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ごちゃごちゃな 1


 嫌だな~~。ラーメンのおいしさが半減してるよ。ここのラーメン本当はもっと美味しいのに。なんでマキちゃんだけじゃなくて弟にまでこんな意地悪をされなきゃいけないんだろう。

 ラーメンを食べ終える頃にカズミさんが言った。

「リッチィ、さっきの答え出た?ハルカ先生のどこが好きか。まぁオレは泉田のどこを好きかの方が聞きたいけど」

「リツ、」とハルちゃんが口を挟む。「オレはリツがこの人にちょっかい出されてる感じがすげぇイラっときてんだけど、でも聞きたいんだよね、オレもここで。オレのどこが好きか」

 聞いてるだけで恥ずかしい。こんな会話、ラーメンすすりながらする話か?



 それでも考える。ハルちゃんのどこが一番好きか…

「私と、ずっと一緒にいたいと言ってくれたので」

みんなの顔が見れずにちょっとうつむいて答えるが、それでも非常に恥ずかしい。

「ずっと?」カズミさんが笑う。「そんな言葉信じるの?」

実を言うとそんなに信じられないけど…信じられなかったけど、そしてそんな事言わないでくれたらいいのにと思ったにも関わらず、やっぱり嬉しいとも思ったんだよね…

「じゃあ、ずっと好きって言ったから好きなの?例えばオレが、」そう言ったカズミさんはどういうわけか私ではなくハルちゃんを見ながら続けた。

「リッチィとずっと一緒にいたいとか言ったら?」

カズミさんをハルちゃんが無言で睨み返す。

「おぉ?」と泉田先生も反応する。「カズミはりっちゃん好きなんか?でもりっちゃんの事はこの楠木がな…」

「カズミさんは私にそんな事は言わないです」私はできるだけきっぱりした口調で答えた。

「ふうん。なんでそう思うの?」

「すみませんが」とハルちゃんがまた口を挟む。「リツにそんな事面白半分で絡むの止めてもらえませんか?だいたい面白くはねぇし」

「なんで?」ふっ、と笑いながらカズミさんが言うのでハルちゃんは大きく舌打ちした。



 嫌だな…本当にもう。こんな事、ラーメン屋で話す事じゃないじゃん!

マキちゃんを見るがマキちゃんはまるで空気にでもなったように傍観者を決め込んでいる。絶対面白がってるはずなのに。

 早く撤収したい。

「そう言う事ラーメン食べながら話す事じゃないし」ハルちゃんも言う。「もう1回言いますけど、面白半分でリツにちょっかい出すの止めて下さい」

「ふうん」カズミさんがハルちゃんを見つめる。「でもオレと付き合って、もしか結婚とかまでしたら、リッチィはメグミと義理の姉妹って事になるし、メグミと泉田が結婚したら、なんとリッチィ、泉田とも義理の兄妹になるんだよ?すごくない?」

ハルちゃんがダン!と割り箸をお椀に置く。


 そっか…そんな事私全然考えつかなかった…そっか、すごいなそれ…

「リツ!」ハルちゃんに呼ばれる。「なに『あっ!』みたいな顔してんの、バカじゃねえの!」

「ほうか…」泉田先生もびっくりしている。「わしも言われるまで気付かんかった。ほうか、りっちゃんが妹な…かわいいのうりっちゃん」

マキちゃんの前でいくら可愛いと言われても、ほんとビミョーな気持ちになるだけだから泉田先生。

「なんか牧先生嫌ですねぇ」ハルちゃんがマキちゃんに矛先を向ける。「オレとリツがうまくいかない方がいいんですか?…なんか牧先生、リツのお母さんと似てる」

「へ~」とマキちゃん。「ハルカ先生、リッチィママに嫌われてんの?」

「何ですかそれ!牧先生、オレの事が嫌いなんですか!?」

「嫌いじゃないよ?まだ胡散臭いなと思ってるだけで。私もリッチィすごく好きだからさ、幸せになって欲しんだよね」

 マキちゃん…

「幸せにしますよ」ハルちゃんがやさぐれた感じで言う。「だから余計な外野増やさないでください」

「そんな事ないよ?うちの弟、一見チャラい感じだけど結構しっかりしてるし」



 マキちゃんはどういうつもりなんだ?

 私が泉田先生を好きだと言えば応援してくれて、ハルちゃんが現れたらハルちゃんに協力する素振りも見せるし、今度は弟まで連れて来て私へちょっかいを出させる。

 泉田先生よりも私の事を好きだと言ってくれていたくせに。そして今も幸せになって欲しいとか言いながら…

 本当はもしかして…私の事大っ嫌いとか!好きとか言いつつずっと仲良しの振りして、こういう感じの意地悪を!?


「マキちゃんどういうつもり?」

純粋にラーメン食べる事を楽しみたかったのに、わざわざ私を誘ってくれた挙句にこれかと思いながら、我慢できずに私は思っていた事を口にしたが、マキちゃんはにこやかに返す。

「私はリッチィに幸せになって欲しいだけ。イズミィの事好きだって言ってたから応援してたし、ハルカ先生はものすごくリッチィの事好きみたいだったからうまくいけばいいなと思ったし、でもほら、ちょっとめんどくさそうじゃん?けどカズミとうまく言ったら仕事辞めてもつながり出来るもんねぇ?私と。カズミがすごく食いついてきたんだよね、この前の話したら」

「りっちゃんが妹かぁ」とつぶやく泉田先生。

「泉田先生!」ハルちゃんが声を張った。「そんな事にはなりませんて!リツはもう他のヤツを好きになったりはしませんから」

カズミさんがあからさまにびっくりした顔をして見せる。「カッコいい~~、ほんとハルカ先生カッコいいね!オレだったらそんな自信のある事言えないよ。でもリッチィ、オレだってまぁまぁ本気だからね」

まぁまぁか。まぁまぁでこんなめんどくさい感じにしないで欲しいな。

「そうじゃなぁ」泉田先生がふと思い出したのか口に出した。「楠木は今日も高山先生に話しかけられとったもんな」

今日も?


「せめて手紙だけでも呼んでください、言うてな。渡されとったなピンク色の封筒」

見た目ゆるふわ系の高山先生、この間もハルちゃんに断られてたのに、ハート強いな。

「そうなんだ~」とカズミさんが感嘆する。「付き合ってる人がいるって言っても手紙とかもらうんだ~~。リッチィ心配だね!」

ハルちゃんが首を振って言った。「リツにもちゃんと話そうと思ってたし、もらった手紙だって見せますよ」

「見せなくていいよ」とつい速攻で言ってしまう。

そんな重そうな手紙まず見たくないし、ハルちゃん宛てに書かれたものを私に見せるなんて、高山先生の事は好きじゃないけどそういうのは絶対に良くない。


 「いや」とハルちゃんが反論する。「どうしても受け取れっていうならリツにも見せますよ、って言ったらそれでもいいって高山先生言ってた」

マジで!

「うわ~~」とそれまで知らんぷりしていたマキちゃんが眉をひそめて言う。「あいつほんとハート強いな。怖いね~~」

「リッチィ大変だね!」カズミさんはやたら嬉しそうだ。

それから「いいなぁ」とカズミさんが言った。「明日4人でドライブなんでしょう?オレだけ仲間はずれ、みたいな感じする。オレも行きたいなぁ」

「あんた明日仕事じゃん」とマキちゃんが言う。

カズミさんは私に言った。「じゃあ今回オレだけ寂しいから、リッチィ今度どっか付き合ってね。髪切るのも考えといて。オレがもっと可愛くしてあげるから」



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