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「2040年!!人類文明は食糧危機で滅亡する!!」「「「なんだってぇぇぇ!!」」」

その男――ミスタXは、

机の上に世界地図と血の滲むような予測グラフを叩きつけた。

「2040年に人類文明は食糧危機で滅亡する!!」


 唐突に告げられた終末の予言に、

一般人代表のミスタAは

「な、なんだってーーー!?」

と悲鳴を上げた。あとわずか14年。

あまりに生々しい数字だった。


 肉体労働者のミスタBが、額の汗を拭いながら

「冗談じゃねえ、俺たちの食い扶持はどうなるんだ!」

と食ってかかるが、

頭脳労働者のミスタCはメガネの奥の目を鋭く光らせ、凍りついていた。

「プロテイン・クライシス……」

世界的な人口爆発と需要の臨界点が、

まさにその年に収束することを見抜いたのだ。


 だが、ミスタXの容赦ない言葉の銃弾は止まらない。

「まずは2030年にアフリカ全体のカロリーベース食料調達率が6割を切る事態は起こりうるんじゃないか!? そう貧しいアフリカ全体だけが4割たりないんだ!!そうなったらアフリカはどうなるんだ!!」


 ミスタCがガタッ、と椅子を蹴立てて立ち上がった。

「数億人の飢餓難民、国際紛争、そして世界的な食糧の奪い合い……!」


「遠い国の話だろ」

と現実逃避を試みるミスタBを、ミスタXの鋭い眼光が射抜く。

「そしてアフリカには小火器が溢れてるんだ!!そしてそれはアフリカでも作れるんだ!!難民たちと小火器がつながったら!?」


 ミスタCは椅子から転げ落ちんばかりに頭を抱えた。

「あ、頭が痛い……! 大陸から溢れ出した武装勢力はすべてを食い尽くすイナゴの群れとなり、地中海を、中東を蹂躙する! 世界の物流網、シーレーンは完全に麻痺するんだ!」


 食糧を、資源を海を渡る商船に依存しきっている国々にとって、

シーレーンの麻痺は文字通りの死刑宣告だった。

 絶望のドミノは加速する。ミスタXは震える指で、アジアの巨大な大地を指差した。


「そうなった南アジアでも食糧危機が起こるだろう…それが2035だ!!」


 世界の5分の1の人口を抱える南アジアが完全にデッドラインを超える。モンスーンが消え、ヒマラヤの氷河が枯渇し、大穀倉地帯は一瞬で不毛の荒野と化す。ミスタCは血の涙を流さんばかりの形相で叫んだ。

「インドとパキスタン……生き残りをかけ、18億の胃袋を抱えた『核保有国』が激突する……! 2035年、南アジアの食糧危機こそが、地球を灰にする核の冬の引き金なんだよ!!」


 「だが!!人類はしぶとい!!それだけでは大きく海を越えられない!!文明滅亡はしないはずだ!!」

 ミスタCは、必死に希望の藁をも掴むように叫んだ。

大陸が崩壊しようとも、広大な海が防壁となり、

海洋国家には文明の灯火が残るはずだ――と。

 しかし、ミスタXは不敵な笑みを浮かべ、

最後の、そして最もおぞましい地獄の引き金を引いた。


「もしだ、仮にだ、欧州と中国が巻き込まれたとしたら…点在する使用中使用済み核燃料棒はどうなる!?」


 ミスタCは白目を剥き、よろよろと壁に激突した。


「止まらない! 止めても奴らは生きているんだ! 数万本に及ぶ使用済み核燃料棒は、人間の管理が消えた瞬間、自らの出す崩壊熱で狂気のように滾(たぎ)り始める!!」


 電力網の崩壊、管理者の失踪、そして訪れる冷却水の干上がり。欧州と中国、数百基の原発が一斉に火を噴き、地球上に放出される放射性物質の量は計算不能(インフィニティ)となる。


 ミスタXの絞り出すような叫びが、この世界に本当のトドメを刺した。


「そうなったら……汚染は……当然海を越える……日本は米国は世界は!?食料は!?治安は!?世界の使用中使用済み核燃料は!?」


 ミスタCは床に両手をつき、絶望のあまり嘔吐するように喘いだ。


「終わりだ! 偏西風に乗った『死の灰』の雲は、数日もしないうちに地球全土の空を暗黒に染め上げる。地上の水源も農地も一瞬で致命的な放射能に侵され、軍も警察も政府も消滅した無政府状態の街で、人々は最後の一切れのパンを求めて殺し合う! そして、世界中に点在する数万本の使用済み核燃料の冷却もすべて止まり、欧州と中国の火が地球上のすべての原発へと飛び火するんだ!!」


 地球上の全原発が、冷却を失って一斉にメルトダウンを起こす「グローバル・ニュークリア・ドミノ」。光を放ちながら大気へと旅立つ数万本の燃料棒。海も、空も、大地も、すべての生命が細胞レベルで融け落ち、引き裂かれていく。


「僕たちの星は、宇宙の墓場になるんだよ!!」


 完成してしまった最悪の真実の前に、一同の魂の、そして全人類の絶叫が虚空に響き渡った。


「「「な、なんだってぇぇぇ!!!(ΩΩΩ)」」」

 ――果たして、この悪夢のドミノを、人・AI含む人類は止められるのか?


【次回予告】


地球全土を襲う死の灰と、崩壊していく文明のネットワーク。

絶対的な絶望のカウントダウンが刻まれる中、ミスタXの瞳に、ギラリと不敵な光が戻る!

世界を救う鍵は、あらかじめ地図の上に隠されていた……!?

ミスタX「貧乏人の核シェルターは島だったんだよ!!」

ミスタA・B・C「「「な、なんだってぇぇぇ!!!(ΩΩΩ)」」」

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