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断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


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102/119

第102話 三つの判断

 三つの責任は、思ったより静かに動き始めた。


 朝。


 広場に伝令が来る。


 連合からの書簡だ。


---


「交易路の変更要請」


 倉庫番が読み上げる。


 外縁での衝突の影響で、

 物資の流れを変える必要があるという。


---


「防衛は?」


 マルタが聞く。


---


「問題なし」


 レオンが答える。


「むしろ安全な経路だ」


---


「なら、交易は変更」


 倉庫番が言う。


---


 以前なら、

 代表が決めていた。


 今は違う。


---


「内政の影響は?」


 マルタが紙を覗く。


---


「小麦の到着が一日遅れる」


---


「許容範囲」


---


 三人の会話は短い。


 だが止まらない。


---


 倉庫番が印を押す。


 次にレオン。


 最後にマルタ。


---


 三つの印。


---


 伝令がそれを持って走る。


---


 広場の端で、誰かが言う。


「速いな」


---


 確かに速かった。


 代表が一人で決める速さと

 ほとんど変わらない。


---


 違うのは、


 決断の重さだ。


---


 昼。


 別の知らせが届く。


---


「防衛線からの要請」


---


 人員の追加派遣。


---


 レオンが顔をしかめる。


「若者が足りない」


---


 マルタが言う。


「畑も足りない」


---


 倉庫番が言う。


「備蓄は持つ」


---


 三人が少し黙る。


---


 ここが、

 代表制度と違うところだった。


---


 一人なら、

 すぐに決められる。


---


 だが三人なら、


 考える。


---


「二人」


 レオンが言う。


---


「一人」


 マルタが言う。


---


 倉庫番が言う。


「一人」


---


 沈黙。


---


 レオンが息を吐く。


「一人」


---


 決まる。


---


 速さは落ちる。


 だが、


 納得は残る。


---


 夜。


 焚き火のそばで、

 倉庫番が笑う。


---


「悪くない」


---


 マルタも頷く。


「思ったより回る」


---


 レオンは火を見つめる。


「まだ一日だ」


---


 それも事実だ。


---


 構造は、

 長く続いて初めて分かる。


---


 成功か。


 失敗か。


---


 だが、


 この町はもう


 代表のいない決断を


 動かし始めていた。

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