5割増しで明るくなったのがわかる。「はい!ありがとうございます。マキちゃんの事任せといてください」
やった!!泉田先生に誘われた!
泉田先生がにっこり笑う。私もにっこり笑い返す。
結果的に幸せな感じで終われたから今日の飲み会はよしとしよう。




