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言ってみたら 1

 嫌だな。カズミさん。

 私もハルちゃんの事を信用できなくて、ハルちゃんから15年ぶりの熱が冷めてしまったら、急激に私に興味を無くすだろうとは思っているけれど、でもそれを他人に突っ込まれたら嫌だ。

 まして今日初めてちゃんと喋ったようなカズミさんにまで言及されるとかなりイラっとくる。

 それはたぶんハルちゃんが、今私を好きだと言ってくれている男の人だという前に、私の大切な幼馴染なのだからだと思う。私にとっても大切な男の子だったのだ。ずっと。私はともかく、他の人には悪く言われるのを聞きたくはない。



 でも、一時の気の迷いみたいな感じでハルちゃんが私を好きだと言っていると、やっぱりみんな思うんだな?

 カズミさんだけじゃない。マキちゃんだってそう思ってるから、ミノリ君やカズミさんをけしかけるようなマネしてるんだろうし、母さんだって父さんだってそうだ。

 母さんなんか取りあえず、すぐダメになったとしても次に行ったらいいって言ってたし…



 私から『好き』って言ったら、ハルちゃんは本当に私から興味を失くしてしまうんだろうか…

 う~~ん…

 失くしそうだな98パーくらいの確率で失くしそう。今日送ってくれる時にも、高山先生からの手紙を受け取った事をショックだって当たり前に言ったら、あっさりそんな事言われたら気が抜けたってハルちゃんは言ってたし…



 好きって言ってみようかな。

 ものすごく言ってみたくなってきた。言った後どうなるのか確かめたい。

 けど言えないな。

 恥ずかしい。

 でも恥ずかしいと思うって事はやっぱり好きって事だよね?いや、ちゃんと好きだとも思っているのを私はちゃんとわかっている。でもそれがチュウやエッチをしたい好きかって言うと…想像すると恥ずかしいという気持ちが先に立つ。なぜならそれは恋人として好きな前に幼馴染だから。

 ハルちゃんにされたキスを思い出すと今でも恥ずかしいしドキドキする。

 あんなキス、私の事を好きだと思ってくれてるからできるんだよね?

 私が「好き」って言ったら、「もちろんオレも」って…言ってくれるんだろうか。怖いな。

 ハルちゃんモテてるし、男だから、しようと思ったら誰にでもできたりとか…嫌だな、そんなの嫌だ。あ~~もうほら、キヨミさんとあんなチュウしてるとこ想像しちゃった…



 でも…やっぱ言ってみようかな。

 試したい。言ったらどうなるのか試したい。


 …違うな。

 胡散臭いとか信用できないとか思いながらも、私はちゃんとハルちゃんの事を好きになってきている。ゆっくり普通に仲良くなって付き合っていきたいと言ったのも、やたらバカみたいに燃え上って急激に冷められた嫌だと思っているからだ。

 そして好きだと言ったらたぶん自分に興味を失くすだろうと私も思っているから、それならなるべく早い方が傷付かなくてすむと思っているのだ。どうせダメになるなら早い方が良い。試したいんじゃなくて、興味を失くされるのをじわじわ感じるくらいなら、こっちからそう仕向けた方が楽、みたいな感じだ。

 ハルちゃんの事は好きで、もう今度はいなくなって欲しくないと思ってるけれど、それでも、言ってハルちゃんが私に対してどんな態度に変わるのかを確認したい。

 よしちゃんと認めよう。



 確かめる事に決定。

 ハルちゃんに電話する。自分から電話する事でもうすでに緊張してしまう。

 出ないかもしれない。出る?出ない?出る?

 何回目かのコールでハルちゃんの驚いた声。「どうしたの?」

「…どうもしないけど」

 本当はどうもするよね。好きって言ってハルちゃんがどんな態度取るか試すために電話してるんだもん。

 「リツからかけてくるなんて、なんかびっくり。すげぇうれしいけど…」

あれ?気の抜けた声のような気がする。びっくりって言ってる割りにはたいしてビックリもしてない落ち着いた声。



 「何してるの?」と聞いてみる。

なんか女の人らしい質問じゃない?これ。

「オレはね、コーヒー入れてるとこ」

「こんな時間になってからコーヒー飲んだら眠れなくない?」

「うん…大丈夫薄くしとく。リツは何してた?」

「私この後お風呂入る」

「そっか…ねぇリツ」

抑揚のない声で呼ばれてどきりとする。

「…何?」

「えっと…やっぱいいや。リツこそどうしたの?」

「あの!ごめん。何でもないのに電話して」

「え?…リツ?」

「ごめんね?今夜中に電話しときたくて」

「リツ…」

「あのね…」やっぱ勇気いるな。「私ハルちゃんの事がね」

うわ~~~~と心の中で叫びながらも、できるだけ平静を装って頑張って言葉を続ける。早く言わなきゃ心が折れる。

「私ハルちゃんの事が好き」

うわ~~~~~~!ド恥ずかしい!

「ごめん!もう電話切る。折り返し電話しちゃダメだよ!おやすみっ!」

「リツ!」

呼ばれたのは聞こえたがプチっと電話を切った。



 超恥ずかしい!みんなよく告白とか出来るな。

 泉田先生に告った時とはまた違う恥ずかしさ。いや、あの時は流れで言えただけで告れたうれしさの方が強かった。

 今回は試す気も満々だから。

 恥ずかしいし、そして怖い。

 だってもうすでにハルちゃんの声が全体を通して単調だった気がするから。

 


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