表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/131

行くのか行かないのか 2

 私だって泉田先生がいないなら、あんまり行く楽しみがないような気がしないでもない。前回の塾の飲み会は泉田先生が前の彼女と別れる直前にあったから、泉田先生は飲み会の間にイライラしながら何回かメールを送っていたし、結局早く帰ってしまったのだ。その彼女に会って話をする、とかで。

 泉田先生の隣で呑めたらなぁ。酔った振りとかしてちょっと寄りかかったりなんかして…

でもエリカ先生の隣とかでニヤけながら酒を呑む泉田先生を見る確率の方が断然高いけど。



「リツの好きな人も来るかな?」

ハルちゃんは私の考えている事を見透かすように笑った。

「え?…」と、とぼけてみる。

「何でわざわざ隠そうとすんの?どっち?泉田ってやつと奥田ってやつとどっち?」

「えっ!!」

「絶対泉田の方だよね」

「…塾長に聞いたの?」

「じいちゃん知ってたのか…じいちゃんから聞いたわけじゃないんだけど、今日朝礼の時に、リツそっちの方ばっかり見てたから。オレの紹介してんのに。奥田ってやつ、何か話しかけてたよね?何話したの?」

「知り合いですかって聞かれただけだよ。ミノリ君が私の方に手を振ってきたから」

「でもな~~奥田先生の方だったら断然オレの方がいい感じだと思うけど、泉田先生はカッコいいね!」

意外な言葉に一瞬ニヤけたのを咎められる。

「うれしそうじゃん。嫌だな」

「…」

「やっぱり泉田先生か~~。オレも仲良くしよう。泉田先生と。だってリツの好きな人だもんね」

…!!



「それで?」とハルちゃんがもう一度聞いた。「行くの行かないの?」

「行こ!」とそこに、ぴょん、と飛んできた感じで現れたのはマキちゃんだった。

マキちゃんは私と同じ小学生を主に担当している英語の講師で、私より2、3歳は年上らしいのだが私よりも年下に見えるキュートな、牧メグミという女の先輩先生だ。メグとかメグミと呼んでいた女友達に良い思い出がないらしく、私には「マキちゃん」と呼ぶようにと言ってくれて、私が働き始めた頃からずっと仲良くしてくれている。


「新しく来た先生だね~~」と背の低いマキちゃんが背の高いハルちゃんを下から見上げて聞く姿がなんとなく小動物のようで可愛い。が、マキちゃんは続けた。

「もしかして、実はリッチィの彼氏?」

マキちゃんは私をリッチィと呼んでいる。

 ハルちゃんが「はい」と答えそうなのをすかさず私は遮った。「隣に住んでたの!むかし」

「幼馴染かぁ。イケメンさんだねぇ。リッチィの事が好きなの?ずっと朝礼の時リッチィの事見てたよね?」

「はい」

「あ~~」とマキちゃんが残念そうな声を出す。「でもね~リッチィには今好きな人がいるんだよ」

私は慌ててマキちゃんを止める。「マキちゃん!」

「あれ?言っちゃダメなの?」

「…ダメじゃないけど」

「歓迎会行こうよ、イズミィも来るよ!」マキちゃんが元気良く言った。

 マキちゃんは泉田先生の事をイズミィと呼んでいる。泉田先生は教え子たちからもかげではイズミィと呼ばれているのだ。もちろん泉田先生はそれを耳にすると「先生と呼べや、コラ」って言って怒ってみせているけれど。

 マキちゃんがうらやましい。



 フフッとハルちゃんが笑った。「来るって。じゃあリツも来るんでしょう?」

何か嫌だなこういう言い方。

「行こうよ!」マキちゃんがなおも明るく言う。「たくさん飲も!」

つい、うん、と私はうなずいてしまった。

「じゃあ行くって事で」ハルちゃんの笑顔が嫌な感じだ。「帰ろう」

へ?私さっき自転車で帰るってちゃんと言ったのに。

「牧先生」ハルちゃんがマキちゃんに言った。「泉田先生の事いろいろ教えて下さい。オレ泉田先生に勝たないと」

「そうなの?断然勝ってるよ大丈夫大丈夫!」

 ハハハハと二人で笑うが私は全然面白くない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