第103話 崩れた都市
知らせは、雨の朝に届いた。
伝令は泥だらけだった。
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「連合からだ」
息を切らしながら言う。
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レオンが紙を受け取る。
目を通し、
ゆっくり息を吐く。
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「何だ」
マルタが聞く。
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レオンは紙を火のそばに置いた。
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「都市が一つ、崩れた」
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広場が静まる。
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「崩れた?」
倉庫番が聞き返す。
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「ラーデン市」
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名前を聞いた何人かが顔を上げる。
連合の都市だ。
しかも、防衛の拠点だった。
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「どういう意味だ」
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レオンは紙を読み上げる。
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「外縁衝突の補給を集中」
一拍。
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「都市の備蓄が枯渇」
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沈黙。
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「補給は?」
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「中央が判断」
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レオンの声は低い。
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「別都市を優先」
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焚き火がぱちりと鳴る。
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「つまり」
倉庫番が言う。
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「切られた」
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誰も否定しない。
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合理的な判断だ。
戦線を維持するための。
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だが、
都市一つが消耗した。
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「住民は」
マルタが聞く。
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レオンは首を振る。
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「避難」
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避難できた者もいる。
だが、
都市としては終わった。
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沈黙が長く続く。
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ルーカが言う。
「向こうでは普通だ」
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広場の何人かが彼を見る。
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「中央は戦線を守る」
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一拍。
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「都市は単位だ」
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言葉は静かだった。
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だが、重い。
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私は火を見つめる。
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中央集権は強い。
速い。
合理的だ。
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そして、
切る判断も速い。
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倉庫番が言う。
「模範都市は」
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一拍。
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「切られる側か?」
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誰も答えない。
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レオンが言う。
「今は違う」
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「だが」
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紙を見つめる。
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「制度が同じなら」
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火が揺れる。
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町は守られている。
豊かだ。
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だが、
外の世界では
都市が一つ
静かに消えていた。
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そして、
その制度は
今
この町にも
提案されている。
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焚き火の火が小さく揺れる。
町はまだ壊れていない。
だが、
世界はもう
動き始めていた。
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