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46話 賢者の塔って飾りじゃないの?


 話が終わるとネインヘル侯爵とレダー伯爵は王都へと帰っていき、ヘンディーさんも転移門の管理の為、持ち場に戻っていった。

 僕達も明日から街を作るので、今日はこのまま魔獄に戻り、僕と真琴さんは、そのまま夕飯の支度をするためにキッチンへと行く。

 今日はホーンカウのステーキとファング・ジャイアントボアや野菜のしゃぶしゃぶに、マグロで作ったツナを主体にしたサラダ、ファング・ジァイアントボアのベーコンとジャガイモを炒めたバターソテー、野菜たっぷりのポトフにご飯とパンを選べるようにした。


 夕飯には、ノアさんやナナさん、バルンさんの鍛冶をする人や、アトランの冒険者ギルドからグラッドさんとラスティアさんに加えて、アトランから僕の妖魔であるジットとジットの使い魔ゼムとゾシア、ジットの生前の奥さんジェセフィーヌさんがやって来て、これに昼食を食べたメンバーが加わり大所帯となる。

 夕飯を食しているとママが不意にジット達に思い出したかのように話し出す。


「ジット〜アルカディアの政務を君達に任せようと思うんだけど〜どうかな〜?」

「突然だな母君。余としてはアトランは、エキドナが居る。それに新人達もジョゼの学校から優秀な人材で揃っているから余がおらずとも回るであろうな。むしろアトランより規模が大きいアルカディアを政務するとなるとやる気も起きよう。断る動機は無いな。ゼムとゾシアはどうだ?」

「アトランの軍務に関してはスミスが居れば大丈夫でしょう。むしろ御館様の役に立つのであればこのゼム何処にでも行く所存です」

「私もゼム殿と同じです。私が作り上げた魔法部隊も任せることのできる者が居ますので大丈夫です。それよりも私は御館様の側に居たいと思います」


 三人は後進が育ってきたので、後を譲ると言うのでアルカディアに来るのだろう。

 僕は気になった事をジョセフィーヌさんに聞いてみることに。


「ジョセフィーヌさんは良かと?ジットと離れ離れになるけど?」

「フフ、面白いことを聞くんですね、ユタカ様」


 えっ?

 僕面白いことを言った?

 今のでなんでそう捉えられるの?


「フフフ、勿論わたくしもジット様に付いていきますよ。学校は教頭に任せますから、アトランは大丈夫でしょう。ですがアルカディアは違います!腐敗しているそうなので微力ながらわたくしも力になりたいと思います!」


 堂々とした態度で芯のある言葉を言うジョセフィーヌさん。

 何だか頼もしいんだが!

 まぁ本人が言うなら良いんやけどね。


 食後は様々な魔物の内臓を使って作ったレバー炒めやホルモン焼き等を酒の肴にして、それぞれ酒を楽しみ、僕はキッド兄ちゃんとネェネとお風呂に入り、綺麗に洗ってから部屋でテレビの配信を見てキッド兄ちゃん達をモフり戯れてから眠りについた。


 翌日から僕とフォビアナちゃん、ママと真凛さんの四人でアルカディアの跡地を転移門を中心に建物を作る作業に入り、エル達は魔獄で木を切って加工した木材を僕達のもとに運んできたりしていた。

 作業は三日かかり、大きさ的にはアルカディアには劣るものの一万人位は余裕で入る規模で作った為、貴族達には文句は言わせない。

 街を囲うように高い城壁は作ってはいるし、堀もある。

 街の中には転移門の後ろ区画に王城より小さい城を作り、そこで政務をしてもらう予定。

 城の付近は貴族達が住む予定地を開けているのでかなり大きな更地となっていて、僕達が街を作り始めてから有力貴族達は、こぞっていい場所を取り合い建物を作り始めた。

 中には傲慢な貴族が屋敷を作る様に命令して来たが、都度ネインヘル侯爵とレダー伯爵、そしてドジャマンダル大公が出てきて貴族の抑止禄となってくれた。

 この街はドジャマンダル大公が統治すると、ハーリー王が名言しており、ドジャマンダル大公はカトリーヌ殿下に任せるとママにドジャマンダル大公は言っていた。

 因みにこの街はファルバルと名付けされた。


 ファルバルを完成させて、翌日にナレッジアカデミーの合否が発表される事となり、僕達はアルカディアの屋敷へとやって来ていた。

 明日は中等部の合否も発表されるため進も居るのだがリーシアちゃんとヘルミーヤーナ殿下やナーレーリッタ嬢も一緒に来ており、会談から仲が良く少し良くなっているようで、僕としてはなによりなんよね。


