28話 まさかの再会、そんなバカな?
「心配ないですよ。進様や豊様の戦闘データは事前に確認済みですから、私は魔法は使えませんが短期間で学習して把握済みです。この後、悠木様の船で私も魔法が使えるように魔力器官を作り上げ、魔法を使えるようになるので、その時は進様に教えて貰えますか?」
「はい!その時はよろしくお願いします!」
真琴さんにそう言われ機嫌を良くする進。
進ってラシルド殿下と同じで魔法に目がないんよね。魔法の事なら突っ走ると言うかなんというか。ママや真凛さんに憧れを見せているんよね。
時々僕は心配になるばい。
「真琴さんは軍ではどのような事を?」
「軍の強さなら鬼龍?それとも貴虎?」
「そうですね…」
遥花お姉ちゃんと絵梨花お姉ちゃんが軍のことを話し出す。真琴さん曰く霞お姉さんが率いる軍務も強いが一枚岩ではないらしく、ばぁばが率いるシャドー部隊が一本化され犯罪者や政敵等を取り締まっているので真琴さんは、ばぁばの方が羨ましいのだとか。
でもばぁばは表には出されていないが敵は多く、排除しようと動いたものも、いたのだがばぁばが速やかに動いてその人を排除したのだとか。
ばぁばは軍務でも畏怖の存在で真っ向に立ち向かおうとする者は今では居ないんだと。
軍務と言っているが軍務には二つ種類があってジン皇家の軍と銀河連邦宇宙軍の二つで真琴さんはジン皇家の軍に所属している。
そんな話をしていてもモニターはしっかり見ているらしく、終わったのが確信すると家の外に出て、霞お姉さんを迎え入れる。
ボロボロの状態であるレオ達5人を連れて霞お姉さんが笑顔で戻ってくると5人を褒めている。
「いやーちょっと見ない間に成長しているようだね!フィジカルもメンタルも!僥倖だね!」
「俺達何も出来なかったんですが…」
「何を言っているんだい?私相手に生体強化無しでアレほど食らいつくのは君たちぐらいだよ。良いほうだと思うよ!」
「霞御義母様は生態強化した軍人でも直ぐ音を上げてしまうほどの厳しさがあるの。それを少しでも耐えようとする姿勢が大事なのよ」
霞お姉さんがレオ達を褒めるとレオがそうでもないというが霞お姉さんや真琴さんがフォローする。
俺としても霞お姉さんの訓練は心が折れるかと思うくらい厳しいし攻撃が当たる気がせんのよね。
レオ達は良く頑張っとうよ。
自信持って良かばい!
そう思ってレオの肩に手を置き「ドンマイ!」と言うとお前も同じ目に合うんだよと視線をよこしてくる。うっ!嫌な予感。
「さぁ今度は豊と進だよ!」
元気良く、霞お姉さんが僕らに告げる。
進はやる気満々何やけど、僕はゲンナリです。
絶対僕には厳しいばい。はぁーーやるしかないばいね。
その後僕はみっちりしごかれることになる。
勿論本気でやりましたとも、でも惨敗です。
手合わせの後、昼食のためクロエさんとイザベラさん、ディランのお母さんジルさんと用意していると真琴さんがキッチンに入ってきて一緒に手伝ってくれた。
真琴さんはかなりの腕前で里芋の煮物を作ってくれたんだけどこれが美味しかった。
食事をし終えるて、しばらくするとエルとルイが授業を終えてやって来て霞お姉さんを見るや挨拶して手合わせをしていたんやけど、全力を出せて嬉しかったのか二人は満足した顔をしていた。
皆でお茶を飲みながら談笑しているんやけど僕だけは悠木さんが作ってくれるエナジードリンクを飲んでいた。
前世で愛飲していたドリンクと同じ味なので一日一本以上は飲んでいる。
すると、いきなり霞お姉さんが僕に爆弾発言をする。
「豊、婚約者候補じゃなくてもう婚約しちゃえば良いじゃん!なんでしないの?」
「ブフォー!ち、ちょっと何ば言い寄るんですか?」
「だってこんなに思ってくれてる娘が居るんだよ?候補なんて可愛そうじゃん」
「そうばい!バシって決めんね。男やろ?」
「亮平お兄ちゃんまで…僕にはもったいなかとですよ。気持ちは嬉しかばってん、僕自身の問題なんです。こんな僕で良いのか…」
僕は俯き自分の不甲斐なさをかみしめていると、ドンッとテーブルを叩く音が聞こえそこに視線を向けるとエルがテーブルを叩きつけ立っていた。
「もっと自信を持つのだ、ユタカ!私は、ユタカ自体に惚れ込んでいるのだ、だめな部分含めてな!だからそんな事を言うな!」
頬を真っ赤に染めながら言うエル。
そんなエルを隣に座るルイが宥めながら僕の方を見ながら口を開く。
「エルの言う通りです。豊さんはもっとご自分に自信をお持ちになってください。霞様!豊さんにはご自身のペースがお有りなのです。ですから、あまり急かすような事はおやめください!私達は待ち続けると決めているのですから」
ルイの言葉に僕は心の底で安心してしまう自分がいてなんか自分が不甲斐ないし、しっかり向き合えと言う自分がいるが、自分で幸せにできるんやろうか…不幸にせんやろうかと考えてしまう。
そんな考えが顔に出ていたのか、ママが頭を撫でてくれ、「もっと自分に自信持ちな〜」と言われてしまう。
なんとも言えない空気に霞お姉さんがパンっと手を叩き皆の意識を集める。
「豊にはこんなに思ってくれてる娘達がいることを忘れないで!さぁこの話はここまでこれからの事を…通信?誰だろう?」
霞様はいきなり入った通信に出るため席を外す。霞様を待つためその場で待機していると暫くして霞様が黒髪ショートヘアーの狼のお面をつけた黒の軍服のような服を着た女性を連れてきた。
居間にはいってくると霞様の前に出て自己紹介をし始める。
「百合花様の直属の部隊、シャドーに所属するウルフッス!これから豊様の監視のためにここに配属されたッス!よろしくお願いしますッス!」
なんだ。この声聞いたことがあるような気がするし、さっきからウルフって人がこっちを見ているような。睨むとは別の熱い視線を感じる。
監視か、何のためやろうか?ばぁばの部下だよね?監視って必要?
そんな事を考えているといきなり妖気を感じた。ウルフって人からだ。
この妖気ってまさか!
「霞お姉さん、それに皆ウルフさんと二人にしてくれんですか?」
「うん?私は構わないけど、どうしたの?」
「豊どうしたのかな〜?」
「ウルフがどうかしたの?」
霞様やママ、遥花お姉ちゃんが質問してくるが僕はそれどころではなかった。もしこの人が僕の考える人なら…ママに意思伝達で可能性について話し納得してもらってこの場はママがなんとかしてくれるとのことで、僕はウルフさんを部屋につれて二人きりになる。こんな時キッド兄ちゃんやネェネがついてくるが二人には居間に残ってもらう。
部屋に入り深く深呼吸をする。
僕が思う人なら色々気を引き締めないといけない。
「さて、ウルフさん貴方は何故妖気を使えるとね?」
「それはウチが地球出身で日本の昔から代々続く妖怪何かの化け物の妖魔ハンターの家出身だからッス!いや~ウチのおにぃは最年少で日本最強のハンターになったと思えば政府の犬になるは、いろいろ大変なおにぃがいたんッスよ!かと思えば15日前に突然丸焦げの死体になるし、どんだけ迷惑をかけるだって話ッスよね〜困ったおにぃッスよ」
はぁ完全に僕のことやん!
コイツ僕のこと分かって言ってやがるな。本当に何でお前がここに居るんやお前は海外の直属のハンターになったはずやなかったとや。
「はぁ〜お前分かって言ってるやろ?明!」
僕が名前を呼ぶと仮面を取り顔があらわになるがその目には涙がたまっており今にも泣き出しそうな顔をしている。
仮面を取ったウルフ改め明は、僕に抱きつき泣きながら責め立てる。
「なんで…転生なんか選ぶんよ…家族はどうでもよかったと?…死んだって聞いてウチ等がどれだけ…悲しんだか…分かっとうと?…このバカおにぃが!…グス…」
僕は明を強く抱きしめ頭を撫でる。
これは僕が悪い、何も言えん、前世で生きがいがなく、ただ単に人類の害となる妖怪や化け物、妖魔を退治し、政府に言われるがまま犯罪者や政府に仇なす者を殺してきた。
そんな人生に嫌気が差して紡様の提案にのってしまった。
家族のことは考えなかったわけではない。
前世では政府の仕事をし始めてからは汚れた僕は近づいたらいかんと思いあまり実家に帰らんかった。
懐いてくれていた弟、秀治の娘の麗奈も遠ざけていた。
親不孝やと思うし、転生してこんな幸せになってこれに婚約者候補ときた。
だから僕はそんな幸せになる資格はないと思い始めていたんよね。
家族を見捨てた僕がこんなに幸せになって良いわけ無いとね。
泣き止んだ明がニカッと笑い僕の顔を見つめ言葉を言い放つ。
「おにぃ、今幸せ?」
「うん、こんな僕が幸せになって良いのかって思うくらいね」
「そっか、正直ウチ等はおにぃが頼ってくれんかった事もやけど、おにぃがそんなに思い詰めとったことも知らんかった。これはウチ等が悪い。ウチも宇宙におったしね!おにぃの事を何も言えんのよね」
そう言いながら悲しそうな顔をする明だがそれも一瞬で、直ぐに笑顔になる。この顔は自分の気持ちを押し殺している時の表情なんよね。
「ごめんな。親父達にも悪いと思っとる。今の僕には親父達に何も返せんけどいつか恩を返せれるようになりたいと思っとうけん…痛っ!なんばしよっとね!」
僕が言い終えると同時に頭に、チョップを食らわせる明。その顔は眉間にシワを寄せ頬を膨らませ怒った表情を作っている。
「なんば言いよっとね!父さん達に恩を返すのは当たり前ばってん、今は別に守らないけん存在がおるんやなかと?父さん達は大丈夫!百合花様に許可貰って父さんと母さんには説明しとる!」
えっ!?どう言う事?
説明しとる?信じたんか?あの二人が?
信じられん、かなりの頑固者だったはず特にお袋なんかは。
「二人から伝言。このバカちんが!そんなに思い詰めとったら相談せんね!でも言えんかったお前の気持ちも何となく分かる。俺たちに心配かけたくなかったんやろ?それに関しては俺たちにも落ち度がある、お前を厳しく育ててろくに愛情表現もできずに、最年少で最強と言われどれだけプレッシャーがあったのかはわからんし孤独もあったんやろう。生まれ変わったのなら幸せになれ!俺たちはそれだけを望んでる。お前が幸せならそれでいい。最強なんてどうでもいい、ただお前が毎日笑顔で幸せに暮らせていればそれだけで言い。お前の新しい家族がお前のことを大切にしてくれることを祈るばかりばい!だって、て、おにぃ!?」
僕は気づけばその場に崩れ落ちて、座り込み泣き崩れていた。それに気づいた明が慌ててしゃがみ込み抱きしめてくれた。
僕が泣き止むまでずっと抱きしめてくれとった。




