美食
ようやく月見山の山頂に着いた俺と天野さん。そんな俺らの元に少し前に登頂していた4人が近づいて来た。
4人の反応はものの見事に2手に分かれていた。
「いやぁ…やっと着いたねぇ…」
「相変わらず最後の階段はきついわね…」
疲労感たっぷりの地元組。
「久々の山登り楽しかったね!明日の筋肉痛がちょっと怖いけど!」
「意外と達成感あるもんね。筋肉痛は家でしっかりマッサージすれば平気でしょ。サボると結構辛いと思うけど」
疲労感を感じつつも、達成感が占める割合が多い初参加組。
ちなみに俺は普段なら地元組と同じ反応なんだろうけど、最後の階段を天野さんと話しながら登っていたからか、どちらかと言うと初参加組に近い精神状態であった。
「あれ?なんか晴人思ったより元気?小山さん背負って登って来たんだよね…?」
「あー…うん。天野さんと話してたら気付いたら山頂だった」
「うっそでしょ…人1人背負ってあの階段登って来てなんで元気なのよ…」
いやなんでって言われてもなぁ…やっぱり人と話しながら登ったのが効果的だったんだろうか?
「あんたどんな体力してんのさ。人間やめてるでしょ」
「あははは…確かに人並外れた体力してるよね…」
「いやちょっと待って河野さん。多分その気になれば奏太も同じことできると思う!静流も納得しないでくれ…」
「いやぁ僕には無理だね。体力的には行けても精神的に持たないよ」
体力的に行けるなら行けるって!
お前ができないと本格的に俺が体力お化けみたいになるじゃん!
天野さんに苦笑いされて若干引かれたのが一番ショックでした。
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さて、紆余曲折あり山頂にたどり着いたわけだが、月見山の登山で俺が1番楽しみにしていた時間が来た。
ー ズッ…ズゾゾゾゾソ!
山の景色?嫌いじゃないが1番楽しみにしていた訳じゃない。
茶屋の団子?惜しい。確かにあそこのみたらしは絶品だし、2時間の山道を登る価値はあると思うがそうじゃない。
そう、俺が1番楽しみにしていたのは…!
「なんでわざわざ山頂まで来てカップ麺なのよ」
「なんだ若葉知らんのか、ここのシーフード麺は絶品だぞ」
「どこで食べても味は一緒でしょ」
「いやいやいやいや、何言ってんだ自販機のカップ麺だぞ?なぁ奏太?」
「こればっかりは晴人に同意かなぁ」
そう、カップ麺である!
月見山の山頂にはこの世の中から姿を消しつつあるカップ麺の自動販売機があるのだ!
自販機本体にお湯が入っていて、自分で作るあれだ。この工程も含めて最高だよね。
「男子ってアホよねー」
「そんなに美味しいなら僕も食べてみようかな…」
「やめときな森田。あれと一緒にされるよ」
あれとは失礼な。
この美味しさを理解できんとは勿体無い。
…声に出してないんだからジト目はやめてください。
内心で河野・若葉ペアに敗北を喫していると、ふと袖が引かれる。
「…晴人おいしそう…一口ちょうだい」
「紫織ちゃん⁉︎」
「まぁ別に一口なら…」
ということで、小山さんにカップ麺を譲渡。
…ふふふ…君も野外カップ麺沼に引きずり込んであげよう…
ハムハムと少しずつカップ麺を食べる金髪美少女。なんかシュールな絵だなぁ…というかあなた麺啜れないのね。
最近の子って麺啜れないって聞いてたけど、本当に啜れない人初めて見たわ。
晴華?あいつなら俺より元気に啜ってるぞ。
ちなみに味噌ラーメン派だ。
「…おいしい」
「でしょ?いつものカップ麺と一味違うよね?」
「…わかんない…初めて食べた」
「まじか…」
「紫織ちゃんって結構なお嬢様だから」
今どきカップ麺食べた事ないほどのお嬢様ってどんだけだよ。好きなだけお食べ…
天然記念物のお嬢様に残った麺とスープを全て掻っ攫われたある春の日でした。
すっきり天然水割りです。
次回更新は明後日になります。
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