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断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


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104/112

第104話 制度の裂け目

 ラーデン市の崩壊は、連合中に静かに広がった。


 叫びはない。


 だが、沈黙が長くなった。


---


 数日後。


 連合評議会から新しい通達が届く。


---


 ――防衛体制の再評価

 ――都市統治構造の再検討


---


 倉庫番が紙を読みながら言う。


「つまり」


 一拍。


「制度の見直しだ」


---


 広場は静かだった。


---


 ラーデン市は中央の判断で切られた。


 それは合理的だった。


 だが、


 都市は消えた。


---


 マルタが腕を組む。


「連合も揺れてるな」


---


 レオンが頷く。


「当然だ」


---


 中央集権は強い。


 だが、


 都市一つの崩壊は重い。


---


 ルーカが言う。


「向こうでも議論になってる」


---


「どんな?」


---


「中央を強くするか」


 一拍。


「都市の自律を増やすか」


---


 その言葉に、何人かが顔を上げる。


---


 まさに今、


 この町が試している構造だ。


---


 その夕方。


 再び連合の使者が現れる。


---


 今度はクラウスだった。


---


「ラーデンの件で」


 彼は言う。


---


 広場に人が集まる。


---


「評議会は揺れています」


 クラウスは正直に言った。


---


「中央集権を強めるべきだという声」


---


 一拍。


---


「逆に」


---


「都市分散を強めるべきだという声」


---


 焚き火が揺れる。


---


「そして」


 クラウスは続ける。


---


「あなた方の町の構造が」


---


 一拍。


---


「議題に上がっています」


---


 ざわめきが広がる。


---


 倉庫番が笑う。


「模範都市ってやつか」


---


「そうです」


 クラウスは頷く。


---


「ただし」


---


 声が少し低くなる。


---


「今度は」


---


「実験ではありません」


---


 広場が静まる。


---


「制度です」


---


 レオンが聞く。


「つまり」


---


「連合の統治構造を決める議論になる」


---


 火が小さく弾ける。


---


 町の選択は、


 町の中だけの問題ではなくなった。


---


 マルタが言う。


「私たちが?」


---


 クラウスは答える。


「ええ」


---


「あなた方の構造が」


---


「連合の未来を決めるかもしれません」


---


 沈黙。


---


 私は火を見つめる。


---


 分散。


 集中。


 そして、


 第三の構造。


---


 それは今、


 町の試みではなく


 連合の問いになり始めていた。


---


 火の向こうでクラウスが言う。


---


「評議会は」


 一拍。


---


「代表者を呼びます」


---


 焚き火の火が揺れる。


---


 次の舞台は、


 もう町ではなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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