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断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


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113/114

第113話 崩れた実験の答え

 「実験は終わった」


---


 その言葉は、誰が言ったのか分からなかった。


---


 だが、


 誰も否定しなかった。


---


 煙の残るラーデン外縁。


 焼け跡の前に、


 連合の人間が集まっている。


---


 中央側も、


 分散側も、


 同じ場所に立っている。


---


 境界はまだある。


---


 だが、


 意味はもうない。


---


 クラウスが言う。


---


「報告をまとめます」


---


 紙を広げる。


---


「中央区域」


---


 一拍。


---


「初動は速い」


「対応は迅速」


「被害は限定的」


---


 リアが静かに頷く。


---


「ただし」


---


 クラウスが続ける。


---


「多点対応に弱さあり」


---


 沈黙。


---


 事実だ。


---


「分散区域」


---


 一拍。


---


「初動は遅い」


「だが停止なし」


「複数地点で安定維持」


---


 レオンが小さく息を吐く。


---


「ただし」


---


「即応性に欠ける」


---


 誰も否定しない。


---


 そして、


---


「境界越えにより」


---


 クラウスの声が少しだけ低くなる。


---


「実験条件は崩壊」


---


 沈黙。


---


 それが結論だった。


---


 イェルクが言う。


---


「つまり」


---


「比較不能」


---


 短い。


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 だが、


 それだけでは終わらない。


---


 私は言う。


---


「違います」


---


 視線が集まる。


---


「比較はできました」


---


 一拍。


---


「構造の癖が」


---


 沈黙。


---


 誰も否定しない。


---


「中央は速い」


---


「だが、分岐に弱い」


---


「分散は遅い」


---


「だが、止まらない」


---


 言葉にする。


---


 初めて、


 はっきりと。


---


「そして」


---


 一拍。


---


「どちらも」


---


「人を守れない場合がある」


---


 静寂。


---


 リアが言う。


---


「だから中央が必要です」


---


「最終判断を一つにする」


---


 イェルクも頷く。


---


「責任を明確にする」


---


 私は首を振る。


---


「違う」


---


 初めて、


 強く言う。


---


「責任を一つにすると」


---


「切る判断が生まれる」


---


 沈黙。


---


 ラーデンの焼け跡。


---


 それが、


 証明だ。


---


 マルタが言う。


---


「分散も万能じゃない」


---


「遅れる」


---


「間に合わないこともある」


---


 私は頷く。


---


「だから」


---


 一拍。


---


「第三の構造が必要です」


---


 イェルクが目を細める。


---


「証明されていません」


---


「ええ」


---


 私は認める。


---


「ですが」


---


 一拍。


---


「否定もされていない」


---


 沈黙。


---


 レオンが言う。


---


「少なくとも」


---


「どちらか一つじゃ足りない」


---


 空気が変わる。


---


 白か黒かではない。


---


 足りない。


---


 それが、


 結論だった。


---


 クラウスが言う。


---


「評議会は判断を下します」


---


 一拍。


---


「期限内に」


---


 その言葉で、


 全員が思い出す。


---


 三か月。


---


 まだ終わっていない。


---


 だが、


 残りは少ない。


---


 私は火の跡を見る。


---


 助かった。


---


 だが、


 何かが壊れた。


---


 そして、


 何かが見えた。


---


 イェルクが言う。


---


「次は実験ではありません」


---


 一拍。


---


「制度です」


---


 リアが静かに頷く。


---


 レオンが拳を握る。


---


 マルタが息を吐く。


---


 私は前を見る。


---


 ここからは、


 もう


 逃げられない。


---


 制度を選ぶ。


---


 それは、


 世界を選ぶことだ。


---


 風が吹く。


---


 縄が揺れる。


---


 それはまだある。


---


 だが、


 もう


 ただの線ではなかった。


---


 それは、


 選択の境界だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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