 翌日僕達はアカデミーの校舎の前に貼られた合格者の受験番号を見ていて、僕の番号を見つける。

 合格はしていたようだ。

 本番はこれから。

 合格者は校舎の近くにある受付のある建物でクラスを言われ、肩にクラスの紋章が刺繍された制服を渡される。

 Sクラスなら金の糸でドラゴン。

 Aクラスなら銀の糸でフェンリル。

 Bクラスなら銅の糸で獅子。

 Cクラスなら黒い糸でオルトロス。

 Dクラスなら赤い糸で虎。

 Eクラスなら緑の糸で鷹。

 Fクラスなら白い糸で横顔の狼。

 と、紋章が施されている。

 これが貴族となると左側に貴族の紋章を施す為のペリースが付けられるようになっている。


 僕達は、建物の中に入り受付で、受験番号の紙を渡し、対応を待つ。


「7011番…はい。センダ・ユタカさんですね?確認できました。合格おめでとうございます。ではこれから制服を用意しますので少々お待ち下さい」

「はい」


 そう言うと受付の人は後方に下がり、少し待つと制服を持ってやって来る。


「お待たせしました。こちらが次の月から貴方が着る制服です。入学式は四の月の五日で今日から10日後の朝9時となるので、朝8時にはアカデミーに来て下さい。これから頑張ってください」


 受付の人に渡された制服には見えるように紋章が正面に来るように折りたたまれていた。

 僕のはドラゴンだった。

 どうやらSクラスらしい。

 正直クラス等どうでもよかったんやけどね。

 僕には特別に講師がつくし、どのクラスになろうが変わらない。

 建物の中を出て外に行くとエル、ルイ、セレナちゃん、シノ、エルリック、真琴さんが待っていた。

 どうやら僕は最後だったようだ。


「で、ユタカはどのクラスなのだ?受けた私達は全員Sクラスなのだが」

「ほ〜う。Sクラスね、僕もSクラスばい」


 その言葉を聞きエル達は安堵の顔をした。


「良かったです。これで豊さんだけ違うクラスならわたくし達は抗議するところでしたから」

「変だよね?フォビアナの時は平民だからかFクラスから始まったから、私もユタカもシノもFクラスからと思ったんだけど」

「クラスなんてどうでも良い。ユタカ様と一緒ならどこでも良い」

「恐らく校長や教頭が変わったからでしょうね」

「公平に見られたと思うんですが、豊様が入るクラスには特別講師がついてきますから妥当だと思いますよ」


 ルイ、セレナちゃん、シノ、エルリック、真琴さんの順に思う事を述べていく。

 僕としてはアカデミーなんてどうでも良いんやけどね。

 冒険者をしていた方がまだ楽やし。

 そんな事を思っていると、中から怒声を上げながら出てくる人とそれを必死に止める人が出てきた。


「何故この俺がAクラスなのだ!このレダー伯爵の嫡男であるローダ・デン・レダー様がAで王家の血があるとは言え男爵家の血筋であるジェイクがSなのだ!納得がいかん!」

「兄さん周りの目があるからここは抑えて!」

「うるさい!お前は黙っていろ!王族の血が流れていても所詮は男爵風情の母親の血が流れているくせに偉そうに指示するな!…うん?」


 茶髪の太った男と金髪で青い瞳をして細身の男が言い合いながら僕たちに近づき、茶髪の男が僕の制服を見るやいなや、怒り狂った顔を嫌味な笑顔に変えて僕に話しかけてくる。


「ペリースが付いていないと言う事は平民だな?お前!この俺ローダ・デン・レダー様と制服を変えろ!平民風情がSクラス等おこがましい!光栄に思え!平民風情が貴族の役に立てるのだからな!ギャハハハ」

「兄さん失礼だよ。それに背中に桜の模様があることは大賢者様の御子息だよ」

「フン!知ったことか!何が大賢者だ!偉そうに、貴族ではないのだから、出しゃばるな!幾ら英傑だろうと、平民なのは違いない!ほら、さっさとよこせ平民風情が!」


 言いながら僕の制服を奪おうとしたのを、エルリックがその手を払い除けて僕の前に出る。


「伯爵風情がユタカ様に近づかないで頂きたいですね?それに貴方の父君はフウ様に借りがあるのですよ?この事を知ったレダー伯爵はどうなさるでしょうね?楽しみで仕方ありませんよ!」

「平民風情が執事を雇っているのか?偉そうにしやがって!何が伯爵風情が、だ!それに父上に知られたからどうなると言うのだ!その貸しも平民なのだからなくて良いものを!俺を敵に回すとレダー伯爵だけでなくトッシュ伯爵家まで敵に回し、お前ら家族をこの国に居られなくしてやるぞ!」

「僕は良かばい。正直どのクラスでも一緒やしね」


 僕がそんな事を言うとローダは嫌味な笑顔を更に深め勝ち誇ったようになるが、それも一瞬のことで、エルとルイ、シノが物凄い殺気を向ける。

 僕じゃなくローダに。

 それを受けたローダは、顔を一瞬で真っ青にさせて後ずさる。


「そんな事をするのなら我々王家はレダー伯爵家とトッシュ伯爵家を徹底的に潰す!」

「わたくしも父上に言ってドクトリウム家も動いてもらいましょう。幾ら迷宮都市の領主だとしても魔獄の森や魔獄ダンジョンで鍛え抜かれた我がドクトリウム兵に掛かればレダー伯爵家等敵では有りません!」

