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怖いのは 1

 肝心のハルちゃんは本日お休みだ。

 めんどくさ…文句を言いたくても言えない。でも電話とかもしたくない。

 私の受け持ちのクラスの小学生の女の子たちにも言われる。

「先生結婚するの?高校のクラスのハルカ先生でしょ?カッコいいよね~写メってうちのお母さんに見せたらきゃ~きゃ~言ってたし。いいなぁ~」

この子たちまで私とハルちゃんの事を知っているのか?

「いいえ、今のところはしませんよ。それに塾内で、しかも相手の許可もなく写真撮っちゃダメなの。塾内ケイタイ禁止。写真も消去しといて」



 塾長だ。

 塾長が悪い。塾長室まで駆け上って文句を言いたい衝動にもかられたが、 いったい何というつもりだ私。

 そして言ったところでどうなる。

 塾長は今日は1回も姿を見ていないし、そんな話を広めた後なのに、前みたいに塾長室への呼び出しもかからない。とんだクソじじいだな。



 就業終わり、マキちゃんが久しぶりにお茶でも飲んで帰ろうと言う。

 それは私に泉田先生と自分の事を話したいのか、それとも私とハルちゃんの事を聞きたいのか。

 私も喋りたい事たくさんあるし、聞きたい事もまだたくさんある。

 が、二人でビルの外へ出たとたんに声をかけられた。

「リツ」

私がそのいきなりな呼びかけにただ振り向いただけで、返事もせずにいるうちにマキちゃんが言った。

「あれ?ハルカ先生と約束してたの?じゃあ私は帰るよ」

「してないよ!」と私は慌ててマキちゃんを止めた。

「リツ、牧先生とどっか行くの?」

「ちょっと合コンに」とマキちゃんが言って笑ったが、ハルちゃんはそれにはほんのちょっと失笑しただけだ。

 その失笑にイラっとする。



 「リツ、今日はオレんちね。ご飯もうちで食べればいいし。マキ先生もご飯一緒にどうぞ」

「なんだやっぱ約束してたの?毎日デートしてるんだね」マキちゃんが少し呆れたように言った。「もしかしてハルカ先生のとこ泊まるの?」

「泊まらない!何の約束もしてないよ」

今日はオレんちね、とか普通に言うとこがすごい。

「ひどいなリツ」ハルちゃんが笑う。「約束してなくても会うんだよ」

「ハルちゃん、今日休みだったんでしょ?」

「そうそう。だから待ち伏せしてた」ニッコリと笑う。

「ねぇねぇリッチィ」マキちゃんが少し呆れたように言う。「なんかちょっと怖いな、リッチィの彼氏。このままずっと付き合っても付き合わなくてもストーカーになりそうだね。てかもう十分ストーカーみたいな感じするけど私には」

「違いますよ牧先生、嫌だなぁ」ハルちゃんが答える。「ここで畳みかけるように一気にリツとくっついとかないと。せっかく噂広まったとこなのに」

「やっぱ怖いわ。じゃあ私帰るよ」というマキちゃんの腕を掴む。

「待ってマキちゃん帰んないで。…ハルちゃんあのね、今日はマキちゃんにお茶飲みに行こうって先に誘われたから。ていうか!私怒ってるからね。うちに泊まったのを広めたのは塾長だって聞いたけど」

「だから牧先生も一緒にうちでお茶も飲めばって…あっ!!泉田先生!」

ハルちゃんが私とマキちゃんの背後に手を振る。

振りかえって見ると、帰ろうとする泉田先生の姿が…「だるまさんがころんだ」のように中途半端な体制で静止して「おお?」とこちらに返事をしてくれた。



「泉田先生!今からリツと牧先生誘ってうちでご飯食べるんですよ。一緒にどうですか?」

「お~~~誰が料理作るんな?」

「オレですオレ」

「お~~~…牧も行くんか?」

「ううん。私は帰ろうとしてるとこ」とマキちゃんは笑いもせずに言った。

「牧先生も来ますよ!ドライブの打ち合わせとかしましょう」

泉田先生がマキちゃんをちらちら見る。

「じゃあいっその事、エリカ先生とかも誘ってみる?」マキちゃんがハルちゃんに聞いた。

「え?何でですか?」

「面白そうだから。今日リッチィ結構いろんな女先生に睨まれてて面白かったけど」

「そうなの?」ハルちゃんが私に聞いた。

私が答える前にマキちゃんが言う。「『あんたみたいなおっぱいのちっちゃい子には楠木先生は合わないわ!』とかね…」

「言われてない、そんな事」と否定する私。

「『私がすぐうばって見せるから!』とかね」

「言われてないってば!」

「『楠木先生なんて他に何人も付き合ってる人いるらしいわよ!』とかね」

ハハハ、とハルちゃんが笑う。

「お前は…」と泉田先生が笑ったハルちゃんに呆れた顔を向ける。「そんな事は冗談でも彼女の前で言われたらきちんと、そがんな事はねぇ、言わないけんわ。りっちゃんが可哀そうじゃ。お前が守ってやらんと。そがんな事を言われることがもうお前にすきがあるんよ。やたら無意味にモテくさっとるけぇ、女の子の気持ちがわかりおらんのんじゃ。りっちゃん可哀そうにのう」

「いえ泉田先生」私が遮る。「本当に言って下さっている事、嬉しくてたまらないんですけど、すみません。そんな事本当に言われてませんから」

「ほんまに?」

「はい。大丈夫です」

「わしは控室で女の先生たちがそがん事軽く言うとるの小耳にはさんだがのぉ」

マジで!!

「大丈夫です!」と今度はハルちゃんが言ってニッコリと笑う。

なにがだよ!?悪口言われてんだよ私!

「オレが好きなのリツだけなんで」

うわ~~~~。



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