襲来(2度目)
月高の食堂はかなり広く、いつ来ても満席になっているところを見た事がない。
噂によると、文化祭や体育祭の時にここを解放して休憩所として使うため、全校生徒が入っても余裕がある様に設計されているそうだ。
そんな食堂で俺は1人、ネット小説を読み漁っていた。
最近は単行本化した作品も《《ネット版》》として過去の投稿をそのまま残してくれている事が多く、読んでも読んでも気になる小説がなくならないのだ。
勿論単行本も購入し、ネット版との差を楽しませてもらっている。
そんな趣味に没頭する俺の席に影が差した。
ふと見上げると、そこには先程怒ってクラスへ帰って行ったと思われた紫織と、俺と同じく拉致られたであろう小山さんが立っていた。
「あれ?紫織、教室戻ったんじゃなかったの?」
「…ちょこ呼んできた」
「なんか急に拉致されました」
「うちのクラス拉致事件発生し過ぎじゃない…?」
「…まだ2人だからセーフ」
「…無理があるだろ…と言うか小山さんご飯食べたの?」
「紫織ちゃんだからね…
お昼はお弁当食べたから大丈夫だよ」
紫織の謎理論では一体何人からアウトになるんだ…?
「ところで紫織ちゃん?今回は何があったの?」
「……晴人がちょこ心配」
…⁉︎ こいつ急に振ってきやがった!
ついさっき様子見しようって決めたばっかりなのに!
「晴人くんが?」
「あー…さっき紫織と昼食べながらちょっと話してたんだよ。
その…小山さんクラスでも本よく呼んでるじゃない…?だから…その……」
これどう説明すりゃ良いんだよ!
あなたがクラスで浮いてそうだから心配してました…ってか!
上から目線だし望んでそうしてるなら余計なお世話すぎるだろ!
なんて思い、言い淀む俺だったが、スーパーマイペースな彼女がこっちの都合など気にするわけもなく、
「ちょこ…クラス……浮き気味…晴人、心配」
なんて、ぶっちゃけやがった。
俺の気遣いを返せ!
「あー…そっか、心配してくれてありがとう。
けど大丈夫だよ?慣れてるから。
紫織ちゃんと居ると、女の子からは嫉妬されるし、男の子からは私を通して紫織ちゃんと仲良くなりたいって思いが透けて見えちゃうんだよね…」
「そうかもだけど…」
「本当に大丈夫だから。ありがとう」
…天野さんの言いたいことは分かる。
確かにそんな目で見られるくらいなら、距離を置いて自分の好きなことに没頭する方が良いって考え方もあるだろう。
ただ、そう言う天野さんの瞳には隠した寂しさが浮かんで見えた。
それって自分の寂しさを度外視した考え方だよな?
本当にそれで良いのか…?
「それって自分の寂しさを度外視した考え方だよな?
本当にそれで良いのか…?」
「…えっ?」
俺は思った事を口に出してしまう性格らしい。
すっきり天然水割りです。
次回更新は明後日になります。
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