「ここでこの戦斧で殺しても良い!」

「ヒィィィィ」

「ちょっと兄さん!って行ってしまった…」


 ローダは怯んで一目散に逃げて行った。

 残されたジェイクと呼ばれた子を残して。

 情けないばい…

 あれで、レダー伯爵の嫡男なのだから、先が思いやられる。

 残されたジェイク君は僕達に向き直り、改まって頭を深く下げる。


「エルネシア王女殿下とドクトリウム辺境伯の御息女であるルイ嬢だと思うのですが、この度は私、ジェイク・デン・レダーの兄がご不快にさせる言動を取り申し訳ございません。大賢者様の御子息も申し訳ない」

「僕はどうも思っとらんよ。エル達は知らんけど」

「私はジェイク殿には何も思っていない。あの勘違い男が好かんだけなのだ!それにジェイク殿は従兄弟にあたるしな」

「わたくしもジェイク殿には何も、原因はあのデブですから、頭を上げてください」


 ジェイク君が謝り僕は兎も角、エルやルイは笑顔でジェイク君が悪いとは思っていないがローダに対しては怒り心頭な感じで、目が笑ってないしシノやセレナちゃんに真琴さんとエルリックまで頷いている。

 ローダはよっぽど嫌われているらしい。


 ルイに頭を上げるように言われてから暫くして頭を上げ苦笑いを浮かべながら僕達を見るジェイク君。


「まぁあんな兄を持つと苦労するんやろうね。分かりたくもなかけど…それより僕はセンダ・フウの息子、センダ・ユタカ。次の月からよろしく」


 僕がジェイク君に右手を出すと一瞬キョトンとした顔になるが、直ぐに顔を笑顔に変えて僕の右手を握り返してきた。


「僕はジェイク・デン・レダー。レダー伯爵の次男だよ。僕の母は大賢者様の熱狂的なファンでね。アカデミーに入って君に会ったら仲良くしなさいって言われているんだ。だからこちらこそよろしく!」


 僕達が握手をしていると、エルが咳払いをして、僕とジェイク君は慌てて手を離し、エル達がジェイク君に自己紹介をしていき、ジェイク君は「また入学式で!」と言い残し去っていった。

 代わりに合否を見に来たヘルミーヤーナ殿下がやって来た。

 どうも進の合否を見てから来たらしく、僕達より遅かったようだ。

 進は勿論合格していてクラスまで見てこなかったらしか。

 で、ヘルミーヤーナ殿下は勿論合格で、クラスは僕達と一緒のSクラスだった。

 ヘルミーヤーナ殿下は一人ではなく、護衛が一人ついていて黒髪ロングで瞳は黄色のダークエルフの様で肌は褐色だ。

 実はこの人もアカデミーに合格しており、ヘルミーヤーナ殿下同様Sクラスだった。

 護衛の人はやる事があるらしく、ここで別れヘルミーヤーナ殿下は僕達と一緒に進が待つ屋敷に戻ることになる。

 それで良いのか護衛…


 屋敷に帰り着くと玄関にママと悠木さんや霞お姉さん、遥花お姉ちゃん、亮平お兄ちゃん、絵梨花お姉ちゃん、フォビアナちゃん、リサーナさん、キッド兄ちゃん、ネェネだけでなく進とリーシアちゃん、ナーレーリッタ嬢、レオ、ディランが待っていた。

 なんかいな?と思っていると近づいた僕達にママがしゃべりだす。


「良し。全員揃ったね〜じゃあ行くよ〜」


 いきなりそんな事を言われ、ママの後を付いていくと屋敷の裏にあるデカくて黒い塔の前に行く。

 実はこの黒い塔、アルカディアのアカデミーの校舎の周りに四つありなんの為にあるんやろうか、飾り?と思っていた。

 黒い塔の前に着くとママが塔に触れて魔力を流すと触れた部分が開き、中に入れるようになっていた。


 全員が中に入ると床が光り浮遊感と共に転移した。

 転移した場所を確認する為、辺りを見渡すと、辺り一面畑が沢山あったり、ポツポツと家が建っている場所にいて、日差しが眩しいくらいあり、目の前に魔獄の家と間違える様に似ている三階建の日本家屋があり魔獄に転移したのかと思ったが湖が無いから違うんやろうね。

 家の前には、真凛さんと総司さんやシド爺が立っていた。


「ようこそ〜賢者の塔生活スペースへ〜ここは私が許可した人物しか入れない賢者の塔の中だよ〜」


 ここが建物の中?

 嘘でしょ?




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