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【急募】壊れた勇者のなおし方  作者: 藤原ゴンザレス


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第二十一話

 ドラゴン。

 万物の頂点に存在する叡智の存在にして最強の生物である。

 その中でも最強のドラゴン、

 闇の龍。ヴェルドラン。

 闇の力を持つ無敵の存在。

 他種族など塵芥。

 数多の国を滅ぼしてきた至高の存在。

 そのドラゴンは顔を子どもに踏みつけられていた。


「おいトカゲ。お前なら知ってんだろ? 誰が命令した」


 子どもだというのに頭蓋骨が割れそうなほどの圧だった。

 全身は何本もの氷の槍で串刺しにされてる。

 圧倒的な力の差がそこにはあった。


「な、な、な、なぜ……」


「なぜって? そりゃ、このおっさんじゃ無理だからだよ」


 無明はヴェルドランになにかを投げつけた。

 それはもぎたてほやほやの首だった。

 その顔は……魔王だった。

 今回の異世界侵攻の発案者。

 ヴェルドランと並ぶ最強の戦士。

 それが何をされたかもわからないという表情で絶命してた。


「さっさと犯人言えよ……いや、もういいわ。めんどくせえ」


 ボキボキボキと頭蓋骨が割れる音がした。


「や、やめ! 言うから! 絶対神だ!」


「ふーん」


 無明の声が一段階冷たくなった。


「じゃ死んどけ」


「やめ……」


 無明は容赦なくヴェルドランの頭を踏み潰した。

 無明はせせら笑う。


「またも神が俺の人生に立ち塞がりやがりやがった……そうか。そんなに俺が嫌いか」


 神の眼がやってきた。


「さっきの人は?」


「安全なところまで連れて行きました」


「わかった。じゃ、ちょっと皆殺しにしてくる」


「は?」


「犯人、こいつらの世界の絶対神だって。ちょっとこいつらの世界滅ぼしてくるわ。まさか止めないよな?」


 神の眼は迷った。

 だが無明を止められるはずがないという理性的判断が勝った。


「わかりました。ただ上位神様に報告だけはします」


「どうぞ。ついでに邪魔したら殺すって伝えてくれる?」


 無明の目は本気だった。

 今は上位存在に届かないかもしれない。

 だが明日は?

 そう遠くない日に上位存在の居場所にたどり着き、皆殺しにするだろう。

 神の眼は考えるのをやめた。


「お伝えします」


 上位存在に意思はない。

 つまり無明を敵に回すよりはだいぶマシだ。

「できませんでした」ですむ。

 そもそも無明なんかを生み出した上位存在が悪いのだ。

 神の眼に解決できる力などない。

 ただ報告するのみ。

 神の眼は己の身の安全を選択した。


「ご随意に」


 神の眼がそう言うと無明はダンジョンに消えた。

 神の眼は安堵した。

 どうやら消滅するのは今日ではないらしい。


 一方、無明は神のところに到達していた。

 神々の座。

 そこに異世界の神殺しがやって来た。

 軍神のなんたらというのが名乗りを上げたが、無明がナイフを振るうと真っ二つになった。


「なあ、お前ら。人の世界にカチコミかけてきて……ただですむとは思ってねえよな?」


 無明は笑顔で神々を殺していく。

 首を落とし、羽をむしり、肉片に変えていく。

 絶対神が神の座についたとき。

 絶対神以外のすでに神は殺されていた。


「よ、知らない世界の絶対神さん」


 無明は激怒していた。

 なぜ大人しく生きていこうとしてるのに次から次へと自殺志願者がやって来るのか?

 すべて無明が望んだことではない。

 反社にも神にもやるなと警告してあるはずだ。

 なぜ死にたがるのか?

 そうか無明をバカにしてるのか。

 では教えねばならない。

 だから無明は一番わかりやすい手を使った。

 皆殺しである。

 絶対神は最後の一手と魔法を唱える。

 その首を無明は切り捨てた。


「は?」


 そうつぶやいた絶対神の髪の毛を無明はつかんで見せつける。

 そこには絶対神の世界の宇宙が映っていた。


「なあ見ろよ。絶対神。この星には幾多もの生物がいるんだろうな」


「は?」


 絶対神には意味がわからなかった。


「隣の惑星をぶつければいいか」


「そ、そんなことをすれば皆殺し……」


「皆殺しにするって言ってんだよ。俺の世界にちょっかいかけたお前が悪い。神も生物もなにもかもだ! だいたい、てめえらも俺たちにこれをするつもりだったんだろ?」


 無明が自身の手をかざす。

 そのまま手を振ると惑星が移動する。


「や、やめろ! 本当に皆殺しにするつもりか! お前に人の心はあるのか!?」


「知らねえよ。俺は神の眼に警告したぞ」


 無明は異世界で何度も痛い目にあって学んだ。

 危機感のないやつに警告しても無駄だ。

 痛い目にあわせるしかない。

 挨拶代わりに喧嘩売ってきた傭兵は殺さなければならない。

 復讐に来たらそいつらも皆殺しだ。

 ある程度殺せば、たいていわかってくれる。

 自分たちが悪いのだと。

 それがコミュニケーションだ。

 わからなければ皆殺ししかない。

 そして残念ながらこの世界はやりすぎた。

 無明が本気であるということを甘く見てる。

 他にもこういう世界があるのだろう。

 だったら殺すしかない。

 殺して神どもをわからせるしかない。

 どうしてもこの世界を滅ぼすというなら……神という存在を消すしかない。


「これがお前らの望んだ結果だ」


 惑星同士が衝突し、無数の破片が周囲の惑星に降りかかった。

 それは他の惑星までも破壊していき、生物の出現可能性を奪っていく。


「よかったな無能」


 無明は腹を立てていた。

 なぜアオハルを望んでいるのに殺戮ばかりさせられるのだろうか?

 どうして自殺志願者ばかりがやってくるのだろうか?

 無明によって死の世界が広がり、すべての生きとし生けるものが死に絶えた。

 すると絶対神が消滅していく。

 生命の存在しない世界では絶対神の存在理由はない。

 世界の崩壊によって塵になったいく。


「もう一度神どもへの警告だ。邪魔するものは皆殺しだ」


 それは感情や意思のないはずの上位存在すら恐れさせる宣言だった。

 その後、ダンジョンは世界から亡くなったのか?

 それは違った。

 別の世界からの征服者が来るだけだった。

 だが神々は警告した。

 その世界には魔人がいると。

 死と殺戮を司る人から神になった存在がいるぞと。

 やりすぎるなと。

 だが無明にはそんな評判などどうでもよかった。

 自分が見えている範囲、それが無明の守りたいものだった。

 そんな無明は普通に学校に行き、男子とサッカーをしながら道場に通う。

 ただその危険性をどう扱うかをめぐって神々の間で争いが起きていた。

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