第119話 選ぶということ
「まだ決めるな」
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その言葉は、
場に残ったままだった。
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だが、
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時間は止まらない。
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連合は動いている。
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補給線の再確保。
軍の配置。
情報の統制。
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すべてが、
静かに進んでいた。
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そして、
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選択の準備も。
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夜。
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外は冷えている。
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レオンが言う。
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「もう止まらないな」
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私は頷く。
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「ええ」
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一拍。
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「止めることはできない」
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マルタが言う。
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「じゃあどうする」
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問いはシンプルだ。
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だが、
答えは一つではない。
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私は言う。
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「選ぶ」
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沈黙。
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それは、
避けてきた言葉だった。
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「連合か」
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「ガルンか」
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レオンの問い。
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私は首を振る。
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「違う」
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一拍。
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「どちらでもない」
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空気が止まる。
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「どういう意味だ」
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「連合の中で」
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「ガルンと対話する」
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マルタが眉をひそめる。
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「それは無理だ」
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「排除の流れだぞ」
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「知っています」
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だからこそ、
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「今やる」
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沈黙。
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レオンが言う。
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「間に合うのか」
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「分からない」
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一拍。
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「でも」
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「やらないと」
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その先は言わない。
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言わなくても分かる。
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戦いになる。
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制度が、
人を切る。
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それは、
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見た。
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ラーデンで。
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レオンが息を吐く。
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「……付き合う」
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短い言葉。
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だが、
重い。
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マルタも言う。
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「最後まで見る」
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ルーカが笑う。
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「面白くなってきたな」
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その軽さが、
少しだけ救いだった。
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翌朝。
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評議会。
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空気は昨日よりも硬い。
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「最終判断を」
クラウスが言う。
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イェルクが立つ。
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「ガルンは排除対象とする」
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即断。
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迷いはない。
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リアも立つ。
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「同意します」
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速い。
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決定が近い。
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私は立つ。
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「反対です」
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ざわめき。
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予想はされていた。
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だが、
それでも揺れる。
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「理由を」
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イェルクの声は冷たい。
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私は言う。
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「まだ終わっていない」
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一拍。
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「三か月」
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その言葉で、
空気が止まる。
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「期限は残っている」
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「制度を決める前に」
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「排除を決めるのか」
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沈黙。
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だが、
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イェルクは揺れない。
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「現実は待たない」
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「補給線が切られている」
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正しい。
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だからこそ、
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「対話を」
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私は言う。
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空気が変わる。
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「何?」
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「ガルンと対話する」
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ざわめき。
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「意味がない」
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「時間の無駄だ」
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否定が飛ぶ。
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だが、
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「それでも」
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一拍。
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「必要です」
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静寂。
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「制度の外を」
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「知らずに決めるのか」
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沈黙。
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それは、
誰も答えられない問いだった。
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リアが言う。
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「危険です」
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「取り込めない」
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「なら排除するしかない」
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私は言う。
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「それが間違いかもしれない」
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空気が張り詰める。
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イェルクが言う。
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「保証は」
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「ありません」
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即答する。
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だが、
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「だからこそ」
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一拍。
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「選ぶ」
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沈黙。
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私は言う。
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「私は」
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一拍。
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「対話を選びます」
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完全に、
線が引かれる。
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連合の中で、
立場が分かれる。
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イェルクが言う。
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「ならば」
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一拍。
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「責任を取れ」
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その言葉は、
重かった。
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私は頷く。
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「取ります」
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迷いはない。
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もう、
決めた。
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制度ではなく、
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人を。
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風が吹く。
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三か月の期限。
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残りわずか。
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そして、
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この選択が、
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すべてを変える。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ついに主人公が明確に「対話」という選択を取りました。
ここからは、連合の中での対立がさらに激しくなっていきます。
もし続きが気になると感じていただけたら、ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。
次話では、この決断に対して連合がどう動くのか――一気に緊張が高まります。




