後日談
食堂で天野さんの本音を聞いた翌日。
朝登校すると、そこには若葉達と楽しそうに話す天野さんの姿があった。
意外と、と行ったら失礼か、天野さんと河野はウマが合うようで、昨日の昼休み以降よく話をしている姿を見かけるようになった。
ああ見えて河野は気遣い屋だし、元々俺と同じで天野さんを気にしていた節もあったからな。
「よかったね。晴人。ずっと気にしてたもんね」
「ちょっと気になってただけだっての」
「でも昨日の晴人君かっこよかったよ!
本当にそれで良いのか…?ってところとか!」
「……静流さん…頼むから辞めてください…恥ずかしくて死んでしまいます」
「えっ…?ヒーローみたいでカッコよかったのに…」
「本当に勘弁してください…!」
あの時はテンションおかしかったんだって!
今冷静になって考えると凄ぇ恥ずかしい台詞吐いてるじゃん!
肩を震わせて笑っている奏太をどついて、自席に向かった。
「あっ!おはよう!新島くん!」
「はよー今日の昼休み図書委員だよね…めんどくさい…」
「そんなこと言わないのっ!一緒に行こうね!」
「…うっす」
なんだろう。天野さんの遠慮がなくなった気がする。
いや、良い事なんだけど、対紫織モードというか、お母さんモードというか……つい甘えたくなってしまう…これが母性か…?
いやいやいや!同級生に母性感じるってヤバいだろ…!冷静になれ!俺!
急に距離感がバグりだした文学少女に戸惑う俺であった。
「ねぇねぇ奏太君、天野さんのこれって《《そういう》》ことだよね?」
「うーん…どうだろう。まだそこまで明確な想いではなさそうな…どちらにせよ要チェックだね…!」
こそこそと2人が喋っていたがそのことに気付いた奴はいなかった。
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4時間目の授業が終わり、俺と天野さんは並んで図書室へと向かっていた。
今朝も話したが、今日は月に数回ある図書当番の日なのだ。
作業内容としては、本の貸し出しと返却の対応、それと返却本の整理になるが、図書室を利用する生徒は決して多いとは言えない…というか殆どいないので、基本は受付で本を読んでるか、司書室でのんびり過ごすかのどちらかになるーーとは司書であり、委員会顧問でもある渡邊先生の言である。
というわけで、我々も受付に呼び鈴(ファミレスでよく見かけるやつ)を置き、司書室で昼食を取ることに。
そこ!サボりとか言うんじゃない!これは顧問公認の休憩だから!
学校への行きにコンビニで購入した菓子パンと、さっき自販機で購入した紅茶を机に広げる。
天野さんは目の前で小ぶりなお弁当を広げていた。
そんなちょっとで足りるんか…?
天野さんはちょっと心配になるくらい線が細いので、個人的にはもっとたくさん食べた方が良いんじゃないかと思うんだが…
「これでも多いくらいなんだよ?」
「マジで言ってる…?」
「うん。毎回なんとか食べ切ってるんだ。
逆に新島くんは何個パン買ってきたの?」
「えっと…チョココロネ、クリームパン、メロンパン、コッペパンの4個かな。これでもちょっと少ないくらいだよ」
「見事に甘いパンばっかりだね…サラダとかは買ってないの?」
「あれ量の割に高いんだもん……そもそもあんまり野菜好きじゃないし…」
「…ふふっ…味覚はちょっと子供っぽいんだね」
「好き好んでサラダを食べるやつの気が知れん」
「えーわたし結構好きだけどなぁ…家とかで出た時はどうしてるの…?」
「ドレッシングたっぷりかけて食べてます…」
「ふふっ…想像したらちょっと可愛いかも」
さっきからあなたの方が可愛いんですけど?
心を開いてくれたからか、天野さんの笑顔をよく見る様になった気がする。
2人で他愛のない会話をしながら、穏やかな昼休みを過ごした。
ここに図書室への来訪者が0だったことを記しておく。
先生、これ本当に図書委員いりますか…?
すっきり天然水割りです。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
ここで一旦、充電期間に入らせてください。
ストックがもうないんじゃ…!
大まかなプロットは(素人なりに)出来ているので、途中で筆を置くことはない予定です。
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では、また数週間後(目標)に!




