7話 風達による計画
「これより豊ちゃんの今後について会議を行います」
私仙台風は百合花殿の会議に参加していた。
参加は10人以上が居て、どの方も銀河連邦の重鎮ばかり、この会議のために異世界に来ている。勿論豊の姉である三姉妹も参加している。百合花殿の婦人会でもあるわけだ。
「では、悠木殿説明を」
「分かったよ。豊の身体は健康そのもの、これから順調に育てば生体強化も可能だけどそれはダメなんだよね、風?」
「そうだね〜。なるべくは生体強化無しで行きたいね〜」
「でも生体強化無しで神に勝てないのでは?それにそもそも前世の記憶があるとしても、産まれたばかりの幼子に神殺しをさせるのがおかしいのでは?」
この人はジン皇国の皇家の一つである天王寺家の女主人、天王寺・ジン・涼子殿で黒髪ロングで黒目で日本人のような顔立ちをしているが涼子殿の母上が地球の日本出身ということなんだよね〜。
ジン皇国は4つの皇家が存在する。
現ジン皇の神流・ジン・杏樹の神流家。
ジン皇の第一王配の出身である天王寺家。
ジン皇の第二王配の出身である神堂家。
そして豊の血族であり前ジン皇の実家の華京院家。
この4つがジン皇国の主軸であり銀河連邦に大きな権力を持っている。
「それは究極神である紡さまの使命なので、難しいでしょうね」
「その星を見捨てる事はできないということですか…百合花さんは豊ちゃんを玩具にしたいだけでは?と言うよりここに居る人達全員では?」
「そんな事はありません、涼子様!!私の可愛い豊を玩具にするなんてとんでもない!私はお祖母様ではありません!私はそもそも反対なのです!神など私が殺します!」
「落ち着きなさい絵梨花。それでは紡様を楽しませることはできないでしょう?」
「そんな勝手な――」
「落ち着け絵梨花、何も策が無くさせるわけではないのだ。それにこの星にはアレがある、それに選ばれた者は眠りついているのだ。我々も無視するわけにはいかん。いずれこの星は重要な星となる。その守護として豊を育てる意味もあるのだ」
この人が現ジン皇、神流・ジン・杏樹。
白髪でベリーショート。肌は褐色で瞳は黒色をしていて威厳のある男装の麗人だ。
杏樹殿が言う通りこの星は、今後、銀河連邦にいや、ジン皇国にとって、重要になってくる。
見捨てる事は出来ないよね〜
「話を戻すよ。生体強化無しで、その生体強化レベル1ぐらいまで、それも生身で強化する必要がある、風の人脈で、現地の人からも協力してもらうことになってるから衣、武は良いとして、魔法は風が、知識は豊が前世の記憶があるけど、ボクが改めて教育する。帝王学とかあるしね。食に関しては豊が調理者ってスキルを持っているから、これに関しては本人に任せるとして…」
「はい!」
「遥花ちゃんどうぞ」
「私と夫がこの星に滞在します!」
「遥花姉さん、仕事はどうするのさ?」
「遥花姉さん、ズルい!」
「仕事は息子にやらせます!あの子もいい歳ですし私の仕事ぐらい出来るわ。私はこの星で新たに子供を産み豊君のサポートをさせるわ」
さらっととんでもない事を言ったね〜遥花ちゃん。
でもそれは有り難いかも、豊の心の問題で、守る存在が居たほうが強くなるかもしれない。
いい案だと思う。
けどそれは遥花ちゃんが豊と居たい為なんじゃないかな〜。
「じゃその子の教育もするわけで、このまま豊と一緒に育てて邪神を討伐させる事で進める。皆さんには多様な敵にも対応出来るように鍛えて貰うよ」
「遥花様の子は生体強化するの?」
この人は銀河連邦宇宙警察の警察本部副長官で學士の天王寺由佳殿。ベージュ色の髪を伸ばし後ろで結び垂れ流していて瞳は黄色をしている。涼子殿の息子と結婚している。
この人も百合花殿と同類で人を玩具にして楽しむ傾向があるんだよね〜。
「いいえ、させません」
「ウ~ン。ちょこっと身体をいじって生体強化すれば楽なのに〜、すーぐ最強よ?」
「由佳殿、いずれはするかもしれませんが、豊君と共に強くなってくれれば良いのです。夫はジン皇家の武術を習得しているので、前世の記憶を持つ豊君の剣術も夫から学んだと言えば何とかカモフラージュ出来るでしょうから」
「そうですね亮平ならそれも可能でしょう」
遥花ちゃんの夫である亮平君は涼子殿の息子だからね〜かなりの使い手だから豊の幅を伸ばせるね〜。
さて精神面だけど、どうしたものか…
「さて、住に関してもボクが担当するとして問題は精神面だ。豊は精神苦痛耐性が以上に高い、これには前世の影響が大きすぎるんだけど、このまま放置というわけにもいかない、そこの所はどうなの風?」
「それに関してはクロエとイザベラが近くに居るし私も愛情持って育てるつもりだし、キッドとノワールが癒やしを担ってくれると思うよ〜遥花ちゃんも居るのは心強いしね〜」
「私も居たいのにーー」
「絵梨花がいると女性が寄ってこなくなるよ」
「それでいいの!」
「いやだめでしょ!」
彩也花ちゃんが絵梨花ちゃんを止めてくれる。
豊には心を支えてくれる存在が必要だ。
豊の事を真に理解し心から支えようと気概のある人物がね。それに関しては総司に任せるかな〜。それに各国の上の人間も協力してくれるだろうし〜。
