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言ってみたら 2

 約束のダブルデートの月曜日。

 バカだ私は。

 たぶん最終的に、私にあんな電話をハルちゃんにかけさせて、今日気まずい思いをさせるために、マキちゃんはカズミさんをけしかけたんじゃないかとさえ思えてきた。

 なにも夕べじゃなくて良かったのに。今夜、ドライブが終わってから言ったら良かった。

 ハルちゃんが迎えに来てくれるのが怖い。どんな顔をして来るんだろう。

 ていうか、私がどんな顔をして待つんだろう。

 そう考えたら夕べは眠れなくなった。



 夕べの電話を切った後、私が頼んだ通りに折り返しの電話はなかった。しんとする部屋でとたんに後悔を始める私。そして自己嫌悪に陥る私だ。

 しないで、って頼んだんだから、電話が無いのは当たり前だし、実際あったらあったでとても気まずかっただろうから、無くて良かったのだけれど、今までのハルちゃんだったら確実に折り返して電話をしてきたんじゃないだろうか…

 そしてそれを、無いのは当たり前とか気まずいはずと思いながらも、私は確実に待ってたな。



 怖いな。どんな顔で私を迎えに来るんだろう。

 着て行く服もさんざん迷ったが、結局生成色に紫の小花が散った模様の七分丈のブラウスと黒の細めのボトムスに、グレーのパーカーという極めて地味ないでたち。仕事の時に来てる服と変わり映えしない。

 たぶん泉田先生に告った直後、まだマキちゃんの事を知らない私だったら、泉田先生を絶対振り向かせたいと思って、ちょっと短めのスカートで無理して行っていただろう。でも今となっては…

 夕べの電話があっての今日、やたら女を出した服にして行ったら、それこそハルちゃんが逃げ出すかもしれない。

 私が男だったら絶対にそんな痛い女子は嫌だ。



 行きたくないな。行きたくない!

 9時少し過ぎた頃ハルちゃんが迎えに来た。

 母さんはもう仕事に行っていて家には私一人。ドアチャイムに返事をしてドアを開ける。

 良い天気だ。初夏並みの暖かさだが空気は爽やか。良かったとほっとする。

 良かったちゃんとハルちゃん来てくれた。顔が合わせづらいけど。

 「おはよ」と言ったハルちゃんが一瞬ニッコリ笑ったが、私と目が合った後、少し目を反らす。

 うわ、…もう目をそらされるとか!

 そういう感じになるかもと、ちゃんと予想していたにも関わらず、結構打撃を受けてる自分が嫌だ。だから笑顔を作って、ちょっと小首までかしげて言ってみた。

「おはよ!」

ハルちゃんが一瞬目を見張ったのを私は見逃さない。そしてまた目を反らされる。



 ハルちゃんも普通の格好だ。ていうかグレーのパーカー!!

 ハルちゃんは紺色に細かい水玉模様のシャツの上にグレーのパーカー、そして黒めのジーンズ。私のパーカーの方がちょっとだけ色が薄い。しかもジーンズの色もほぼかぶってるけど…

 どうしよう…これは着替えた方がいいよね?だってこれじゃもろペアルック。

 あの電話の後ペアルックとか…本物の偶然で、ハルちゃんのせいでも私のせいでもないけど重ねて気まずい。

 それでも気まずいなりに、「ヤダぁペアルックみた~い」と言って反応を見たい衝動に襲われたが、その後の怖さを思ってもちろん止めにする。今の私にはそんな勇気はない。夕べの私は勇気があったな~~なんであんな電話かけれたんだろう。

 今も結構目を反らされてるだけで打撃を受けているのだ。心の弱い私だ。



 「ちょっと待っててくれる?」と私はハルちゃんに頼む。「パーカー暑そうな気がするからカーディガンに替えてくる。なんか…ジーンズも履き替えてくるから!」

「いや!」とハルちゃんがそれを止めた。「時間ないし!そのままでいいよ」

 本当に?心の中でだいぶん首をかしげる私だ。

 ほんとのほんとにいいの?ペアルックみたいだってもちろんマキちゃんにも絡まれるはず。



 ぎこちなくハルちゃんの車に乗る。出来れば後部座席に乗りたいのに、ハルちゃんが助手席のドアを開けてくれた。

 そのまま泉田先生たちと待ち合わせ場所の、車で10分ほど郊外に出たショッピングモールの駐車場へ向かうが、助手席にいる私の方を今日はハルちゃんがあまり見ようとしない。居心地が悪すぎる!

 マジであんな電話かけなきゃ良かった。

 全てマキちゃん姉弟のせいだ。



 待ち合わせ場所にはもう泉田・牧チームが来ていて、泉田先生の車がジープだったので、わぁかっこいい~と思いながらも、4人一緒の車に乗るわけではなく、待ち合わせ場所に来たそのままのペアで、2台で目的地に向かうらしい。そしてそれは泉田先生が強く望んでいるらしい。

 心の中で舌打ちをする。自分の欲望に忠実だな泉田先生。泉田先生がそう言うんだったら『わかりました』って言う他ないよね?

 私はこんなにハルちゃんと二人が気まずいって言うのに。



 そして泉田先生の車から出てきたマキちゃんの姿に唖然とする。

 ショートパンツ!

 古いジーンズを自分で切りましたってやつだ。今日はまぁ初夏くらいの暖かさとはいえ…そして薄手の黒のストッキングを履いてるとはいえ…うわ~~、黒の薄手って言うのがなまめかしいな…それで細すぎもせず、太すぎもせず、ちょうど良い肉感の脚。

 許せんな。絶対泉田先生が手を伸ばしそう…私だって触ってみたい。もしかして泉田先生もう触ってる?マキちゃんさえ許せばそりゃ触るよね。ていうか夕べやっぱ泉田先生、マキちゃんとこへ泊まったんじゃ…私には関係ないけど…泊まったかどうか聞きたい。



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