表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/109

第92話 模範都市の代償

 模範都市。


 その言葉は、思ったより早く広がった。


---


 最初は書簡だった。


 次に視察。


 そして、問い合わせ。


---


「構造を教えてほしい」


 他都市からの使者が言う。


「即断と分散をどう両立しているのか」


---


 まとめ役の男は説明する。


 分散の内政。

 防衛だけの集中。

 三か月の期限。


---


 聞く者たちは頷く。


「理想的ですね」


---


 理想。


 その言葉が、少し重い。


---


 視察は一度で終わらなかった。


 二度。

 三度。


 町の広場には、

 知らない顔が増える。


---


 倉庫の記録。

 防衛連絡の手順。

 物資配分の確認方法。


 すべてが質問される。


---


「これも模範だからか」


 倉庫番が苦笑する。


---


 悪意はない。


 むしろ尊敬だ。


---


 だが、説明するのは代表だった。


---


「すまない、少し遅れる」


 彼はまた机に向かう。


 書簡。

 報告。

 説明文。


---


 夜。


 焚き火の火が小さい。


 代表はまだ来ない。


---


「忙しいな」


 誰かが言う。


---


「模範だからな」


 別の声。


---


 笑いは軽い。


 だが、どこか遠い。


---


 数日後。


 連合から新しい書簡が届く。


---


 ――模範都市として

 ――他都市への構造説明会を開催する


---


「説明会?」


 マルタが眉をひそめる。


---


「要するに」


 レオンが言う。


「この町のやり方を、広げたい」


---


 広場が静かになる。


---


 分散を守るために借りた集中。


 その形が、

 今は“連合の成功例”として扱われている。


---


「悪いことか?」


 誰かが言う。


---


「悪くはない」


 私は答える。


---


「だが」


---


 一拍。


---


「例になると、自由は減る」


---


 その意味を、

 誰もすぐには言葉にできない。


---


 翌日。


 代表は朝から連合会議へ出た。


 戻るのは夜になるという。


---


 広場はいつも通りだ。


 炊き出し。

 畑の相談。

 倉庫の確認。


---


 分散は続いている。


---


 だが、

 町の外では


 この町の構造が

 “制度の種”として扱われ始めている。


---


 夜。


 代表が戻る。


 疲れた顔だ。


---


「どうだった」


 レオンが問う。


---


 彼は苦く笑う。


---


「模範都市は、忙しい」


---


 焚き火の火が揺れる。


---


 町は守られている。


 豊かにもなっている。


 評価も高い。


---


 だが、

 成功は広がる。


 広がるほど、

 この町の選択は


 町だけのものではなくなっていく。


---


 三か月の期限は、

 まだ残っている。


 だが、


 世界はもう


 この町を


 ひとつの答えとして

 見始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