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30話 久しぶりのタバコに歓喜する!


 真琴さんや明が来て5日経ち、僕は日課である日の出前に起きて畑の作業をしそのまま朝食を作って食事を皆で取った後アトランでの政務の書類を見て印鑑を押すと言った事をしながら明日にあるナレッジアカデミーの入学試験の準備をする。

 準備と言っても筆記用具の準備や、テストに出そうな問題の予習を軽くすることぐらいで特にすることはない。


 テストの内容も前世の中学で出るような内容ばかりで高校も出ている僕にはどうと言うこともない。因みに僕と一緒に進もナレッジアカデミーの中等部に入るため頑張っている。進は僕が行くからというのもあるが婚約者が居るというのも大きい。毎日来るわけではないが、週に一回は来る。

 そしてこの娘、進に夢中で進の大事な物は自分に、とっても大事と言うことで僕にも懐いていて料理をベタ褒めしてくれる。


 だがそれを良く思わない存在が居る。

 その娘の兄だ。その兄はラインハルト殿下のことを尊敬しているが自分が興味無いものはかなり見下してくる人のようでラインハルト殿下やカトリーヌ殿下、ラシルド殿下、エルに気に入られている、僕の事を毛嫌いしているようで、進の婚約者が、家で僕の事を褒めると「料理くらいで褒めるとは何事だ、そんなもの料理番に任せれば良い。大賢者の息子なら魔法が出来て当たり前だ!」と言っているらしく進の婚約者は、かなり怒っているようだ。


 僕やレオ達がアトランでやることを済ませ魔獄の家に帰ると進とその婚約者、そしてなんと真琴さんが一緒にいた。体は大丈夫何やろうか、かなり負荷があると聞いたけど…

 と思っていると満面の笑顔で進の婚約者が僕達の居る土間に居間からやって来てカーテシーをする。


「ユタカ義兄様、それに皆様、ごきげんよう。お元気そうで何よりです。そのお着物もすごく似合っていますよ。それとシン君に聞きました。婚約者候補の方がいらっしゃったのですね。今話していたのですが良い方ですね。ユタカ義兄様にピッタリです!」

「ありがとうリーシアちゃん」


 僕はつい進にするように頭を撫でる。

 僕はいつも黒を基調とした着物を良く着る。

 着物はジャシアーノ皇国でよく着ていられる物なので何の違和感もない。因みにママは赤を基調とした服を良く着る。肩には大賢者の紋である桜が描かれている。

 このリーシア・デン・フォークスちゃんが進の婚約者で、黄色の髪をツインテールにして瞳は茶色で、オレンジ色のドレスを着ている。

 礼儀正しく、元気がいい娘で、僕らも妹のように可愛がっている。


 リーシアちゃんに続いて進や、真琴さんも僕達のところにやって来る。進も真琴さんも笑顔だが真琴さんが心配だ。


「おかえりなさい、兄様、そして皆アトランはどうでした?」

「相変わらずの繁盛ぶりやね!もっと人が増えるかもしれん、ジットがぼやいとったばい!」

「父上には母上がついていますしこれ以上働いて貰わねばなりませんから丁度いいのですよ。ユタカ様も父上を甘やかさないで下さい!」

「エルリックは厳しかね。アトランは今かなり注目を浴びとるけんジットのボヤキぐらい聞いてやらんと」

「甘いですよ!アトランでは学問や歌、そしてダンジョンと配信が注目されているのです。ここで頑張りシュナイゼル国王から領地を貰うくらいせねば面白くありません!」


 熱弁するエルリック。

 領地ねぇ〜。これ以上面倒事は要らんのやけど、エルリックのことやけんこれ以上の物を貰おうとしよるんよね。裏で色々画策していることは知っている。闇ギルドの長、ガルードさん何かと汚職貴族を洗ってるみたいだし。

 そんな事より真琴さんだ。


「真琴さん身体は大丈夫ですか?」

「えぇ大丈夫ですよ。今日からユタカ様のメイドとして働けるぐらいには」

「あまり無理はしないでください。真琴さんの身に何かあれば霞お姉さんに何言われるか…」


 僕がそう言うとクスクスと笑い、頭を撫でなれる。なんでや!?と思っていると真琴さんが眼を細めイタズラをするような表情で僕を見てくる。


「そこで霞様ですか?純粋に私のことは思ってくれないのですか?」

「い、いえ、真琴さんも大事ですよ!ただ真琴さんに何かあれば…」

「分かってますよ。私も豊様に何かあれば風様や遥花様が出て来ますから一緒です。フフ」


 真琴さんのからかいがあり、僕達は土間から居間へと移動しキッチンから冷蔵庫にあるエナジードリンクを取り出しそれを持って居間の囲炉裏の前へと座る。

 家の中にいたイザベラさんがレオ達にコーヒー等を淹れて渡してお茶にする。

 一息ついて進が僕に質問してくる。


「兄様、俺にレオとディランを護衛としてつけて良いのですか?」

「うん?それでよかよ。僕には護衛にシノとセレナちゃんがおるし従者にはエルリックがおる、それに真琴さんもね。進にはレオとディランがおれば心も軽くなるやろ?」

「まぁ、そうですけど…レオ達は大丈夫なの?」

「俺は構わない」

「俺もだな。本当はユタカと一緒が面白そうだけど、シノとセレナがいれば十分だしエルリックや真琴さんまで居るんだぜ?それより俺はシンが貴族どもに食い物にされねえか心配だ」


