第104話 制度の裂け目
ラーデン市の崩壊は、連合中に静かに広がった。
叫びはない。
だが、沈黙が長くなった。
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数日後。
連合評議会から新しい通達が届く。
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――防衛体制の再評価
――都市統治構造の再検討
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倉庫番が紙を読みながら言う。
「つまり」
一拍。
「制度の見直しだ」
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広場は静かだった。
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ラーデン市は中央の判断で切られた。
それは合理的だった。
だが、
都市は消えた。
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マルタが腕を組む。
「連合も揺れてるな」
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レオンが頷く。
「当然だ」
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中央集権は強い。
だが、
都市一つの崩壊は重い。
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ルーカが言う。
「向こうでも議論になってる」
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「どんな?」
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「中央を強くするか」
一拍。
「都市の自律を増やすか」
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その言葉に、何人かが顔を上げる。
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まさに今、
この町が試している構造だ。
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その夕方。
再び連合の使者が現れる。
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今度はクラウスだった。
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「ラーデンの件で」
彼は言う。
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広場に人が集まる。
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「評議会は揺れています」
クラウスは正直に言った。
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「中央集権を強めるべきだという声」
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一拍。
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「逆に」
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「都市分散を強めるべきだという声」
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焚き火が揺れる。
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「そして」
クラウスは続ける。
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「あなた方の町の構造が」
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一拍。
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「議題に上がっています」
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ざわめきが広がる。
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倉庫番が笑う。
「模範都市ってやつか」
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「そうです」
クラウスは頷く。
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「ただし」
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声が少し低くなる。
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「今度は」
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「実験ではありません」
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広場が静まる。
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「制度です」
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レオンが聞く。
「つまり」
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「連合の統治構造を決める議論になる」
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火が小さく弾ける。
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町の選択は、
町の中だけの問題ではなくなった。
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マルタが言う。
「私たちが?」
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クラウスは答える。
「ええ」
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「あなた方の構造が」
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「連合の未来を決めるかもしれません」
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沈黙。
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私は火を見つめる。
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分散。
集中。
そして、
第三の構造。
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それは今、
町の試みではなく
連合の問いになり始めていた。
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火の向こうでクラウスが言う。
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「評議会は」
一拍。
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「代表者を呼びます」
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焚き火の火が揺れる。
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次の舞台は、
もう町ではなかった。
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