表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/109

第108話 選ばせるという責任

 三日後、と言われた。


 だが、


 準備はその日のうちに始まった。


---


 ラーデン外縁。


 焼け跡の残る土地。


 崩れた壁。

 黒く焦げた梁。


 そして、


 まだ生活している人間たち。


---


「ここでやるのか」


 レオンが低く言う。


---


 私は頷く。


---


 風が強い。


 灰が舞う。


---


 人の気配はある。


 だが、


 どこか遠い。


---


 中央側の準備は速かった。


 リアの指示で、


 拠点が作られていく。


---


「資材を集中」


「補給線を固定」


「防衛線を一本化」


---


 無駄がない。


 迷いもない。


---


 一方で、


 こちらは止まっていた。


---


「どう分ける」


 マルタが言う。


---


「人を」


---


 レオンが答えない。


---


 倉庫番も黙る。


---


 ここが違う。


---


 中央は配置する。


 こちらは、


 選ばせる。


---


「説明する」


 私は言う。


---


 広場の代わりに、


 崩れた建物の前に人を集める。


---


 顔は疲れている。


 警戒もしている。


---


「連合の試験です」


---


 簡潔に言う。


---


「統治を選んでもらいます」


---


 ざわめき。


---


「選ぶ?」


 誰かが言う。


---


「どちらかです」


---


 私は指を二つ立てる。


---


「中央で決める統治」


---


 一拍。


---


「役割ごとに分ける統治」


---


 静寂。


---


「違いは?」


---


 当然の問い。


---


「速さ」


 私は言う。


---


「中央は速い」


---


「こちらは少し遅い」


---


 正直に言う。


---


「安全は?」


---


「どちらも保証はない」


---


 沈黙。


---


 空気が冷える。


---


「ふざけるな」


 男が言う。


---


「実験か」


---


「そうです」


---


 否定しない。


---


「なら」


---


 男は吐き捨てる。


---


「どっちが生き残るかの実験だ」


---


 誰も否定しない。


---


 それが真実だからだ。


---


 ルーカが前に出る。


---


「俺は見た」


---


 声が通る。


---


「中央は速い」


---


「でも」


---


「切るのも速い」


---


 空気が止まる。


---


「都市が一つ消えた」


---


 誰かが息を呑む。


---


「でも守られた場所もある」


---


 リアの側から声が上がる。


---


「全体は生き残った」


---


 対立がその場に現れる。


---


 私は言う。


---


「選んでください」


---


「どちらが正しいかではなく」


---


 一拍。


---


「どちらで生きるか」


---


 沈黙。


---


 長い。


---


 やがて、


 一人の女が手を挙げる。


---


「中央で」


---


 理由は言わない。


 だが、


 子どもを抱いている。


---


 次に、


 別の男が言う。


---


「分ける方で」


---


「自分で決めたい」


---


 声が少し震えている。


---


 分かれていく。


---


 ゆっくり。


 確実に。


---


 家族が分かれる。


 隣人が分かれる。


---


 それでも、


 選ばれる。


---


 レオンが小さく言う。


「これが分散か」


---


 私は答える。


---


「責任を渡す」


---


 一拍。


---


「その重さごと」


---


 夕方。


---


 区域は二つに分かれた。


---


 中央区域。


 分散区域。


---


 境界線は、


 ただの線だ。


---


 だが、


 その意味は重い。


---


 マルタが言う。


「戻れないな」


---


 私は頷く。


---


「ええ」


---


 三か月の期限は、


 まだ終わっていない。


---


 だが、


 この実験は


 それより先に


 何かを壊すかもしれない。


---


 夜。


---


 境界線の両側で、


 火が灯る。


---


 同じ土地。


 同じ人間。


---


 だが、


 違う構造。


---


 そして、


 違う未来。


---


 風が吹く。


---


 明日から、


 試される。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