目覚め
渡邊先生による仕事の説明が終わり、今日の委員会が終了した。と同時に俺の右腕を捕縛していた奴にも動きがあった。
「…うーんっ」
「あっ、紫織ちゃんやっと起きたね」
いや本当にやっとですよ。委員会中ずっと眠り続けていた少女は俺の右腕を解放すると、大きく伸びをした。
…いやお嬢さん、あなた男子の前で無防備に伸びなんてするんじゃないよ。何処とは言わないけど発育いいんだから目のやり場に困るでしょうが。
「…」
天野さん、お願いだからジト目でこっち見ないで下さい。すぐ目を逸らしたし、ギリセーフってことでここは一つお願いします。
一方、この状況を作り出した本人はというと俺の方を見て一言。
「…誰?」
と、のたまいやがった。
「ちょっ…ちょっと紫織ちゃん…!」
「…ほぅ?」
天野さんがギョッとした顔でこっちを振り向く。いや別に本気で怒ってる訳じゃないから大丈夫よ?
「…どうも。抱き枕です」
「えっ…」
「…じゃあ持って帰る」
「…だっ…ダメだよぉ…」
小山さんって意外と冗談いける人なのね…冗談だよね?
それはさておき、天野さんの反応も楽しめたし、そろそろお暇しますか。
「んじゃ、お二人さんお疲れ。天野さんはまた明日ね」
そう言い残し帰ろうとすると、小山さんが再び俺の右腕を捕獲した。
また抱き枕にされるのか?と内心震えながら振り向くと、
「…あなたの名前、教えて?」
「紫織ちゃん名前も知らずにずっと抱きついてたの?」
そう言えば名乗ってなかったな。
あと天野さん、抱きついてたって表現は良くないね、人が必死に右腕の柔らかい感覚から意識を逸らしてるんだから…
「新島 晴人だよ」
「…晴人…うん、よろしくね晴人」
いきなり名前呼びとはやりおるな。
…いいだろう!そちらがその気ならば!
「こちらこそよろしく紫織」
「…うん…よろしくね」
冗談で名前呼びしたら許されちゃったんですが…うん、これはあれだね、この子と話す時はもう何も考えない様にしよう。フィーリングで話した方が絶対楽だわこれ。
天野さんから若干嫉妬の篭った視線を頂戴したのが印象的でした。
ご安心なさいお嬢さん、あくまで一時的な興味でしかないだろうし…多分。
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「ということで、図書委員の顔合わせに行ったら眠り姫と友達になりました」
「どういうことなの…」
「いやぁ…流石にそれは想定外だなぁ…」
場所は変わって帰り道。
俺と同様、委員会の顔合わせに参加していた奏太と静流と合流し、互いの委員会のことを話していた。
ちなみに保健委員の奏太は基本的には月1の定例会だけ、学級委員の静流は定例会に加えて、行事の際にクラスのまとめ役を任されることがあるらしい。
最初は外れくじ引いちゃったと思ってたけど、これくらいで内心点上がるならむしろラッキーだよね。とは奏太の言である。
俺がついさっきできた同志について話すと、返ってきたのが上のセリフだ。こいつら二人して若干引きやがった。
「奏太が幼馴染以外と話してる所を見ない、なんて言ってたから気難しいのかと思ったけど、全然そんなことなかったぞ?
…物凄いマイペースな子ではあったけども」
「うーん、なんだろう…僕が聞いた噂と晴人の印象が噛み合わないんだよなぁ…」
「でも良かったね!変な子じゃなさそうで」
…いや静流よ、気難しい子じゃ無いとは言ったが、変な子じゃないとは言ってないぞ?
断言できる。あの子は間違いなく変な子だ…見てるだけなら"面白い"で済むんだが、こっちも巻き込まれるとなると…いや、それはそれで楽しかったな。
すっきり天然水割りです。
次回更新は明後日になります。
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