第105話 もう一つの答え
連合評議会への招集は、三日後だった。
町はいつも通り動いている。
畑は耕され、
炊き出しは続き、
倉庫の確認も行われる。
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だが、人々の視線はときどき止まる。
この町の構造が、
連合の議題になる。
それがどういう意味か、
誰も完全には理解していない。
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出発の朝。
代表だった男は、荷を持って立っていた。
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「代表じゃない」
倉庫番が笑う。
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「そうだな」
男も笑う。
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今は三つの責任者。
防衛はレオン。
交易は倉庫番。
内政はマルタ。
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そして私は同行する。
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連合都市に着いたとき、
広場は町のものより大きかった。
石造りの建物。
人の数も多い。
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クラウスが迎える。
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「来てくれて助かります」
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「議論はもう始まっているのか」
レオンが聞く。
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「ええ」
一拍。
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「そして」
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「あなた方の構造と対になる都市も来ています」
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その言葉に、
私は少し眉を動かす。
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「対になる?」
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クラウスが視線を向ける。
広場の向こう。
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一人の女性が立っていた。
背筋がまっすぐで、
歩き方が静かだ。
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「リア・ヴォルン」
クラウスが言う。
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「都市ベルグの代表です」
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ベルグ。
名前を聞いた何人かが顔を上げる。
連合でも有名な都市。
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「中央集権型都市」
クラウスが続ける。
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リアはゆっくりこちらに歩いてくる。
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「あなた方が模範都市」
彼女は言う。
声は穏やかだ。
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「噂は聞いています」
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マルタが腕を組む。
「いい噂か」
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リアは少し微笑む。
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「興味深い噂」
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一拍。
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「ですが」
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「持続するかどうかは
分からない」
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レオンが言う。
「中央集権は持続するのか」
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リアは迷わず答える。
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「します」
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「私の都市は十年続いています」
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広場が静まる。
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十年。
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集中統治で繁栄している都市。
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リアは続ける。
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「人は決断を必要とします」
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「責任は一つであるべきです」
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それは、
イェルクとは違う言葉だった。
だが、
結論は同じだった。
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私は彼女を見る。
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もし、
この町が代表制度を選んでいたら。
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この女性の都市のように
なっていたかもしれない。
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リアが静かに言う。
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「あなた方の構造」
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「評議会で議論になります」
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一拍。
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「楽しみにしています」
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その言葉は礼儀だった。
だが、
思想の対決でもあった。
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町の試み。
中央の成功例。
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そして、
連合の未来。
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議論の舞台は、
もう
完全に
町の外に移っていた。
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