 ディランの言葉にレオも頷く。

 進は純粋なのだ、腹芸が出来ないと僕もレオ、ディランは思っている。するとエルリックがクスっと笑う。何か含みのある笑い方やね。

 疑惑のある目線でエルリックを見ると咳払いをしつつ応える。


「シン様はユタカ様やレオ、ディランが思っているより、かなりの腹芸ができる方ですよ。リーシア嬢のご実家に伺った際私も同行したのですがリーシア嬢の兄上ベラリット殿にユタカ様の事を含みのある嫌味で言われた際、シン様は見事完膚なきまでに論破されました。見事でしたよ!」

「あの時は凄かったです!あのお兄様がぐうの音も出ない程でした「一度も会ったことのない人に対してそのような態度をすると、いざあった時しっぺ返しが来るかもしれませんよ。僕も兄も井の中の蛙、大海を知らずにならないように会う人には敬意を持って、接していますので」と言った時のお兄様の苦虫を噛みつぶしたような顔は忘れられません!」

「シア、そこまで言わなくても…」


 リーシアちゃんがドヤ顔で述べ僕やレオ、ディランもそんな事言ったの?と言う顔になるが進の焦りようがそうなのであろうと思う。ベラリットってそんなに僕の事を気に入らないのかね。

 あった時どうなる事やら。

 まぁ明日試験があった後、各国の王侯貴族の子息や令嬢に合うパーティーが開かれてそこに僕と進、護衛や従者としてレオたちもついてくる。

 僕と進にとっては初の社交界ってわけなんよね。

 絶対なんかある。僕の感がそう言っている。


「人は見かけによらないですからね。進様はよほど豊様を慕っていられるのですね?」

「はい!兄様は俺の自慢ですから!」


 真琴さんの言葉で進がドヤ顔で胸を張り言い張る。よせやい。照れるやろうが。僕がニヤけるとそれを見逃さないエルリックがボソッと呟く。


「照れるなら堂々としてくださいよ全く、はぁ〜」

「なんね、エルリック喧嘩ば売りようと?買うばい、物理的に!」

「口プで勝てないからって直ぐ手を出そうとしないでください。貴方の悪いところですよ?」

「エルリックに口で勝てるはずがないだろ?」

「同感!エルリックに口で勝てるのってフウ様達じゃない?」

「勝てるわけねぇじゃん!」

「エルリックには勝てる気がしない」


 エルリックに対してレオ、セレナちゃん、ディラン、進が口では勝てないと断言する。エルリックに勝てるのはママたちぐらいだ。エルリックに勝てるのは物理的なんよね。口プで勝てる気がせんのよね。


 そんな事を言っていると、珍しく僕のそばを離れていたキッド兄ちゃんとネェネが戻って来る。

 今日はシド爺について修行をしていたそうだ。

 よっぽど疲れたらしく二人をモフってあげた。

 二人はご満悦のようで尻尾を振って受け入れていた。


 その後エルやルイ、フォビアナちゃん達やママ達が戻ってきて悠木さんからあるものを渡される。それはタバコだ、紙タバコとジッポライターをセットでくれて、タバコは、メンソール。

 ジッポライターにはキッド兄ちゃんとネェネがデザインされており二人が喜んでいた。


「豊も成人したからね。そろそろいいかと思ってね」

「豊は状態異常無効があるからタバコを吸っても害はないからね〜でも吸いすぎは禁物だよ〜」

「ありがとう、悠木さん、ママ。やっと吸えるーー!」


 ママと悠木さんに抱きつき今の気持ちを体で表現する。二人も僕を強く抱きしめ頭を撫でられる。ふと我に返りこの状況に恥ずかしくなりその場から離れようとしても二人は離してくれなかった。

 暫く二人のおもちゃになり、一段落するとエルやルイ、フォビアナちゃん、シノが僕に近づき離れようとせずにいる。


「私達にも抱きついてもいいのだぞ!」

「わたくしもですよ」

「私はしなくてもいいかな…豊さんがしたかったら仕方ないけど…」

「私は何時でも良いです」

「いや!抱きつかんから!何でそんな恥ずかしい事ばせんといかんとや!」

「私も求めたほうが良いですか?」


 そんなやり取りをしているとイタズラ顔をした真琴さんまで加わろうとしてきて、困ったばい!

 エルが頬を染めながら僕にいきなり抱きついてきた。それに続くようにルイやフォビアナちゃん、シノまで抱きついてくる。

 何この状況?どうしてこうなった…

 僕は暫くもみくちゃにされるのだった。


 時刻も夕暮れとなり、今日はファング・ジャイアントボアの肉を使ったヒレカツやロースカツ、メンチカツなども作り、真琴さんまでコロッケを作ってくれた。サラダはホウレンソウに餃子の皮を揚げた物を振りまきパリパリサラダにする。

 食事を準備し終え料理を運んで席に着く。

 食事をし始めるとリーシアちゃんが喜び食べていた。


「さすが豊義兄様です。物凄く美味しいです!ねぇ?シン君?」

「うん、本当に兄様が作る料理はどれも美味しいし自慢です!」


 こんな事を言ってくれる人がいるって良いよね。ありがたいなと思いつつ食事をし終えてリーシアちゃんは転移ドアで帰っていった。

 僕は成人してるので明太子を肴にハイボールを飲んでいるとドクトリウム辺境伯のリチャードのおっさんが僕に絡んでくる。

 リチャードのおっさん、実は神の試練を受け聖人に進化している。

 アトランのダンジョンで死を何回も繰り返しレベルを上げかなり強くなっている。


「ユタカよ、いよいよ、明日だな!試験は心配しとらんがその後よな、ようやく社交界に出るかー、これは波乱をうむな!」

「どうやろうねー向こうが喧嘩を売ってくるんなら買うばい!」

「ガハハハ!今のユタカが暴れれば貴族派の連中は肝を冷やすだろうな!」


 明日どうなるかはわからんが波乱が待ってるのは事実やね。どうなる事やら。





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