「最後に神殺しなんだけどシュミレートした結果、現状一人で、討伐するのは不可能なんだ」
「神が強すぎるとか?」
悠木の言葉に百合花殿が反応する。
神を殺すときは生体強化をすればいけるんだけどね〜。
「それもあるけどアークガンドにはあれがあるから何とかなるはずだ、それよりもその神を信仰する国と、その神が管理する星の兵がこの星に流れ込むとこれは立派な戦争となる」
「その為には他の国を纏めないといけのですか?」
「涼子殿の言う通りだよ、それも大陸統一とまでには行かないけど多くの国の協力が必要だ」
「じゃあ上に立つ人間として徹底的に教育する必要があるということですね、悠木様?」
「由佳殿の言う通りだね。その必要が出て来る」
皆が黙ってしまう。
当然か、これでは機械を組み立てて居るような感じがしてならない。私はその為に豊を産んだんじゃない!反論しそうになったとき思わぬところから援護が来る。
「それでは豊ちゃんが可愛そう。唯でさえ前世で、政府に良いように使われて心を殺して生きていたのに、これでは使命のためだけに生きているようなものじゃない。豊ちゃんの前世と何ら変わらないじゃない!豊ちゃんには人生を楽しく伸び伸びと生きてもらいたい。私は、人生は楽しいんだよって知ってもらいたいの」
この人は華京院・ジン・菫殿、豊の父親である通親の正妻。髪は白髪ロング。後ろで一つにまとめて瞳は黒色肌は褐色。遥花ちゃん達の母親でもある。
ありがとう、菫殿。私が言いたい事を全部言ってくれて、スッキリした。
そうなんだよ。私は豊に知らない世界を、楽しんでもらいたいだ〜。
前世で味わえなかったことを体験してもらいたい。
普通の人の人生や、ワクワク、ドキドキするような人生を送ってほしいんだ。
私は愛情を持って育てるから、豊には本当の愛を知って欲しい。
声に出ていたのか、皆が私のことを見ており、隣にいた菫殿がハンカチを私に渡してくれた。
どうやら私は泣いていたようだ。失敬、失敬。
「菫殿と風殿の言う通りね。豊ちゃんは使命のためだけに生きてるんじゃないもの。普通の人と同じ様に生きてほしいのはここに居るみんな同じ事を考えていると思うわ」
本当〜?百合花殿は玩具にしたいだけでしょ?
豊の事を思ってこうやって集まってくれたのはありがたいけど、大半の人間は面白いかっていうのもあるだよね〜。
苦難もあるだろうけど、百合花殿は、だいたい最終的にいい方向に持っていくから、憎めないんだよね〜。
「なら、愛情を注ぎつつノーマル帯での最強を目指そうか!」
悠木がそんな事を言い出す。
それを聞きみんなニッコリ笑顔なんだけど、ごく一部は悪い笑みに見えてしまう。
ハァ〜豊はのんびり過ごせないかもしれないけど、きっと楽しくなると思うよ。
ママの勘だけでどね〜。
会議も終わりちょっとした酒盛りが始まった。
これだけのメンツだ、そうそう集まることはない。皆各々談笑している。
私は菫殿と話をしているだけど、内容は通親の事とか豊の事ばかりなんだよね〜。
「画像を見たけど豊ちゃんは本当に可愛いわね。私にも息子ができたみたいよ。この後、抱きに行っていいかしら?」
「えぇ、構わないよ〜。抱っこしてあげて、それが豊の為になるんだから〜。それよりさっきは本当にありがとう。私はてっきり菫殿には嫌われてると思ったよ〜」
「何で?一夫多妻は当たり前なんだから、嫌ったりしないわよ。通親を救ってくれてありがとう。それに私は本当に豊ちゃんは息子と思っているんだもの、豊ちゃんの事を思うのなら当然でしょ?」
ハハ、敵わないなこの人には〜。
流石はジン皇の妹一人だよ〜、人格が出来てらっしゃる。そんな事を思っているとジン皇のもう一人の妹である神流・ジン・霞殿がやってきた。
白髪で肩まで伸ばし瞳は黒色で褐色肌。
この人はジン皇国で軍務を担っていて煉獄将軍なんて言われて恐れられてる。
ちなみに百合花殿は知略を担当しており情報収集や陰で政治を動かしたりしていて冷徹智将なんて呼ばれていてこちらも恐れられているよ〜。
まぁそれは置いといて。
霞殿は私達の所にやってくるとお酒を私達のグラスに注ぐ。
「ちょっと私は豊が居るから飲めないよ〜」
「あっ!そうだった。母乳に影響出るね。ごめんなさい」
「もう!霞ったら何やってるの?」
「菫お姉ちゃん、そう怒らないでよ。豊が産まれて有頂天になってただけだよ。それより豊なんだけど私も鍛えて良いんだよね?」
「あぁ、いろんな相手を想定して鍛えないと行けないからね〜」
「そっか、なら私も心おきなくやれるね!戦闘だけじゃなく戦術なんかも教えられるし、いや〜、楽しみができて嬉しいよ」
霞殿はウキウキだね〜。
まぁ、仕事をサボれる口実ができたんだから当然か。海賊や小競り合いばかりだったから暇をしていたんだろうね。
でも、仕事量は多い、海賊は多いのだから。
豊を鍛えるのは良いけど程々にね。
さてこれからやることが、多くなるぞ〜。
これまでは大賢者だからとその立場を利用してこなかったけど、これからはどんどん使っていこうと思う。愛しい豊のためなら、何だってするつもりだよ〜。




