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5話 復讐って辛いよね?


 絵梨花お姉ちゃんが殺気を飛ばす。

 その勢いは凄く俺の体が耐えれず泣いてしまうほど何やけど、これ失神してもおかしくないレベル何やけど凄すぎない?

 トワですら悪い笑みをを消し必死な顔で耐えている。

 これは冗談にならないレベルなんよね。


 絵梨花お姉ちゃんがトワに手刀で飛びかかろうと間合いを一気に詰めた瞬間それを割って入る人がいた。彩也姉だ。トワと絵梨花お姉ちゃんの間に入り手刀を手で止めている。


「いくら可愛い弟の為とは言え、殺気を飛ばすのは良くないなぁ絵梨花」

「どいて彩也花姉さん!ソイツは殺す!」

「周りが見えて無いみたいだね、豊、泣いちゃってるよ?絵梨花のせいで!」

「えっ!?」


 それまで憤怒の表情を浮かべていた絵梨花お姉ちゃんが、彩也姉の言葉で、我に返りようやく俺が泣いているのに気づき、戸惑いの表情を浮かべ、右往左往し始める。

 そこに遥花お姉ちゃんまでやってくる。


「何の騒ぎ?」

「良いところに来たよ、遥花姉さん。絵梨花が見知らぬお姉さんに、殺気を飛ばして豊を泣かせてね」

「そうなの?」


 遥花お姉ちゃんがそれを聞き、視線が鋭くなり絵梨花お姉ちゃんを睨む。その視線に耐えれず絵梨花お姉ちゃんが駄々っ子の様な態度と眉をひそめ遥花お姉ちゃんと彩也姉に言い訳をし始めた訳なんやけど。


「だってこの女が豊の女とか言い出すんだもの!そりゃ殺したくなるでしょ?」

「「っ!?」」


 遥花お姉ちゃんと彩也姉の鋭い視線がトワに向けられる。それに続けと絵梨花お姉ちゃんも睨む。当のトワはと言うと3人の鋭い視線に耐えれず肩を落としやれやれと言った感じでこの場で冗談言っても通じないと思ったのか素性を話し始める。


「冗談ですやん!ワイは主、豊様と契約しとる妖魔ですわ。疑うんなら母君に聞いたらよろしい」

「トワ君が言ってることは本当だよ〜。豊のステータスを見ていたら、妖魔召喚って言うユニークスキルがあったからね〜。気になって召喚してもらったんだよ〜。そしたらトワ君が豊の女とか、絵梨花君に言い出すから面白くてね〜。眺めていたら物凄い殺気を飛ばすもんだから、豊が泣いちゃってね困ったもんだよ〜」


 笑いをこらえて言うママ。

 絶対困ってないやろ。笑いこらえるのに必死ですやん。今この状況を楽しんでるの絶対ママだよね。このママがいっちゃん恐ろしかっ。


「まぁこの中では一番主の事知ってるのはワイでんな。何せ前世からの付き合いでっから」


 恐らくドヤ顔をしているのであろうトワの顔が思い浮かぶ。なんせこっちとら首は座っておらず自由に動かせない。さっきまではママが見せるようにしてたんやけど、トワの言葉を聞いた瞬間、俺を抱き寄せて何も見えないけど、ママが俺を抱き寄せる力が強いけん、ママも恐らくキレとるね。


「だから?」


 淡々とした声でママが応えた。

 これキレてるね、怒気を感じるもん。

 

「ワイは、主が女に裏切られたとき、主の側におって慰めたんやわ。あの時は見てられかったで、女と同時に親友まで失ったんやさかい!」


 トワ止めて。

 何かママや遥花お姉ちゃん、彩也姉、絵梨花お姉ちゃんの怒気が凄まじいけん、火に油を注がんとって。死ぬ気なん?恐らくお前じゃあ誰にも勝てん、そんぐらい強い。


 お前は勝てん勝負をせんはずやろ?

 絶対勝てる勝負しかせんかったやん?

 俺との勝負は俺の事を知って従う気があったけん、力量を知るために勝負して負けただけで本来は勝てるやつにしか喧嘩を売らんはずやん。

 どうしたん?

 何かいつものお前やなかぞ!


「それで2人はどうしたのかな〜?しっかり制裁を加えたのかな〜?」

「答え次第では貴方には消えてもらいますが?」

「遥花姉さんに同意かな。豊の事を大事に思ってるなら制裁はするはずだ」

「まさか制裁してないとか言わないよね?私の可愛い豊を傷つけたやつを、野放しにしてその2人だけ幸せになるなんてことは無いよね?」

「ごめんな主。ワイらは主に1回だけ嘘ついたんやわ」


 えっ!?

 トワの声から悲壮感が漂うやけどどう言う事?

 トワの言葉を聞いたママは俺をトワが見える位置に抱き抱えてくれた。トワの顔が見えると、その顔には罪悪感に押しつぶされそうで、今にも泣き出しそうな顔をしとる。

 そんな顔初めて見たばい。

 トワは明るく常に笑っておるイメージやったし、俺がフラレた時も笑って励ましてくれとったやん。


 俺に嘘って何のことなん?


「主があの時は「あの2人が幸せになるならそれで良かけん、復讐だけはするんやなか」って言わはったんやけど、ワイらはどうしても納得出来んかったやわ」

「それで?」

「ワイが2人の今後の事思って監視してたんや。このまま2人が幸せになるなら放置を決め込む予定やったんや。けどな…」


 そこで言葉を遮り、今度は怒気が膨れ上がり、その顔を眉を上げ眼を鋭くして今居ない奴を思い出しながらなのか青筋を立てた顔で、静かに怒声を上げた。


「あの男はすぐ女を捨てた。目的は主を苦しめて悦に浸ることと、当時主の事を良く思って居らんかったハンターに金で雇われとったんやわ。アイツはクズや、ドクズなんやわ。アイツは何度も主に助けられたことがあるって主の親父さんに聞いたんや、なのに主を裏切った。あんさんらは許せるんか?」

「「「「許せない!!」」」」

「せやろ?ワイも許せんかった!せやさかい、ワイはこの事を酒吞や黒天、九尾とか当時主と妖魔契約しとる奴ら全員に話したんや。そしたら皆怒ってなクズに復讐するために動いたんや」


 俺は真っ直ぐトワの目を見つめる。

 一言一句聞き漏らさないように聞き耳を立てる。必死に話すトワに集中した。


「先ずこの事をクズの本命の女に話したんや。何の偶然かその本命はハンターで公安やったや、勿論その本命は主の事を知っとったわ。寧ろ主の親友やから近づいたまであるって言うとったわ。そしたらワイらが来て復讐したい言うたら心置きなく手伝ってくれたで。ワイらが見る目の前でコテンパンにフラレてもうたわ」

「フラレた理由はその人はクズに話したのかな〜?」

「勿論話したで!「私の尊敬する人に良くも傷つけてくれたわね。しかも金と自分が悦に浸るためなんて最低!この人間のクズが!」って引っ叩かれたわ」


 ワーオ!酷いフラれようやね。

 まさかその公安の人って那須さんかな?

 俺がフラれた後俺が立ち直るまで飲みに付き合ってきたんやけど、あの綺麗な人かね?

 その人やったら、俺なら立ち直れんよ。


「それで終わり〜?」

「まさかそれだけじゃありませんよね?」

「それだけだと生ぬるいね」

「まだまだどん底に落とさないと!」

「まさか〜、これで終わったらワイらの腹の虫が治まらんわ。その後は主の両親に報告してそのクズの親と仲が良かったさかい、その親に事の顛末を報告してもらったんや!そしたら両家の親は大層怒ってコテンパンに肉体的に痛めつけられとったわ!特に主の妹さんは大層ご立腹でな、刀まで抜き出したわ!流石に止められとったけど。最終的にクズは親に勘当されたわ」


 流石にね!刀はまずい!

 我が妹ながら恐ろしいわ。

 あの優しいおじさんとおばさんがね〜竜也よ哀れやな。あの2人が怒るなんて相当やぞ?しかも勘当ってシャレにならんよ。


「せやけど、クズは改心せんかった。あろうことか主に復讐を企みよった!当時主に恨みを持ってるハンターを言葉巧みに集めて殺そうとしたや!せやけどな?…クフフ」


 何?その含みのある笑みは?

 今までの怒った表情どこ行ったん?

 ちょっとお姉ちゃん達まで笑顔何ですけど?

 怖い!俺もこの先想像できたんやけど!

 まさかとは思うけど?


「ハンター上層部と政府のお偉いさんの監視のもとワイらが返り討ちにしてやったわ!ワイらが突然現れた時のクズどもの顔ときたら…クフフ。絶望一触やったわ!しかも最終兵器のオロチまででてきたんやからな!やつらは知らんかったらしくてな、主の妖魔にあの八岐の大蛇がおるとは思わんかったんやろうな!傑作や!」

「でも八岐の大蛇って須佐之男命に殺さんだよね〜?」

「せや!せやさかい主は黄泉比良坂まで行ってそこから八岐の大蛇に呼びかけて契約したんや!主が最強と言われる一角やね!クズは一目散に逃げってたから夢に現れてやって八つ裂きにしたり四肢もいだりしてやって目が覚めたらワイらが枕元に立っとるちゅうこっちゃ!」


 うわ~、これは酷いわ。

 竜也は一般人だから妖魔が現れたら失禁するやろうな〜。

 ってかオロチまで出てきたんかいハンターにとって最悪やろうなあんなでかいもんが出たら肝を冷やすわ。俺でも苦戦したんやから並のハンターじゃ太刀打ち出来んよ。


「いい歳した大人がオネショして起きたらまた失禁して二度と主に関わらん事で手打ちにしたったわ!だからごめんな主」


 今度は眉をひそめ肩を落とすトワ。

 遥花お姉ちゃん、俺を抱きかかえてくれる?

 ありがとう。

 俺を抱えて遥花お姉ちゃんがトワに近くに寄ってくれて、トワの頭に手が届く位置にいく。

 そして俺はトワの頭を撫でる。

 良かよ。俺の為に怒ってくれてありがとね。お前たちは最高の妖魔やけんいつものトワに戻り!

 そうトワに伝えると、肩の荷が下りたようにその場で座り込み、唇を噛み締めながら泣き出す。


「怖かったんや…そこから人を寄せ付けんようになってワイらにも笑顔を浮かべてくれんようなって…主は何かが壊れたかと思うぐらい……仕事を業務的にこなすようになって…感情がなくなっていくさまが…酷くて…グス…見てられんかったわァァァ」


 遥花お姉ちゃんはしゃがんでくれてもう一度トワの頭を撫でる。

 スマンかったな、辛い思いをさせて。俺は駄目な主だな…

 これからはお前たちが誇れる主になるから泣くなよ。

 

「オギャー、オギャーオギャーー」


 ほーら俺の身体まで泣いちゃったやんか。

 そんな俺の鳴き声を聞いてトワが頭を上げ俺を見て、遥花お姉ちゃんからトワに抱きかかえられ俺を抱きしめながらトワも泣く。

 何か周りからもすすり泣く音が聞こえるばってん今はトワとの時間を大事にさせて欲しか。

 この日十数年ぶりに妖魔との心の距離が埋まった気がするのは俺だけやないと思う。きっとね。







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