襲来
若葉達とバドミントンの約束をしてから3日経った。
入学直後は慌しかった日々も落ち着きを見せ始め、なんとなく"いつもの"日常になり始めた。
それは俺の周囲にも言えることで、基本的には奏太、静流と3人で過ごすことが増えて来た。
席が近くよく話すからか、若葉・河野ペアを含めた5人でグループみたいな雰囲気ができている。
チャットアプリのグループも作られた。
奏太が付けた、ヒーローの下に集いし者共ってグループ名はいつか変えてやるからな…
そんなこんなでクラス内で小さなコミュニティができ始めると、少し浮き気味な子も出て来てしまう。
特に虐められてるとかではない…が、若干クラスに居づらい空気というか《《雰囲気》》みたいな物が流れてしまう。
特に当人はそういう空気に敏感だったりするもんで、更に自分の世界に塞ぎ込んでしまう傾向にある…と俺は勝手に思ってる。
何が言いたいかと言うと、
「晴人、今度は天野さんにご執心かな?」
そう、同じ委員会の天野さんが気になっている。
…って言っても、奏太が言う様な異性的な意味じゃない。
というかこいつ、分かって人の反応を楽しんでるだろ…
「ちょっと浮き気味だよね。本が好きってのは分かるけど、読書ばっかじゃ友達できないでしょ」
「ちょっと雫、ストレートに言い過ぎ。間違ってないけど言い方ちょっと考えてよ」
「いやだって千夏もそう思うでしょ。もうちょっと心のバリア弱めないと誰も声かけられないじゃない」
「そうかもだけど…」
河野が歯に物着せぬ言い方をしていたが、つまり《《そういう》》ことだ。
昼休みも授業の合間の休みも、ずっと本を読んでいる少女は俺の目にはどこか寂し気に映った。
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長かった午前授業が終わり、昼休みになった。
今日は何食べるかなぁ…やっぱカレーだな、うん。
今日の昼食に想いを馳せながら奏太達と合流しようとした時、
ーーガラガラガラ
決して大きくはないが、何故か気になる。そんな音を立てて教室の扉が開かれた。
そこにいたのは学年主席の天才児、小山さんであった。
天野さんと幼馴染って話だし、昼飯でも誘いに来たのかね?
なんて考えながら彼女を何となく見ていると、バッチリ目が合った。
…まあ一応?同士だし?月見山では背負って(背負わされて)登った仲だし?目が合っても変ではないんだが…何故か凄く嫌な予感がした。
小山さんはそんな俺の予感が当たっていることを証明する様に、真っ直ぐこちらに向かって来て一言、
「晴人、行くよ」
と言って腕を引っ張り始めた。
「えっ、えっ、ちょっ、小山さん?どこに?」
俺は軽いパニックになりつつも、変に抵抗して怪我をさせる訳にもいかず、素直について行くしかない。
学年一の天才にして金髪美少女である小山さんが俺を拉致して行く姿は相当珍しかったのか、クラスメイト達も騒然としていた。
我ら1-Dに混沌を巻き起こした少女は相変わらずのマイペースで教室を後にした。
俺を引き連れて。
教室を出る時に俺が最後に見たのは、目を丸くして驚く若葉達、苦笑いで手を振る奏太、そして相変わらず1人で机に向かっている天野さんの姿であった。
すっきり天然水割りです。
次回更新は明後日になります。
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