表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/113

第110話 崩れた火

 火が一つ、消えた。


---


 それだけだった。


 だが、


 その違和感はすぐに広がる。


---


「音、聞いたか」


---


 レオンが立っている。


---


 私は頷く。


---


 中央区域の方角。


 暗い。


 さっきまであった火が、


 確かに消えている。


---


「様子を見る」


 レオンが言う。


---


「いや」


 私は止める。


---


 一拍。


---


「今は行かない」


---


 彼がこちらを見る。


---


「なぜだ」


---


「境界を越えれば」


---


「構造が崩れる」


---


 沈黙。


---


 それは、


 この実験の前提だった。


---


 互いに干渉しない。


---


 だから、


 結果が出る。


---


 レオンは息を吐く。


---


「……分かった」


---


 だが、


 目は中央側を見ている。


---


 動きたい。


 だが、


 動けない。


---


 それが、


 構造だ。


---


 その時、


 こちらでも声が上がる。


---


「水が来てない」


---


 若い女が言う。


---


 井戸の列が止まっている。


---


「どういうことだ」


---


 マルタが近づく。


---


「引き上げが遅れてる」


---


 遅れている。


---


 それだけだ。


---


 だが、


 止まってはいない。


---


「代替を探す」


 マルタが言う。


---


「北側の井戸は?」


---


「浅い」


---


「使えるか」


---


「使える」


---


「なら、回す」


---


 決断は遅い。


 だが、


 止まらない。


---


 一方で、


 中央側の動きが見える。


---


 人が走る。


 声が飛ぶ。


---


「火事だ!」


---


 その声が届く。


---


 火事。


---


 煙が上がる。


---


 中央区域の奥。


---


 炎が揺れている。


---


「速いな」


 レオンが言う。


---


 確かに速い。


---


 水が運ばれる。


 指示が飛ぶ。


 人が動く。


---


 無駄がない。


---


 だが、


 違和感がある。


---


「一点に集まりすぎてる」


---


 私は言う。


---


 防火の人員。


 消火の水。


 すべてが一点に集中している。


---


 別の場所が、


 空く。


---


 その瞬間だった。


---


 別の火が上がる。


---


「もう一つ!?」


---


 声が重なる。


---


 混乱。


---


 人が分かれる。


 だが、


 指示は一つ。


---


 一瞬、


 遅れる。


---


 その遅れが、


 広がる。


---


 炎が増える。


---


 レオンが低く言う。


「集中の限界か」


---


 私は首を振る。


---


「違う」


---


「速すぎる」


---


 判断が一つだからこそ、


 分岐に弱い。


---


 一方で、


 こちらは静かだ。


---


「水、回った」


---


 井戸の列が動き出す。


---


「次は食料」


---


「配分どうする」


---


 話し合う。


 遅い。


---


 だが、


 複数の場所が同時に動く。


---


 分散。


---


 それは、


 遅い代わりに


 止まりにくい。


---


 中央側の火は広がる。


---


 だが、


 完全には崩れていない。


---


 速さで抑えている。


---


 両方が、


 機能している。


---


 だが、


 違いが出始めている。


---


 レオンが言う。


「どっちが正しい」


---


 私は答えない。


---


 まだ、


 結論ではない。


---


 ただ、


 見えてきた。


---


 構造の癖。


---


 その時だった。


---


 中央区域から、


 誰かが走ってくる。


---


 縄の手前で止まる。


---


「助けてくれ!」


---


 叫び。


---


「水が足りない!」


---


 レオンが動きかける。


---


 私は言う。


---


「越えるな」


---


 沈黙。


---


 叫びが続く。


---


「頼む!」


---


 誰も動かない。


---


 動けない。


---


 それが、


 選んだ構造だ。


---


 火が揺れる。


---


 境界線の両側で、


 違う戦いが続いている。


---


 そして、


 どちらも


 まだ


 終わっていない。


---


 夜は長い。


---


 だが、


 この一晩で


 何かが


 決まるかもしれなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