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進展 1



 「結構進展早いじゃん」母さんがにやにやしながら言う。

 どこから聞いてたんだろう?母さん。聞こえてたかな?聞こえてないよね?

「いろいろわかんない」と私は母さんに言ってみる。

「何が?」

「ハルちゃんは、普通に仲良くしていってそれでいつの間にか二人付き合ってる、みたいな感じが良いって言ってたのに、私たちが付き合ってるんだって結構な感じで他の人に言ってる」

「だから?」

こんな事自分の母親に言うなんてかっこ悪いとわかっているのに言ってしまう。「…気持ちが付いて行かないっていうか…」

ふっ、と母さんが笑った。「気持ちは付いていかないけど?」

「なに?」

「チュウとかはしちゃう、みたいな?」

「!…見てたの?」

「やっぱりしてたんだ!外ですんの止めなさい。近所の人に見られたら面倒くさいから」

「見なかったんだよね?」

「見たくないよ、娘のラブシーンとか。でもチュウ2回もしといて、何かったるい事言ってんの。『気持ちが付いていかない』とか、あんた超気持ち悪い」

 母さんにまでかったるいって言われた!超気持ち悪いだって…

 …本当はチュウ3回目だし。



 母さんが私をバカにして笑いながら言う。「そういうのずるいよね~~。感じ悪…あんた、そういう事他の女の子が言ったりしてたりしたら、何かイラっと来ない?他に好きな人がいてさ、告って振られて、それでも好きだって言って来てくれてるカッコいい幼馴染がいて、それはそれでキープして、みたいな」

その通りだ。バカだしかったるい。ずるくてイラっとする。

「じゃあもういいんじゃないの?泉田先生にはマキちゃんがいるわけでしょう?ちょうど良かったじゃんハルちゃん現れて。良かったね、カッコいい彼氏出来て」

そう言われても黙っている私に母さんがさらに言う。「何?なんかまだわだかまりがあるの?」

「…わだかまりっていうか…なんか怖いっていうか。母さんも最初流されるなっていったじゃん」

「『なんか怖いって言うか…』みたいな今の言い方もイラっと来た」と母さんが言う。「なんで?ハルちゃんがモテるから?」

「…まぁそれとか、前のハルちゃんの彼女が本当に可愛い人だったし」

「そうだね。あんたみたいにそういう事、ぐだぐだぐだぐだいつまでも思ってるとハルちゃんもイラっと来て他のもっと明るくて楽しい人のところへすぐ行っちゃうよね~~。あんたの元カレみたいに」

 ひど…元カレの時は絶対に私が悪いばっかりじゃないのに。



 母親にしかこういう事を今話す相手がいない私が悪い。

 だってマキちゃんにはもう相談できないもん。できないというかしたくない。

「いいじゃん」と母さんが言い切った。「ハルちゃんが速攻であんたに愛想つかして別れる事になってもいいじゃん。あんなカッコいい子としばらくでも付き合えたらもうけもんと思って付き合って、別れたら次に行ったらいいんだから」

母親の言葉か?




 朝起きると頭が痛い。しかももう9時半を過ぎている

 普段仕事の前の日にはなるだけ飲まないようにしている酒を、夕べは飲んで寝た。

 あの後すぐ風呂に入って体を洗っていたら、おっぱいにハルちゃんの手の感触を思い出して、まじまじと自分のAカップのおっぱいを見て、風呂からあがるとすぐに、父さんの日本酒を結構大きめのマグカップ1杯、一気飲みして、歯磨きをしていたらハルちゃんの唇と舌の感触を思い出したので、体中にアルコールが回るように30回腹筋をしてからベッドに入り眠った。



 もちろんいやらしい夢を見た。

 泉田先生に右のおっぱいをハルちゃんに左のおっぱいを、二人いっぺんに触られる夢だ。両手が空いているから抵抗しようと思えば出来るのに私は全く抵抗しなかった。

 今の私の立場のまんまの夢、みたいな感じ。…泉田先生には触られないけどね。触られるんなら触られてもいい、それでハルちゃんにも触られる、みたいな感じの悪さ。

 そしてもう一つ夢を見た。

 いや、夢はもっとたくさん、ながく、見ているのだろうが、私が覚えているのはもう一つ。

 私とハルちゃんが子供だ。ちょうどむかし隣同士で住んでいた頃。私が小1、ハルちゃんが幼稚園の年長の頃くらい。一番良く遊んでた頃だ。私たちは二人とも手に棒付きのアイスを持っている。「外の花壇の所で食べよう」、とハルちゃんが言って私たちは外に出て来たが、うちの庭から花壇が消えていた。「花壇無くなってる!」と私が言い、私は家の中へ戻って母さんに花壇の事を話そうと思ったのだが、今家に入ったら外で待っているハルちゃんがどこかへ行ってしまいそうな気がして、なかなか中へ入れない。手に持っているアイスが少し溶けてきた。「ハルちゃん、うちに入ろう」とハルちゃんを呼ぶとハルちゃんは空を見ている。不思議な事にハルちゃんのアイスは全然溶けていない。「リツ見て!」とハルちゃんが言う。「ホラ、昼だけど月が出てる!」。空は嘘みたいな底なしに濃い真っ青さで、そこにぽつんと白い月が浮かんでいる。胸がすうぅっと小さくなるような怖さを感じて、私はハルちゃんの手をぎゅっと掴み引っぱって家の中へ入れようとする夢。

 これも私の今の気持ちをすごくあらわしているなと思う。単純な上にネガティブだからすぐ夢に見るのだ。


 私は今、ハルちゃんが私に急に興味を示さなくったら、そしてどこかへ行ってしまったら、すごく嫌なのだ。



 ゆっくりとベッドから起き上がる。

 きっと母さんはもう先にパートに出てしまっている。

 何の気なしに自分の体を見て夕べのハルちゃんの手の感触をまざまざと思い出してしまう。

 こんなちっちゃい胸。ハルちゃんは触りたいって言って触ったけど、触るうちに「あれぇ?」と思っただろうな。もっとこう、女の人の胸って、ぷるん!ぽよん!、としているものだし、だからこそきっと男の人は触りたいんだと思うし。私の胸なんか触ったってがっくりくるだけだと思うけど。

 マキちゃんはいいなぁ、おっぱい大きくて。そしてキヨミさんの胸がどのくらいの大きさだったか思い出そうとしたが、頭を振って思い出すのを止めた。


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