第114話 割れる評議会
「制度です」
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イェルクの言葉が残っていた。
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実験は終わった。
比較も終わった。
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残ったのは、
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選択だけだ。
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連合評議会の広間。
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石の壁に囲まれた空間に、
都市の代表たちが再び集まっている。
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前回とは違う。
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空気が重い。
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もう議論ではない。
決める場だ。
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「議題を再確認します」
クラウスが言う。
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「連合統治構造の決定」
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短い。
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「案は三つ」
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ざわめき。
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「中央集権」
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「分散」
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一拍。
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「機能分散」
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第三の案が正式に並ぶ。
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それだけで、
空気が変わる。
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リアが立つ。
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「中央集権を提案します」
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迷いがない。
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「今回の実験で明らかです」
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「速さが命を救った」
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事実だ。
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「多点対応の課題は」
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「指揮系統の強化で解決可能」
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論理は通っている。
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数人が頷く。
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別の代表が立つ。
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「分散を支持する」
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「中央は切る」
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「都市を守らない」
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ラーデン。
その記憶が場に残る。
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反発の声も上がる。
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「だが守られた場所もある!」
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「全体を見ろ!」
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議論が熱を持つ。
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そして、
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「機能分散は」
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誰かが言う。
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「中途半端だ」
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空気が揺れる。
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「速さもない」
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「責任も曖昧」
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イェルクが静かに言う。
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「制度として成立しない可能性が高い」
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明確な否定。
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私は立つ。
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「成立させます」
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視線が集まる。
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「今回の実験で分かったのは」
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一拍。
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「どちらも不完全だということです」
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沈黙。
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「だから」
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「新しい構造が必要です」
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リアが言う。
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「理想です」
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短く。
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「現実は違う」
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私は答える。
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「現実は」
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「今、ここにあります」
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焼け跡。
分裂。
選択。
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「人は」
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「構造に合わせて生きません」
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「構造が」
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「人に合わせるべきです」
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空気が張る。
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イェルクが言う。
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「それは不安定です」
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「安定を捨てるのか」
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「違う」
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私は首を振る。
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「安定を定義し直す」
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沈黙。
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誰もすぐには反論できない。
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クラウスが言う。
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「採決に入る準備を」
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その一言で、
場の空気が変わる。
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議論は終わる。
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決める段階に入る。
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レオンが小さく言う。
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「来たな」
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マルタも頷く。
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「戻れない」
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その通りだ。
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ここで決まる。
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連合の形。
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そして、
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この町の意味。
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クラウスが続ける。
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「採決は三日後」
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ざわめき。
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三日。
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三か月の期限。
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その終わりと重なる。
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偶然ではない。
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必然だ。
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イェルクが言う。
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「それまでに」
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「各都市は立場を明確に」
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つまり、
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味方か敵か。
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決めろということだ。
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会議が終わる。
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外に出る。
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空気が冷たい。
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レオンが言う。
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「どっちにつく」
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私は答える。
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「決めるのは」
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一拍。
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「私たちじゃない」
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マルタが言う。
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「じゃあ誰だ」
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私は前を見る。
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連合の都市。
人々。
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「選ばせる」
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風が吹く。
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三日後、
すべてが決まる。
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そして、
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その結果は
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戻せない。
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